(長崎純子)あっ…。
ごめんなさいね。
「荒海や佐渡に横たう天の川」絶景だったわねぇ〜!さすが奥の細道ツアーの目玉よね!!
(女性客)でも駅弁買うの忘れちゃったわ〜!
(女性客)そうよねぇ〜!すみません!あの…写真撮ってもらえます?
(女性客たち)お願いしま〜す!OK!!あの押すだけでいいんで。
(清村公三郎)酒田の駅弁はご飯が冷めてもおいしい「ササニシキ弁当」おすすめだったのに。
(女性客たち)わぁ〜!
(女性客)詳しいわね!あっ!あなた俳句の人!?いやいや…。
違うわよ!駅弁に詳しいじゃない?ツアー関係だ!あっツアー関係ね〜!!〜あっ!ただいま非番中ですから敬礼はよしてください。
(車掌)またローカル線めぐりですか?ほんとお好きですねぇ…。
根っからの鉄道員ですからねローカル線大好きです。
(純子)あっ!車掌さん!!スリ…スリです!!お財布すられました!まだ乗ってるはずです!捜して…顔見ましたから捕まえてください!鉄道警察隊の清村と申します。
お話を詳しく。
・大宮駅上りホーム緊急警備…大宮駅上りホーム緊急警備…。
ハコ師が降りる可能性があります…ハコ師が降りる可能性があります。
(純子)あ…あの人です!〜和服の女だ!〜
(女性客)あっどうも!
(女性客)ありがとうございました。
〜残念ですが逃げられました。
列車専門のスリだということは確認できましたので手配済みです。
今構内のトイレやゴミ箱を探してますので財布は出ると思うんですが…。
お財布だけでもいいんです。
中に大切なもの入れてて…それさえ戻れば。
私のこれからを決める…大切なものなんです。
実は東京ホテルで人と会う約束がありまして…。
これ…お渡ししておきます。
(橋本玲子)長崎純子…。
(玲子)大宮駅から財布は出なかったって言ってきたわ。
その「大切なもの」って何か聞いて早めに被害届を出してもらってちょうだい。
わかりました。
これからホテルへ寄ってみます。
せっかくの休みがさんざんね。
いえ…。
じゃ行ってまいります。
はいお願いします。
あっ!お土産ありがとうございます!!ありがとうございます!いやいや…。
(ノック)長崎さん…鉄警隊の清村ですが。
(ノック)長崎さん…?失礼します。
〜
(パトカーのサイレン)
(染谷京助)よし状況はわかった。
帰っていいよ。
(染谷)あとは我々がやる。
はい。
あっそれと…フロントの事情聴取やっておきました。
部屋は被害者の名前で予約されていました。
フロントを通しての面会はなし。
つまり犯人の痕跡はここにしか残っていないはずです。
余計なことはするな。
鉄警の仕事じゃないだろ。
…家族待ってんだろ?早くお土産持って帰りなさい。
(秋山和人)ご苦労さまでした。
〜「今は山中今は浜」「今は鉄橋渡るぞと…」〜
(玄関の開く音)ただいま。
あぁ…すまんすまん遅くなって。
帰りしなに事件にぶつかってね電話する暇もなかった。
(清村市子)相場が乱高下で手が離せないの!用意してあるからご飯。
自分であっためて食べて。
あずさお土産あるぞ。
(清村あずさ)お母さんね今日も一日パソコンの前に座りっぱなし。
株に熱中するのもいいけどそのうちね椅子からお尻が抜けなくなっちゃうよ〜だ!ダイエットなら抜かりはないわよ。
へぇ〜!低周波マッサージ器もサプリメントも結局みんな三日坊主だったじゃない。
よく言うわよ!これだってあずさの嫁入りの軍資金稼ぎよ。
親が不健康な暮らししてるんじゃ安心して嫁にもいけません!あずさ!体を鍛えるのもいいけど女らしさも嫁入りの条件だぞ。
お前には梓川の清流のごとく優しく清らかな心を持った女性にだね…。
「8時ちょうどのあずさ2号で」電車の名前つけたくせに!〜
男は時に家庭では浮いた存在です。
そして私の仕事も…。
鉄道警察隊…略して「鉄警」は鉄道員であって警察官で浮いた存在かもしれません。
もとは「鉄道公安官」という名のれっきとした国鉄マンでした。
民営化して「JR」になり私たちは警察組織に組み込まれました。
そのくせ仕事は今までと変わらない。
でも私は今も昔もレールのある所すべての安全を守るこの鉄道警察隊の仕事を誇りに思っています
あの長崎純子という女性…亡くなった有名な画家の奥さんで莫大な資産があるそうよ。
第一発見者のあなたにも念のために会議に入ってほしいって。
ぜひ協力したいです!あの女性は私たちのお客様でした。
長崎純子さんにはたしかに莫大な資産がありました。
夫は世界的な画家…長崎龍一郎氏。
5年前に死去。
親族などの係累はおらずほとんどが絵である遺産をすべて純子夫人が相続したんですが…
夫の遺志は作品の展示館設立と若手画家の育成にございました。
このたび衆議院議員青山保先生…長谷部画廊長谷部知治様…石田修二画伯のお力添えにより展示室研修室を…
(藤岡一成)遺産の総価格は推定20億円を下らないんだったな。
それが全部財団の管理なのか?純子夫人に属する財産は?
