≫スイカに塩かけるとかそういう感じ…。
(鈴の音)・
(お鈴番)上様おなりー。
(音羽)
元禄元年。
時は五代将軍綱吉公のみ世にございました
(女中たち)・「わっしょいわっしょい五穀豊穣」・「わっしょいわっしょい栄耀栄華」
先代家綱公甲府宰相綱重公の思いがけぬご逝去により突然の将軍職就任という光栄に浴された上様はご生母桂昌院様と共に浮かれ立つような日々の享楽におぼれ大奥は長い江戸期を通じて最も華やいだ絢爛たる退廃のうちにあったのでございます
(美吉野)ご覧なさいませ。
お伝の方様と上様の仲のおよろしいこと。
(秀尾)ほんにのう。
(葛原)お伝の方様は桂昌院様のお覚えもめでたくてあらせられる。
桂昌院様にとっては大事な大事な上様のお世継ぎをお産みなされたお腹様じゃ。
自然ほかのご側室とは扱いも違うてまいりましょう。
(秀尾)哀れなのはご正室の信子様じゃ。
上様にも桂昌院様にも顧みられずあれではまるで置物。
今に始まったことではない。
将軍家の御台所といえば家柄がよいだけの置物飾り物と昔から決まっています。
とは申せご側室のお伝の方様はもとはと言えば素性卑しき黒鍬者の娘。
お屋敷の下働きだったお方にございましょう?
(葛原)桂昌院様もそれは同じじゃ。
お忘れか?あのお方が「お玉」と呼ばれ人に小突かれこき使われていた昔があったこと。
(祈とう)
(隆光)お告げが出ましてございます。
大変不吉な運気が漂うておりまする。
あるいは今日という日が加持ご祈とうにふさわしからぬ日であったやもしれませぬ。
今日のところはこれにて。
(桂昌院)隆光殿。
何が見えたのか言うてくだされ。
初めに申し上げておきますが悪い運気というものはその後のご精進努力によって取り除くことができまする。
ご承知おきの上お心を静かにお聞きくだされ。
分かりました。
お世継ぎに死の影が表れておりまする。
徳松君にか!?
(柳沢)結構なお点前でございます。
上様のことでひとつそなたに頼みたい儀があるのです。
何なりとお申しつけください。
前々から思うていたことじゃが上様のお世継ぎが徳松君お一人というのは何とも心もとない。
それは確かに。
ふふ。
何が「それは確かに」じゃ。
そなた信子のところにもお伝のところにも両方に出入りして機嫌を取り結んでいるのであろう?ふふふ。
口と腹とはつながっていまい。
(柳沢)桂昌院様には何もかもお見通しにございますな。
(桂昌院)上様もお優しいお方故お側近く仕える女子たちとはいつも仲ようはなされておられる。
じゃが肝心の閨のこととなるとこのところいずれの方にもお渡りがない。
近頃は奥の女子には飽きたなどと仰せになる。
そのお気持ちは分かります。
花園に日々暮らしておれば花に飽きるのも無理からぬこと。
何か手はないのか?吉保。
私にお任せくださりませ。
一計をひねり出して進ぜましょう。
ほんにそなたは頼りになる。
(安子)鬼は外!
(家人たち)鬼は外!
この頃上様がまだ館林藩主であった時からのご重臣であった牧野成貞様は血生臭いご権勢の争いなど知らぬ顔に家族水入らずの穏やかな一日を過ごしておられました
(安子)鬼は外!
(家人たち)鬼は外!
(安子)福は内!
(家人たち)福は内!
(安子)鬼は外!
(成貞)ほうれ!ほうれ!鬼はここじゃぞー!
(安子)出ていきなされ。
鬼は外じゃ。
(成貞)これはしたり。
やや。
恐ろしや恐ろしや。
ああーっ!
(安子)父上!?いかがなされました!?
(成貞)痛い痛い痛い痛い…。
(阿久里)余りはしゃがれるからじゃ。
おけい。
(おけい)はい。
早う殿にこう薬を。
(おけい)はい。
痛てててて。
よいよい。
これぐらいたいしたことはない。
(阿久里)もうーっ。
ほんに粗こつな。
明日は上様の御前でお能を舞われるのでしょう?まあ上様の御前で?ああ。
足を出してください。
よいと申すに。
早う足を。
あっ痛い痛い痛い…痛い!
