今回の舞台は…
(桑山紀彦)でもやっぱり母校に戻ってくると何か心が温かくなりますよね。
先輩は世界で活躍する…桑山さんは宮城県に自分の診療所を持っていますが世界40か国以上の紛争地や被災地で治療活動をしています。
授業のテーマは「ピンチ」。
そこで桑山さんが取り出したのは…。
えっ?ギター?更にもう一つ。
「はりがねの人生」?一体何が起こるのか。
奇想天外な授業が始まります。
お〜みんなおはようございます。
(一同)おはようございます。
いや〜緊張するな。
授業を受けるのは6年1組41名。
僕はみんなと同じこの南小学校の出身です。
名前から書きますね。
さあみんな読んでみてくれ!
(一同)くわやま…。
のりひこっていいます。
そして僕の仕事なんだけど…。
さあみんな読んでみて下さい。
(一同)心療内科医。
そうだね。
心療内科というまあそうだな心の病気にかかった人を少しでも元気になってもらいたいなという。
そんな手助けをするそういうお仕事をしています。
今日のテーマは「ピンチ」。
さあみんなピンチです。
ピンチってどういう事だと思いますか?意味。
だいと君。
やばい。
ひよりちゃんどうだい?危険な事ね。
じゃあかんたろう君。
道端とかで何か…事件や事故の事?ピンチというのは出来事のような感じなんだな。
だけど…いいかい?よく考えてみて。
事件が起きたり野良犬に遭遇したり危険な事になったりするとつらい思いをしたり悲しい思いをしたりします。
そういう自分の気持ちがどんどん下に下がっていく事。
それもピンチだと思うんだ。
そこで桑山さん一枚の写真を見せました。
これは桑山さんの子どもの頃の写真。
この写真すごく嫌でした。
何でかって言うと頭がでかいんだ。
頭のこの鉢の部分ね。
ここの部分がすごくでかいなって小さい頃から感じてたんだ。
実は桑山さん小学生時代頭が大きい事でいじめられた事があると言います。
みんなこれ見てさ頭でっかちのように見えない?そんなでもない。
そう思ってくれる!そうなんだよ自分ではひどいひどいと思ってるのにほかの人が見ると「えっ?そんな事ないじゃん」って言ってくれるんだよ今みたいに。
ピンチって事件や事故だけじゃなくほかの人には分からないような心の悩みも指すんですね。
これが自分にとって悲しかったなつらかったな思うような事是非聞かせてほしいと思うんだけど…。
じゃあこうたろう君立ってお願いしてもいいですか?そうなのか。
つまりこうたろう君それは自分が悪いなと思ってた?はい。
ああそうなのか。
こうたろう君ピンチありがとう。
ともかさんどうですか?そうか。
ともかさんよかったらどんな言葉だったか教えてくれるかい?僕に。
死ねばか。
そうだよ。
みんなそこだよ。
今どこの小学校でも「死ね」って言葉がすごく普通に使われてる。
何の気ないと思うんだよ。
本気で「死ね」なんて言ってないとは思うんだ。
だけどやっぱり傷つけようと思ってへこませようと思って言ってるような気がする。
僕が見てきた外国の世界。
そこは人がバタバタと死んでいく世界でした。
桑山さんは長年紛争の絶えない中東で医療活動を行っています。
パレスチナのガザ地区では空爆も経験しました。
自分のバラバラの遺体を想像しながら眠ってました。
朝起きた時にまんじりともせず起きた時にああ今日も死なんかったと思って起きるんですよね。
毎日死ね死ねって爆弾を落とされてる訳ですよガザは。
「死ね」ってみんな軽く言うけどさそれって本当に人間の心にズバッとナイフを突き刺すのと同じ。
それはやっちゃいかんよって事はやっぱ伝えたいし…。
桑山さんが世界の紛争地や被災地に行くのには理由があります。
小さい頃から自分の殻に閉じ籠もる性格で仲間外れにされる事が多かったという桑山さん。
自分のようなつらさを抱えている人の役に立ちたいと医師を志しました。
しかし病院の医局にもなじめませんでした。
そんな桑山さんの転機になったのは海外での医療活動。
内戦中の旧ユーゴスラビアや独立紛争直後の東ティモールなどどんな過酷な状況でも笑顔を忘れない子どもたちに生きる強さを教えられたと言います。
そこで2時間目は桑山さんのちょっと変わった授業。
お席を用意しました。
今日はみんな世界の人に会いましょう。
始まったのはなんとコンサート!世界で出会った子どもたちを題材に歌います。
桑山さんが大切にしている活動の一つです。
パレスチナの子どもたちは日々つらい思いをしながらも曇りのない笑顔。
想像もつかないようなピンチに教室のみんなはくぎづけです。