(染谷)預金証券自宅の土地などで5億は下りません。
(藤岡)これは誰が財産をものにするかというゲームだ。
(藤岡)動機はそれだな。
財団の経理はなお調べますが専務理事の画商長谷部氏理事の石田画伯から事情聴取はしました。
理事長の青山は?
(染谷)青山代議士は外遊の日程が延び今朝帰国予定です。
(染谷)長谷部氏は財団で会議中石田画伯は出版社で打ち合わせ。
(染谷)外遊中の青山代議士を含めアリバイは成立しています。
(藤岡)長崎画伯と純子夫人との間に子供はなく長崎画伯に親類なし。
痴情怨恨の線はどうなんだ?潤沢な資金を持つ財団を仕切る権力者で写真で見るとなかなかいい女じゃないか。
(藤岡)若い絵描きをオモチャにして恨まれていないか…当日の足どりは?
(染谷)検札した車掌によりますと磐越西線喜多方駅からの乗車券を所持し同行者はなし。
(染谷)バッグからは会津若松のホテルの領収書と封筒に入ってこの写真が。
(藤岡)ただのスナップだな。
(藤岡)場所や人物を特定するのは難しいか…。
あの…場所はわかっております。
バックに写っております鉄橋は磐越西線の喜多方と山都の間にある一の戸鉄橋です。
今「ばんえつ物語号」というSLが走っておりましてその有名な撮影ポイントになっています。
…鉄道マニアかね?君は。
鉄道警察隊巡査部長清村公三郎であります!鉄警がなぜ捜査会議に?あぁはい…。
東京駅管内の事件で彼が第一発見者です。
また生前の被害者と彼が最後に接触しておりますので…。
まぁいい…。
喜多方と会津若松を当たるついでにこの女子高校生の制服のことも福島県警に洗ってもらおうか。
はい!うちのほうで喜多方駅の改札係に確認すればどこの学校の制服かすぐにわかります。
おそらく身元も容易にわかると思います。
(ざわめく声)よ〜し!ではやってもらおうか。
鉄道屋さん向きのお仕事だ。
ただしこれは捜査だから捜査員をつけるように。
君んとこの若手でいいぞ。
はい…。
(染谷)え〜では…秋山!えぇっ!?俺っすか〜?お前だ!
(刑事)おい秋山ツイてんな!
(笑い声)
(刑事)頑張れよ!
