NHK高校講座 地理「ここに注目!ヨーロッパ」(2) 2016.01.22


中田敦彦です。
ドミニクです。
今回はヨーロッパの第2回目です。
前回はEUの拡大と発展プラスの面を見てきましたけれども今回は…イエスダークシャドウ。
そんな部分があるんですか?あるんです。
ただ僕だけでは心もとないので先生に解説してもらいながら進めていこうと思います。
前回に引き続き加賀美雅弘先生です。
よろしくお願いします。
(加賀美)はいこんにちは。
先生EUの影の部分に大きく関わってるのは冷戦だと聞いたんですが本当ですか?そうですね。
第二次世界大戦が終わったあとヨーロッパの国々が東と西に分かれて対立したんですね。
当時の状況についてちょっと見てみましょう。
では地図をめくります。
西ヨーロッパの国々はアメリカの復興支援を受けて北大西洋条約機構という軍事同盟を結んで1955年の段階で15か国がアメリカ中心の自由主義圏を作ったんですね。
この青い色で塗られた地域が該当します。
それに対してソ連は東ヨーロッパの国々とワルシャワ条約機構という軍事同盟を結んで社会主義圏を構築して西側とにらみ合ったんです。
ここにある赤い地域がそうですね。
この青と赤冷戦当時同盟を結んだ地域なんですが今の国名で表してあります。
なるほど。
だからここですねドイツ。
これが赤と青に分かれてるんですね。
東西で。
本当だ。
アメリカ側とソ連側は具体的にどう違うんでしょうか?これはですね…自由主義は個人の利益を尊重していきます。
それに対して社会主義はものの生産を国が管理するために個人の利益が生まれないんですね。
だから人々の勤労意欲っていうのはガタっと落ちますし生産性も低いです。
また権力が政府に集まってしまうのでしばしば独裁者なんてものが生まれてしまうんですね。
なるほど。
そういう事か。
平等にしようとすると難しい。
そうですね。
こういうもともとの体制が異なる国同士が1つの共同体を作ろうとしたらやっぱりうまくいかない部分が出てきて当然ですよね。
それが影の部分になる訳ですね。
そういう事ですね。
ではまずは東と西の格差の問題から見ていきましょう。
1989年東西ドイツの分断の象徴だったベルリンの壁が崩壊。
長い冷戦時代はようやく終わりを迎えました。
社会主義圏を作っていた…東ヨーロッパの国々は民主化の道を歩みだし2004年以降EUに加盟していきました。
そんな東ヨーロッパのチェコやポーランドハンガリーには自動車メーカーやIT系の企業が続々と進出。
経済成長が進みました。
しかしそれでも東ヨーロッパの国々の経済規模は西ヨーロッパには及びません。
国の経済力を測る目安となるGDPを見てみるとEU加盟国のベスト5は全て西側の国々です。
それに対してワースト5は人口の少ない島国と東ヨーロッパの国ばかり。
地域の格差はなかなかなくならないのです。
連携はし始めてるんだけどやっぱり格差はあると。
みんなEUに入って大成功って思ったらそうでもなかったって事ですよね。
みたいかなぁ?先生民主化が進んでEUに加盟しても東ヨーロッパの国々の経済状況は変わらなかったという事ですか?実際に…例えばエストニアここですね。
エストニアとかラトビアここGDPは現在のトップのドイツの大体100分の1。
でも1995年今から20年前ですがその時には500分の1しかなかったんです。
はぁ〜という事は100分の1だとしても…そういう事ですね。
幾分なりとも改善してきたって訳ですよね。
ただ社会主義時代に比べて東の経済水準は上がっているものの実は新たな問題も起こったりしてるんです。
分かりました。
ではどんな問題が起きているのかある国の例を見てみましょう。
西ヨーロッパと1つになれた事を誰もが歓迎しました。
背景には社会主義時代のチャウシェスク大統領の独裁政治がありました。
1989年の民主化以降ルーマニアの経済は右肩上がりの成長を続けました。
ショッピング・モールにも豊富な品ぞろえ。
しかしそれでもGDPはドイツのおよそ19分の1にしかなりません。
そこで人々は長距離バスを使ってスペインやイタリアに出稼ぎに行くようになったのです。
民主化以降この出稼ぎが激増。
夫婦で出国するケースも珍しくなくなりました。
現在その数は…そして…こうした子供たちの心のケアはルーマニア国内で大きな問題となりました。
現在各地の学校とNGOが協力して子供たちのカウンセリングや家庭訪問などを行っています。
移動が自由になるからお父さんとお母さんと離れちゃうのはちょっとさみしいですよね。