東日本大震災では自身の診療所も被災。
その場所で出会った子どもたちの事も伝えました。
たくさんがれきが転がっていました。
その一つ一つのがれきを楽器に変えました。
たくさん大事なものを失ったけど頑張って一緒に歌詞も作りました。
つらい経験を題材に歌を作り心にたまったものを吐き出す。
桑山さんのこうした活動は世界各地の子どもたちの心のケアに役立っているといいます。
同じ世代の子どもたちのピンチを知ったみんな。
今度は自分たちが考える番です。
さて今日のみんなの宿題はこの紙にみんなが今まで生きてきた中でピンチだなと思った事それを一つ一つ書き出してほしいなと思うんだよね。
是非家の人と一緒に頑張って書いてきて下さい。
思い出したくないピンチがあるというひよりさん。
運動が得意な女の子。
ただいま。
帰宅後すぐにお母さんに宿題の事を話しました。
ふだんあまり自分の事を話さないというひよりさんですが…。
うんつらかったな。
ちょっとためらいながらもお母さんには心の奥にしまっていたピンチが言えました。
おはよう。
(子どもたち)おはようございます。
この日は宿題の発表から始まりました。
みんなに宿題をお願いしました。
皆さん持ってきてくれましたか?
(一同)はい!いっぱい書いてきてくれたな。
そうか。
みんなにとってのピンチだもんね。
まずはね私こんなピンチがありましたって事さて誰か発表してくれませんか?けんしん君お願いします。
はい。
それはすごいピンチだよな。
そうかありがとうございます。
(拍手)陰口で悩んでいた事があるというひよりさんは…?ひよりちゃんいってみようか。
はいお願いします。
勇気あるな。
とっても勇気あるね。
だって自分の嫌な事だもん。
できればしまっておきたいよな。
だけどひよりさんそれ言えたか。
すごいな〜。
みんな拍手。
(拍手)よく言えたね。
頑張ったね。
じゃあみささんお願いします。
はい。
いつの事でしたか?小学校1年生の時な。
みささんその時はどんな気持ちでしたか?そうか。
そして今6年生になったんだな。
昔と比べて気持ちは強くなってきましたか?そうか。
今お父さんこれ聞いてくれてるとしたらどんな声かけたい?ふだん心の中にしまっているつらい思い。
桑山さんが受け止め引き出してくれる事で気持ちが楽になったのかほかの子たちも次々と言いにくい話を打ち明けました。
嫌だなと思う事や絶対人に言いたくないなって事をず〜っと心の中に持ってるとどうなると思いますか?みんな。
それはどんどん心を重くして時には病気になったりします。
いろんなピンチ今日聞いてるよな。
それを心の中にず〜っと秘密にしておくのではなくてしっかり言える人になってほしいなと思いますね。
次に桑山さんが取り出したのは…。
何か妙なものが出てきましたね。
これは何でしょう?「はりがねの人生」?一体何が始まるんでしょうか?今日みんなピンチをしゃべってくれた事でみんなの人生っていろんな事があるなって僕も分かったよ。
その人生をはりがねを使って表現してほしいなと思うんだよね。
これまた心療内科医桑山さんならではの手法です。
まず僕が自分の人生を作ってみました。
はい。
えっ!?どういう事?はりがねを折れ曲がらせて自分の人生をたどってみて下さい。
いいですか?嫌な事悲しい事があったら落ちるよな。
でもそのあとにいい事があったら上がってくるよね。
はりがねを曲げて人生の浮き沈みを描きその出来事をカラー粘土で作ります。
桑山さんはつらかった大学病院時代を黒に地震で被災した時をがれきの山の茶色で表現。
海外の子どもたちと出会った幸せな気持ちを緑の草原と果物で描きました。
はりがねを使うのは手で触り目で見て立体的に自分の人生を感じ取る事ができるからなんだそうです。
みんなはどんな作品を作るのかな?ちょい下がり〜の上上上。
けい君音楽好きって聞いてうれしかったな。
じゃあ音楽以外の例えば算数とかやっとるともやもやしてくる訳?もやもやがすごいわ。
この表現初めて見た。
立派やな〜。
桑山さんは否定も強制もしません。
子どもたちの気持ちや自由な発想に寄り添います。
そういう発想ってすごい感動したな。
これは運動会で負けたので…人の人生は途中で切れるものではなくてずっと続いていくんですよね。
だから1本の線としてのはりがねはまさに人生そのものだと思う。
それを感じてもらうためにわざとはりがねを使って人生を表現してほしかったんですよね。