(笑い声)
(玲子)さっきの問い合わせ喜多方駅からもう返事がきたわ。
(玲子)喜多方女子高だって。
さすが早いですね。
(秋山)県警を通すと2〜3日かかるんだけどな…。
あとは身元の特定ね。
行っても構いませんか?今からなら10時16分に間に合うわ。
鉄警の意地見せてきて!…はい!出発だ。
えっ!俺もですか!?〜おい…昼食っとかないともたんぞ。
(秋山)食欲なんかないっすよ〜。
こんな仕事喜多方西署に任せりゃいいんっすよ〜。
偉そうな本庁のキャリアにコキ使われて子供扱いすんなっつうんだよ…。
鉄警さんに対しても失礼だよ鉄道屋なんて。
鉄道屋だよ私は。
じゃあ俺は鉄道屋助手ですか…。
あ〜ぁ…ドサ回りじゃ表彰チャンスなし昇給チャンスもないわ。
愚痴は黒犬の尻。
黒犬の尻?尾も白くない。
おも…しろ…くない…。
…サムいっすね〜。
〜
(秋山)黒犬の尻っすよ。
観光に来たんじゃないっすからね。
あ〜すまんすまん。
観光スポットの情報を常にホットにしておきたいのが鉄道屋の…本能だ。
(女性教師)生徒に関する質問は教育委員会を通してください。
職権で訊いてるんですよ!答えないとね公務執行妨害になるんですよこういうの!生徒さんの捜査ではありません。
この写真を持っていた女性について調べてるんです。
何か心配事でもおありですか?この生徒さんに。
なんでもおっしゃってください。
お互いの参考になるかもしれませんから。
ひと月ほど前から急に不登校が始まってよからぬつきあいもあるようで…。
隣の会津若松の繁華街で補導されたこともあります。
いい子だったんです。
その生徒さんのお名前は?
(教師)高木由香です。
絵が好きで美大を目指していてお父さんも元教師で…今は絵の塾を開いています。
〜・
(秋山)すみません!
(秋山)高木陽吉さんですか?
(秋山)この写真…あなたのお嬢さんの由香さんですよね?
(高木陽吉)えぇそうですがこれが何か…?昨日長崎純子さんという女性が東京のホテルで殺害されたんですよ。
はぁ…。
ご存じですか?えっなんかテレビでやってましたね…。
この写真を長崎さんが持ってたんですよ。
お知り合いですよね?えっ!?まったく知りません。
お嬢さんからお話を伺いたいんですが。
娘は今外に出てますし東京にはなんの知り合いもありません。
(高木)ここに写ってるのは…まったくの偶然でしょう。
(高木)すみません生徒待ってますんで…。
そんなはずないでしょ…。
待とう。
だって嘘ついてるじゃないですか。
だから待とう。
〜タクシーだ。
はいっ!〜由香!!由香帰ろう…。
(高木由香)嫌よ!
(佐藤美鈴)由香ちゃんここ気に入ってんのよ!いいから帰ろう!嫌だ放してよっ!!写真の女の子だな…。
関係ないでしょっ!!嫌がってんだろこの野郎!!
(神原孝一)よう先生よ!
(神原)久しぶりだな。
…神原!!お前…来い!なんだよ。
(神原)おいおい何なんだよ!
(高木)神原…お前…お前が純子を殺したのか!!何寝ぼけたこと言ってんだよ!神原…!もしな…もし由香に何かあったら俺はお前を…殺すぞ!殺す…?おいおい…俺殺すんだってよ!ははっ!おもしれえじゃん!!やってもらおうじゃんかよっ!!上等だよ!由香…!〜いい筋にブチ当たりましたね。
止めないと父親がケガするな。
(車のクラクション)
(秋山)グッドタイミングですねいつ呼んだんですか?私は呼んでませんよ。
あっ…係長!
(ケンカする声)何やってんだ!待ちなさいっ!!神原孝一さんだね?
(神原)何なんっすか。
訊きたいことがあるんで喜多方西署まで出頭してほしい。
嫌だ騒いでたのは族の連中でしょ?私たちは関係ないわよ。
長崎純子さんはあんたの妹だな?
(神原)あいつは18の時に家出した!もう他人だよ!たった一人の兄だろう。
彼女の財産の唯一の相続人でもあるしな!
(神原)俺が相続!?へぇ!初めて聞いたよ相続人だってよ!いくら入んのよ?なぁ!だからいろいろ聞きたい。
奥さんもだ。
えぇなんで!?私ただの同居人よ!
(秋山)係長!
(染谷)呼び出そうと思ってた。
(秋山)写真の線を追ってたらここに来たんです。
(染谷)報告はあとだ。
そっちは打ち切ってこっちを手伝え!