(成住)義父上。
大丈夫でございますか?ああ。
成住。
見てみろ。
女房ものうこう古くなると亭主の扱いがぞんざいになって困る。
(成住と成貞の笑い声)
(成貞)もそっと優しくできぬか。
これで十分です。
あっ痛い痛い痛い痛い!
(一同の笑い声)
人の運命とは何とはかないものでございましょうか。
このご家族の一点の曇りもない幸せも一人娘の安子様のこの笑顔も江戸城大奥の謀を前にした風前の灯火にございました
(テーマ曲)
(成貞)うっ。
(成貞)ああ…。
・
(謡曲)
(成貞)申し訳ございませんでした。
(桂昌院)いかがされました?
(綱吉)いかがした成貞?
(成貞)はっ。
実はゆうべ足をくじきまして。
この老体には「忠度」はいささか荷が重うございました。
面目次第もございません。
どうかご容赦のほどを。
(綱吉)「忠度」はこう舞うのじゃ。
・
(綱吉の謡)
(感嘆の声)
(柳沢)いや上様の舞いはさすがにご品格が違います。
(綱吉)うむ。
したが成貞も足の痛みに耐えよう舞った。
ほんにそなたは忠義者よの。
もったいないお言葉にございます。
(柳沢)いかがです上様?次なる能の集いは牧野様のお宅に出向かれては?
(綱吉)うむ?それも面白そうじゃの。
うむ。
次の会はそなたの屋敷にて催そう。
はっ。
は…ははっ。
上様が!?誠にございますか!?
(成貞)さよう。
上様がなこの屋敷におなりになる。
はははは。
喜べ。
これで我が家の運は末広がりじゃ。
いやぁしかしめでたいことです。
そうよ。
こんなありがたいことがあるか?父上。
父上の長年のご忠義を上様がお認めくださったのです。
ようございましたな。
安子。
よう言うてくれた。
(成貞の笑い声)
(安子)母上?母上。
ああ…。
安子。
上様のおなりのことならご安堵なされませ。
父上のお覚えがめでたくてこその思し召しにございます。
私が上様に最後にお会いしたのはあの方が十二の時。
父上との縁組みが決まって城を出る前の日であった。
上様は粘るような目で私をご覧になり庭先から石を投げてこられたのじゃ。
石を?
(阿久里)私は桂昌院様付きの侍女であった故ご幼少の頃の上様をよう存じ上げているが癇の強いお方であった。
欲しいものがあれば我慢できぬお方での。
何事もなく済めばよいが。
(柳沢)牧野様。
上様をお迎えするために能舞台を普請なさったと聞き及びましたが。
(成貞)ああ。
上様を当家にお迎えするなど一生に二度とない誉れにござる故のう。
その事でちと牧野様にお話がございます。
(成貞)うん。
実は上様に徳松君のほかお世継ぎがお産まれにならぬ事で桂昌院様が頭を痛めておいでなのです。
ご存じでしたか?
(成貞)ああ…。
いや。
頼みとはそれです。
当日牧野様のお屋敷に上様のお身の回りの世話を致す女子を幾人か揃えて頂きたい。
ああ。
大奥での閨は宿直など人の目もあり煩わしく上様は日頃からこぼしておいでです。
家臣の屋敷でなら心おきなく羽をお伸ばしになることもできましょう。
ああはあ…。
あっなるほど。
・
(謡曲)
(成貞)いやぁお見事にございます。
いやいや。
誠にもってお見事。
(綱吉)「見事」としか言う言葉がないのか?そなたの世辞は聞き飽きた。
(成貞)はっ?
(笑い声)冗談じゃ。
そなたは忠義一辺倒で世辞も満足に言えぬのじゃな。
なかなかにうい奴じゃ。
(成貞)申し訳ございませぬ。
(綱吉)成貞。
(成貞)はっ。
長年の勤め殊勝であった。
二万石の加増を申しつける。
はっ?あっいや…。
ははっ。
ありがたき幸せにございます。
疲れた。
わしは少し休みたい。
はっ…あっ。
ははっ。
安子。
上様を奥の間へ。
はい。
(綱吉)待て。
(成貞)はっ?
(綱吉)案内には阿久里に立ってもらおう。
(成貞)はっ?