こうしたはりがねの人生を使った取り組みを海外の紛争地や被災地の子どもたちにも心のケアになるとして行っています。
完成したら…今度はピンチだけではなくその後どうなったか何があったかもみんなに話します。
みんな自分の人生をしっかり話せているね。
そしてあのお父さんを亡くしたみささんは…。
みささんはお父さんを亡くした時の気持ちを黒で涙を青で描きました。
悲しみのあと今は幸せという文字が記されていました。
ここの所でねここで下がってきてお父さんが亡くなってってすごいどん底になってるけどそこからここになる…ここには何がありましたか?そうなんだ。
こんなに下がっていてもそういうきっかけがある事で上がる事ができるという事だね。
友達の励まし優しい言葉。
そういうのでお父さんが亡くなった事だって上に向ける事ができるというのがみささんの人生なんだね。
6年1組それぞれの人生…。
こうき君のピンチはけがで3か月も大好きなサッカーができなくなりつらかった時。
再びサッカーができるようになった喜びは虹色です。
もえさんのピンチは学校の行事でピアノの伴奏を大失敗し落ち込んだ時。
その後家族と富士山に登り気持ちが吹っ切れた事を描きました。
今まで知らなかった友達の苦しみや喜び。
こうしてお互いに知る事が成長の一歩になるといいます。
皆さんはりがねの人生ねいっぱい語ってくれてありがとうございました。
最後の授業で大切な事をみんなと一緒に考えていきたいと思います。
それは…。
はい皆さん読んでみて下さい。
(一同)「ピンチのそばのチャンス」。
それってどういう事?これとこれだけ考えてるとはい悲しい事がありました。
楽しい事がありました。
それだけになってしまう。
だけど今日最後にみんなと考えたいのはこれとこれの間に何があるのかって事なんだ。
自分のピンチの次にふっとあんまり考えなかったかもしんないけど上げてるよね。
それ何で上げられたんだろう。
何で上がったのかなという事をみんなに教えてほしいんです。
嫌な事だけ考えてたら落ち込んでしまうけれども気持ちを切り替えていろんなチャンスがピンチのすぐ横にある訳だよね。
みんないいですか?この人生がこうやって下がる事もあるだろう。
上がる事もあるだろう。
もう一回下がる事もあるだろう。
下がって下がって下がってもうどうしようもないなと思った時に正直に言ってねここでこうやって切って…。
いいかい?人生をやり直す事なんてできないんだよ。
いいですか?人生はつながっているのだ。
ここでリセットをかけてゲームみたいにリセットをかけてもう一回やり直しいい所から始める。
これはできません。
下がれば必ず上がる。
それを信じてピンチのそばにあるチャンスをいっぱい見つけていってほしいんですよね。
これから先またピンチは来る。
でもそばには必ずチャンスがある事を知っていればきっときっと乗り越えられるはず…。
これで僕の授業を終わります。
どうもありがとうございました。
(一同)ありがとうございました!みんなに話すと自分の心もすっきりする事。
絶対にピンチで下がったあとには絶対に上がるっていう事が分かりました。
ピンチのそばの!
(一同)チャンス!2016/01/22(金) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩「ピンチのそばにチャンスあり〜心療内科医 桑山紀彦〜」[解][字]
パレスチナや宮城県名取市など世界中の紛争地域や被災地で「心のケア」を行う心療内科医・桑山紀彦さん。歌のコンサートにハリガネ工作。ピンチを乗り越える秘けつを伝える
詳細情報
番組内容
パレスチナや宮城県名取市など世界各地の紛争地帯や被災地で「心のケア」に取り組む心療内科医・桑山紀彦さん。今回の授業のテーマは、「ピンチのそばにチャンスがある」。厳しい状況の中で生きる子どもたちから学んだことだ。その気づきをもたらすための授業は奇想天外。歌のコンサートにハリガネ工作。子どもたちは驚き、楽しみながら、自分自身に目を向けていく。ピンチをどう乗り越えるか、目からうろこのヒントを伝える。
出演者
【出演】心療内科医…桑山紀彦,【語り】濱田マリ
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – その他
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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