(染谷)あの兄貴は逮捕して東京に護送することになるだろう。
とりあえず家宅捜索やっといてくれ。
あっ鉄警さんも頼むぞ!
(秋山)写真の線無駄じゃんかよ!気になるな。
家宅捜索…。
私じゃ役に立たんよ。
刑事さんにお任せします。
刑事って…警察じゃん。
〜おい!
(由香)やめてよ!嫌だやめて!嫌だ!嫌だ!やめなさい!やめなさい!
(男)なんだてめぇ!やんのかこの野郎!!覚えてろよ!怪我してないか?親に心配かけないほうがいいよ。
関係ないでしょ。
大人になりたい時期なのかな?でもねつまらん男相手に大人にならないほうがいいぞ。
きっと後悔するよ。
何にも知らないくせに。
ひと月ぐらい前に誰かが君を訪ねて来なかったか?この人じゃないか?どうしてこの人のこと…。
昨日の夕方東京のホテルで殺されたんだ。
嘘…!?昨日の昼間はこの街に来てたらしいんだが。
(高木)刑事さん帰ってください。
(由香)駄目!
(由香)あの人なんで殺されたの?犯人は誰?いやまだそこまでは…。
この子には関係ない話だ。
あんたこそ関係ない!父親でもないくせに。
お前は私の…娘だ。
嘘!見たんだよ…戸籍抄本。
養女って書いてあった。
あの長崎純子って人が私の本当のお母さんなんじゃないの!?お前の母親は10年前に死んだ。
じゃあどうして東京の美大に行くのを急に反対したの!?あの人が訪ねて来てから何もかもおかしいよ!お前は父さんの言うとおりにしてればいいんだ!いつもそう!最後はそうやって押さえつけて!でもね私は父さんの描いた絵じゃないんだよ!血の通った人間なんだよ!どうしてわかってくれないの!?帰ってくれませんか?これは私たち家族の…問題です。
それではすみませんよ。
長崎純子という女性が殺されてるんですよ。
純子を殺したのは神原だろう!あんたも警察だったらとっととあいつを裁きにかけろ!それができない警察なら私が…裁く!馬鹿なこと言っちゃいけません。
私は…本気だ!〜神原ガチガチのアリバイがあるそうです。
鉄道がらみの…。
(秋山)清村さんに招集かかってるんですぐ来てください。
〜300万でいいんだよ300万!純子!!
多額の借金で追い詰められていた孝一はたった一人の身寄りであることを悪用し純子の財産を横取りする計画を立てた。
そうとは知らない純子を和解を装って東京駅のホテルへ呼び出し絞め殺した。
十分あり得ることです。
ところが…
実の妹を殺すわけねえだろ!
(神原)第一俺はなその日女房の美鈴とSL旅行してて夜は郡山のホテルで宴会。
東京に行けるわけがない!
(染谷)調書にするからもう一度詳しく。
(神原)朝一番の普通列車で新津へ行き10時01分発のSLばんえつ物語号に乗りました。
オッケー?よしよし。
(神原)いくぞいくぞ!〜ジャー!いい男に撮れよ!
(美鈴)オッケー!はははは!いやぁ!〜美鈴!今だ!ジャー!
(美鈴)オッケー!
(神原)女房の美鈴は写真を撮りまくり俺はうとうとしながら腹減らしてましたよ。
(警笛)
(神原)小1時間で日出谷へ着きそこの鳥めし「幻の駅弁」っていわれる名物でね。
予約入れといて買いました。
弁当屋さん!神原神原!電話で予約した神原!
(神原)3分停車だからギリギリだったけどね。
いやぁ弁当うまかったなぁ。
神原:はぁいオッケー!