さみしいですね。
ちょっとね仕事がないからという理由とかあとより給料が高い仕事があるからっていう理由でね故郷を出ていかざるをえないというのは何だか高度経済成長の頃の日本みたいな感じですけどね。
そうですね。
ルーマニアに限らないで東ヨーロッパでは共通の問題と言っていいと思います。
出稼ぎはなかなか減らないですね。
ただ…もちろん出稼ぎだけじゃなくて例えばですがスポーツ選手。
これなんかも東ヨーロッパからの出身者多いんですね。
ワールドカップのドイツ代表にクローゼ選手というのがいましたね。
すごい選手ですね。
得点王になりました。
彼は実はポーランド出身なんですね。
優秀な選手が西の方へ移動してるっていう…。
いい面もあると。
そうですね。
先生そもそも東ヨーロッパの国の人たちはみんなEUに加盟したかったんでしょうか?どの国も社会主義時代に独裁体制という苦労を重ねてきました。
ですから民主化を歓迎したのは確かなんですね。
ただ加盟して全てがプラスになった訳ではないんですよ。
なるほど。
そんなEUが統合するのは大変なんですね。
どういう事ですか?それって。
つまり例えばですが自動車は安全のためにこう作らなきゃ駄目。
つまりある一定の水準で…レベルでですねものを作っていくという事が求められるようになったんです。
また例えばですが食べるもんですね。
食品に関しても添加物これを厳密に基準設けてますね。
こういったいわゆる…これによっていかないとですねEU域内で流通ができないっていうそういう仕組みが今起こってるんですね。
ただその基準に達していない国は大変ですよね。
そうですね。
そんなEUが進める基準と問題点について見てみましょう。
EUに加盟するためには環境保護や福祉など31の分野のEU基準を満たさなければなりません。
それは東ヨーロッパの国々にとってこれまで続けてきた仕事のやり方や商品の質を改めなければならないという事でした。
まずは水産業についてポーランドの事例で見ていきましょう。
ポーランドは農業漁業など第一次産業に従事する人口が多い事で知られています。
かつては魚の乱獲も指摘されていました。
そこでポーランドのEU加盟にあたりEUは専門家を送り込み直接指導を行いました。
これは…EUが補助金を出して導入させました。
また水産資源保護のためEUは…廃業する漁師にはこちらも補助金が支払われるのですが…。
それでも努力は認められ2004年5月…続いては農業。
EUは域内の農業を保護するために共通農業政策を取っています。
基本的には…ただし農家にとってはいくら作っても買い取ってもらえるため……と呼ばれる生産過剰な事態が発生。
こうした状態に財政を圧迫されたEUはさまざまな対策を取りました。
例えばブドウ農家への…域外からの安価なワインに市場を席けんされる中競争に勝てるEUのワイナリーを育てようとしたのです。
しかし…ヨーロッパのワイン産地は大きく揺れています。
加盟する側も大変ですけどEUも大変ですね。
そうですよね。
あんまり産業を保護すると補助金がかかっちゃうし受け入れる側も大変ですよね。
どうでしょうか?先生。
そうですね。
同じ共同体としてみんなで発展しようと思ったらばやはり細かいルールがどうしても必要になるんですね。
特に環境問題などはみんなで守っていかないと意味がなくなってしまいます。
国境線を越えて環境問題…連続してますんでね。
加盟するまでは大変なんですが例えば今出てきた…失業率も劇的に改善されましたしEU加盟が間違っていなかった事を証明しています。
なるほど。
ただブドウ農家もどこまで保護するかというのはすごく難しいですよね。
世界的に競争力の高い生産者を作っていかないとEUのワイン産業はやっていけない段階になってしまったという訳ですね。
ただ大規模な農家だけを有利にしようという訳ではありません。
小さな農家を救う方法も考えています。
例えばシャンパンなんてのがその代表格ですね。
シャンパンですか。
あれは…だから同じブドウを使ってもですねほかの場所で作ったものはシャンパンとは呼ばずにスパークリングワインというふうに呼ばれる訳ですね。
発泡するワインは全部シャンパンじゃないんですね。
ないですね。
名乗れないんですね。
これを…地域性を重視した農業政策によって個性を維持させようという訳なんです。
大事な事ですね。
さてEU域内の格差の問題を中心に見てきましたが実はEUとEUの周辺の国々との関係にも大きな問題があるんです。
ご覧下さい。