(綱吉)成貞。
知ってのとおりわしは阿久里がそなたに嫁ぐ前から見知っておる。
案内は気心が知れた者に頼みたい。
(成貞)は…はあ。
(阿久里)かしこまりました。
(綱吉)手を取ってくれ。
疲れた。
あっ…。
いずれも近在の旧家の娘でございます。
お好きな者にお着替えを手伝わせましょう。
(綱吉)そなたらは下がっておれ。
上様?阿久里。
わしはそなたと二人きりになりたいのじゃ。
(成貞)どうしたそなたたち?何か粗相でもあったか?阿久里は?阿久里。
(娘)なりませぬ。
(阿久里)どうかご容赦を!ご容赦を。
上様。
上様!お許しください!
(安子)父上。
(成貞)上様。
先日は当家へお出ましになり誠にありがたく恐悦至極に存じ奉ります。
(綱吉)うむ。
わしも満足しておる。
(綱吉)その方の心尽くしのもてなし格別であった。
七日後また参るがよいか?よいか?成貞。
はっ…。
は…ははっ。
悪夢は一度ならず二度三度四度と季節の変わる頃を過ぎても繰り返されたのでございます
その間にも江戸城大奥には上様を取り巻いてさまざまな思惑が入り乱れておりました
(信子)それでは来る月京の帝のお使いとして常磐井のお局さんが江戸までお見えにならしゃるのですね?
(使者)さようにござります。
(信子)見目麗しく天下随一のご才女とお噂の高い常磐井のお局さん。
是非にもお会いしたいものじゃ。
ここ大奥はお伝なるお末あがりの側室をはじめ血筋卑しく教養も足りぬ者たちが幅を利かせております故。
(女中)染子様。
(女中たちの歓声)
(染子の笑い声)
(染子)おちよの番ですよ。
さあ思い切って振ってください。
誰の手じゃ?殿?殿にござりまするか?
(柳沢)今帰った。
(染子)お早いお帰り染子はうれしゅうございます。
上様のお相手でいつもいつも遅うお帰りあそばすのに。
(柳沢)上様のお相手は今はほかのお方に任せておる。
その分わしは暇になったのじゃ。
さようにございますか。
我が屋敷に上様をお招きしとうはないものじゃ。
上様をお招きしたらそなたをお目通りさせぬわけにはいくまいからの。
私が上様にお目もじすると何か困ったことでも?うむ?うむ。
そうよのう。
困る。
大いに困る。
(笑い声)
(成貞)ではこれより上様は暫時ご休息をあそばされる。
阿久里。
(綱吉)待て。
今日はもう帰る。
(近侍)はっ。
(綱吉)阿久里にはこれを遣わす。
白銀百枚色羽二重五十巻じゃ。
はっ。
ははっ。
(成貞)先日は当家へのお出ましまた妻阿久里への格別の思し召し誠にありがたく恐悦至極に存じ奉ります。
(綱吉)阿久里にはようしてもろうた。
わしが礼を言うていたと改めて申し伝えておけ。
はっ。
そなたは果報者よ。
よき妻と娘に恵まれて。
安子は阿久里に似て見目麗しいのう。
見目麗しく優しい。
成貞。
わしのもとに安子を遣わさぬか?や…安子をでございますか!?
(綱吉)うむ。
上様。
安子には夫がございます。
成住という婿が。
(綱吉)離縁させればよい。
なるほど一人娘を差し出すのはそなたも惜しかろう。
が安子はまだ若い。
一介の側役の娘であるよりはわしの側室になったほうがさきざき幸せというものじゃ。
そなたの家も栄える。
上様。
そ…そればかりは。
(扇子でたたく音)何と申した?
(綱吉)よう聞き取れなんだがまさか家臣の分際で主君に口答え致すつもりではあるまいの?下総関宿五万三千石の命運はそちの返答次第に懸かっておる。
いえ。
まさか口答えなど。
(成貞)近いうちに城から迎えが参る。
支度を致しておけ。
(成住)義父上!