(神原)急いで買ってすぐ戻って…もうがっついて食いましたよ。
〜
(神原)そのあと寝てしまってね。
気がついたら若松でした。
〜
(神原)2時頃の郡山行きに乗り換えて着いたのが3時過ぎ。
(神原)休んでお茶して…6時半から郡山のホテルで宴会。
終わったのが9時過ぎ。
で真っ直ぐ帰りました。
東京に行く時間どこにあるんだ?んだばっ帰っていいやな!まだだ。
(染谷)調書が上がったら署名してもらう。
座ってろ。
そのとおりだとすると犯行は無理ですね。
(染谷)郡山の集まりに出てないとしたら?それでも郡山から乗れる新幹線は上りやまびこ58号。
東京着17時です。
(秋山)清村さんが死体を発見したのは16時30分。
やっぱり犯行は不可能ですねぇ。
被疑者として留置できないな。
いったん放すしかない。
あのSLは全席指定ですからJRを通じて旅行代理店発券の指定券購入者を洗えます。
もしかしたら目撃証言車内の…取れるかもしれませんね。
そうか…。
それと明日は平日でSLは運休ですが会津若松から新津間に乗車してみます。
目撃証言を生で聞くこと実際に駅で降りてみることやっておくべきだと思います。
(秋山)係長は行っても無駄って顔してましたよ。
そのほうがありがたいな。
え?森と水とロマンの鉄道。
そんな美しい路線が人殺しのアリバイの道具であってほしくないな。
〜名物の鳥めしに客が殺到するんじゃなかったんですか?ホームで駅弁を売るのはSLの運転日だけだ。
次の下り15時50分までないっすよ!5時間以上もありますよ!これがローカル線の味だよ。
(クラクション)すみません!はい!昨日電話でお聞きした警察の者ですけど…。
(売り子)あぁ私です。
あのご夫婦に売ったの。
大勢だったでしょうお客さん。
よく覚えてましたね?賑やかだったですから。
大きな声で呼んで走って来て買ったあとは写真いっぱい撮って。
この人たちに間違いないですか?
(売り子)あぁこの人たちです。
派手な格好してたから間違いないです。
ありがとう。
今朝電話で予約した分二つね。
はい。
はい1,400円。
ちょうどお預かりします。
まだ10時過ぎですよ。
朝早かったから腹減ったな。
次の列車までまだ2時間弱あるぞ。
いや…次の下りは5時間後でしょ?いやひとつ隣の駅の鹿瀬から快速あがの1号に乗ればいい。
たしか12時28分発だ。
なるほど…でもやっぱり無駄足ですよ。
アリバイバッチリだもん。
いや収穫はあったよ。
派手なナリで目立つことをやってる。
(シャッター音)ちゃんと教えてくださいよ。
鉄道屋の本能はあとにして。
作られたアリバイって疑いはあるな。
俺だってその疑い持ってますよ。
証拠は?まだない。
とにかく新津の駅員の目撃証言を聞いてみよう。
(メール受信音)SLの車内の目撃証人が見つかったぞ。
え?〜
(駅員)えぇ目立ちました。
はしゃいで走り回ってSLの写真撮ってるもんだからみんな笑ってました。
この人たちですか?
(駅員)えぇ間違いありません。
(秋山)アリバイががっちりなるばかりじゃないですか。
神原と美鈴は二人揃って目立ってる。
いやわざと目立とうとしている。
SLに乗ってましたって…。
見せびらかしてるんじゃないのかな…。
それなのに会津若松での目撃者と郡山に行くまでの目撃者がいない。
そうか!途中で消えた!?いや無理だ。
あの本数の少ないローカル線じゃSLより早く会津若松にも郡山にも着けない。
SLでも東京駅の犯行には間に合わないっすよ。
(汽笛)
(夫)あぁ!このお二人です。
なあ?
(妻)そうねぇ。
賑やかでほんとにもう。
ほぉ賑やか?
(夫)二人で写真を撮りに前へ行き後ろへ行き落ち着いて席に座ったことなかったですから。
あんまり席にいなかった?はい。
ずっとですか?駅弁買ったあとはいたかな?はぁ…日出谷の鳥めし買って来てそのあとえらい勢いで食べてたわね。
そのあとは座ってました。
(秋山)会津若松まで二人とも動かずに?ご主人の方は寝てましたよ。
後ろ姿だけでしたけどあの後ろで縛った長い髪が見えてましたから。
はて…奥さんは見なかった気がするが。
席にはご主人だけだったんですか?いや私は見ましたよ。
ほらトンネルの中で誰かが窓開けて煙で大変なことになったでしょう?あっあぁ!あの煙がおさまった頃奥さん歩いて来られたよ。
その時席にはご主人いましたか?