域外からEUにやって来るのは観光客だけではありません。
そこには多くの難民も含まれるのです。
イタリア最南端の島ランペドゥーザ島は別名難民島といわれます。
政情の不安定なチュニジアやリビアから小さな漁船に乗った難民が押し寄せるのです。
その数2万5,000人以上。
島の住民5,000人の5倍に当たります。
一時収容施設は常に満員。
なぜこの島にこれほどたくさんの難民たちが集まるのでしょうか?彼らにとってはこの島はEUの玄関口なのです。
イタリア領のこの島からなら国境を通過してどこのEU加盟国へも自由に移動ができます。
そして彼ら難民をEUの中で多く受け入れているのがフランスやドイツイギリスそれとスウェーデンです。
1940年代から戦争による多くの難民を受け入れ手厚い支援をしてきたスウェーデン。
難民保護の先進国では政府がこんなビデオまで発表しています。
スウェーデン政府は難民に永住権を与え住宅から語学学習職業訓練まで全て無料で提供してきました。
しかしこうした支援が政府や自治体の財政を圧迫しています。
人口の9分の1が難民というセーデルテリエでは仕事に就けない難民のために生活保護費も負担しなければなりません。
今この瞬間も命懸けで海を渡ってEUを目指す人々がいます。
EUにとっては彼らへの対応も難しい問題になっています。
あの小舟でびっしり来てましたもん。
あんな状況で海渡ろうって思います?思わないです。
沈んじゃうんじゃないかって怖いですよ。
でもその恐怖に打ち勝つぐらい生活が苦しいからあそこまでみんなは夢を持って来る訳ですよね。
個人的には受け入れてあげてほしいですけど。
確かにね。
ただ物理的にキャパシティーがいっぱいなんですよね。
ここまで無条件で受け入れてきたEUの国々は偉いとは思いますけれどもね。
先生どうなんでしょうか?移民の歴史などが長いヨーロッパですからできた事なんだと思います。
現在世界の各地で…それぞれの国では強制退去などの動きもあります。
EUとしては今後どのようにするかと大きな問題にはなってますね。
受け入れるのか拒否するのか難しいですね。
そうですね。
ヨーロッパをまとめるにはこれからも難問がいくつもあると思います。
期待したいのは…そもそも…確かにそうですね。
歴史や文化の違う国同士がここまで協力できるんだというお手本になってほしいものですね。
先生今日はありがとうございました。
さあドミちゃん2回にわたってヨーロッパを見てきましたけどどうでした?EUになったらなったでいい事もあるけど悪い事もあるんだなって思いましたね。
確かにね。
光と影ありますよね。
でもたくさんの国がねいろんな個性があるって事は未来はすごいありますよね。
またこれ日本とも違う力だなっていう事で…。
面白いですよね。
面白いし勉強したいですよね。
では次回も世界中のあんな事…。
こんな事…。
(2人)いっぱい知っちゃおう!冷戦時代東西に分かれて対立していたヨーロッパの国々。
経済格差は縮まりましたが出稼ぎの多い東ヨーロッパでは残された子供たちの心のケアが問題になっています。
EUに加盟する国はEUの定めた基準を満たさなければなりません。
水産業や農業においては厳しい基準設定に批判の声も上がっています。
一方で原産地呼称保護制度など支援も行っています。
現在難民の増加が大きな問題になっているEU。
支援に積極的な国の財政は危機に瀕しています。
問題解決に向けた28か国の連携が期待されています。
2016/01/22(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「ここに注目!ヨーロッパ」(2)[字]

人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。

詳細情報
番組内容
それぞれの国や地域ごとに掘り下げて現代世界を考察する。自然環境や民族、文化、産業、経済など、さまざまな視点で学ぼう! 「ここに注目!ヨーロッパ(2)〜地域格差と多文化社会〜」(1)地域格差が拡大するヨーロッパ (2)EU基準がもたらすもの (3)移動する人々と多文化共生の問題
出演者
【講師】東京学芸大学教授…加賀美雅弘,【出演】中田敦彦,ドミニク,【語り】安元洋貴

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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