(安子)成住様!安子を差し出すおつもりですか!?上様のお申しつけじゃ。
逆らえぬ。
なぜ逆らえぬのです!上様はご気性の激しい怖いお方じゃ。
逆ろうたらどうなるか分からん。
家を守るためにはこれしかないのじゃ!家など失うても私は安子を取られたくはありませぬ!義父上。
義父上はそれでも人の親ですか!?娘を慰みものにされてもかまわぬと仰せにございますか!?安子は…。
安子はわたしの妻です。
今生を添い遂げると誓い合うた女房にございます。
命に代えても安子だけは渡しませぬ。
成住様。
何を言うてももう遅いのじゃ。
・
(おけい)殿様!お…奥方様が!えっ?阿久里。
許せよ。
わしが悪かった。
阿久里!
(安子)成住様!?何をなさいます!?
(成住)腹を切る!上様にご翻意を促すためじゃ。
安子。
そなたの体には指一本触れさせぬ。
(安子)おやめください!止めるな安子!いいえ止めます!あなたが死んで何になるのです?上様は欲しいものは必ず手に入れるお方。
あなたが死んだら私をお召し上げになるに決まっています。
ではどうすればよい?どうすれば…。
母上。
おかわいそうに。
(泣き声)母上をこのまま死なせは致しませぬ。
この敵はきっと安子が取って差し上げまする。
父上。
成住様。
いってまいります。
(侍)出立。
(安子)お側用人牧野成貞の娘安子と申します。
大奥のしきたり習わしなど存じ上げぬ事が多うございます。
ご指南のほど何卒よろしくお願い申し上げまする。
(お伝)人妻をわざわざ召し上げて側室にするとは上様も物好きなお方にございます。
(桂昌院の笑い声)
(桂昌院)悋気はお体に悪うございますよ。
お伝殿。
何と言うてもそなたは天下にただ一人のお世継ぎのお母上。
どなたが来ようとそのお立場は毛筋ほども揺るぎは致しませぬ。
(お伝)悋気というほどのことではございませぬが。
にしてもあの安子とやら母親が自害して間もないというに奥に来てあの落ち着きぶりはいささか妙じゃ。
あの女子には気をつけねばなりますまい。
(小山)それでは上様をお待ちくださいませ。
(鈴の音)
その時安子様はまだお気づきではなかったのです。
敵は一人ではないことこの大奥という伏魔殿には数知れぬ敵が控えていることを
・『修羅場』2016/01/22(金) 14:55〜15:50
関西テレビ1
大奥〜華の乱〜 #01[再][字]
「修羅場」
詳細情報
番組内容
時は第5代将軍・綱吉(谷原章介)の時代。大奥の権力は綱吉生母・桂昌院(江波杏子)に集まっていた。側室・お伝の方(小池栄子)は桂昌院のお気に入りで、お世継ぎとなるべき徳松と鶴姫の二児の母である。
一方、京は鷹司家から輿入れた正室・信子(藤原紀香)にはまだ子がない。公家出身の信子は出自の低い桂昌院、お伝の方とは敵対関係にあった。
将軍・綱吉は大の学問好き。
番組内容2
それは実父である第3代将軍家光の意向に従った桂昌院により、幼いころから武芸よりも学問を重んじる教育を受けたためである。
また、儒学を学んだ綱吉は論語の言うところの“孝”を実践していた。故に母・桂昌院には何より尽くしており、むしろその言いなりだったと言っても過言ではない。
綱吉には重用する古くからの側近が二人あった。側用人・牧野成貞(平泉成)と柳沢吉保(北村一輝)である。
番組内容3
お伝の方の息子一人では、お世継ぎに不安を感じていた桂昌院は柳沢と一計を案じ、綱吉が幼い頃憧れていた成貞の妻・阿久里(萬田久子)と再会させるため、成貞の屋敷への御成りを画策する。
綱吉は平然と阿久里を我が物にし、その上、婿の成住(田辺誠一)と既に結婚していた一人娘の安子(内山理名)を側室として大奥に差し出せと言い出したのだ。幸せを絵に描いたような牧野家は、突然奈落の底に突き落とされるのだが・・・。
出演者
内山理名
谷原章介
小池栄子
高岡早紀
北村一輝
中山忍
貫地谷しほり
・
萬田久子
・
田辺誠一
平泉成
火野正平
・
余貴美子
・
江波杏子
・
藤原紀香
原作・脚本
【脚本】
浅野妙子
監督・演出
【演出】
林徹
【企画】
保原賢一郎
【プロデュース】
林徹
手塚治
樋口徹
金丸哲也
音楽
石田勝範
【主題歌】
「修羅場」東京事変(東芝EMI)
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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