(妻)さあそこまでは…。
ママ急いで!運転手さん!新幹線乗るの。
急いで!新潟駅!そうか…新潟から上越新幹線だ!〜二人は確かにSLに乗った。
新津駅では夫婦ではしゃいで写真を撮り乗り込むのが目撃されている。
〜ジャー!いい男に撮れよ!車内でも同じことをしてあの夫婦に見せつけている。
女の方がろくに席にいないってことも印象づけていた。
あとの仕掛けのために。
〜弁当屋さん!神原神原!電話で予約した神原!二個!オッケー!かわいく撮れた?仕掛けは日出谷だ。
駅弁を買うのを売り子に見せつけて神原孝一はSLに戻らなかった。
(笛の音)
(汽笛)〜でも神原は日出谷を出たあとずっと席で寝てたんでしょう。
老夫婦が見たのは後ろ姿だけだ。
あれは美鈴だよ。
長髪のカツラを被って鳥めしを急いで食べて帽子を深く被って寝たふりをしていたんだ。
(秋山)でもおばさんは美鈴も見たと言ってましたよ。
それはたぶん…。
〜恐らく美鈴はあらかじめトンネルに入る前に窓を開けておいて車内に煙を入れたんだ。
乗客たちが騒ぎだした隙にデッキへ出て美鈴に戻り自分も居ることを印象づけたに違いない。
大変でしたね
(秋山)で…神原は?下りの新潟行きに乗り換えたんだ。
(秋山)新潟に?逆コースですよ。
郡山へも東京へも遠くなりますよ。
新潟から上越新幹線でまっすぐ東京だ。
(秋山)嘘…11時32分発のSLの後日出谷から新潟へ向かう下り列車は15時50分までないっすよ。
さっき乗ったじゃないか。
〜そうか!隣の鹿瀬から「快速あがの1号」!
(汽笛)〜自転車を置いておいてとばせば日出谷から鹿瀬間は30分もあれば着くだろう。
12時28分発の「快速あがの1号」に余裕で間に合う。
〜快速は新潟着13時36分。
上越新幹線上り「とき322号」13時58分発に乗れば東京着は16時04分。
〜長崎純子と会い前もって用意したロープで殺害しそのあと東京発16時36分の東北新幹線「やまびこ121号」に乗れば郡山着17時58分…業界の集まりに間に合う。
解けたじゃないですか!係長に報告します。
今すぐ引っ張って留置したほうがいいな。
今夜中にケリをつけるんだ。
わかりました。
すぐに連絡します!
(パトカーのサイレン)まだ何か用なの?
(染谷)SL旅行の一人二役はバレたぞ。
何言ってんだかわかんない。
(机を叩く音)
(染谷)警察なめるなよ。
黙秘…黙秘する権利あるんだからね。
鹿瀬駅の放置自転車から神原の指紋が出た。
〜長崎純子殺害の共犯で逮捕する。
殺すなんて知らなかったんだ!金になる面白い遊びやろうってあいつが…あいつが言うから!〜
(神原)おい…ほんとにこの俺が相続できるんだろうな!?
(もがき声)
(染谷)内縁の妻の美鈴はすべて吐いたから共犯で逮捕。
ご苦労だったな。
はい。
タッチの差で逃げられちゃいましたけどね。
長崎財団の青山理事長から電話があってな。
「遺産関係の話で神原と会うことになってるが彼はクロなのかシロなのか?」って聞いてきてな。
昨日の状況ではシロだったんで放さざるを得なかったんだ。
清村さんの勘が当たってましたね。
(刑事)染谷さん!なんだ?なに!?神原が死体で発見された?
(秋山)青酸カリが死因。
車は午後9時に入るのが目撃され死体の発見は同30分。
(秋山)自殺っすかね?逃げきれないと思って…。
(染谷)財団の青山理事長からまた問い合わせがあった。
「今夜こっちで神原と会う約束だったが現れない。
何かあったのか?」って。
今ホテルにいるそうだ。
代議士先生がお出ましですか。
報告と事情を訊きに行く。
君たちも来なさい。
(秋山)はい。
(青山保)驚きましたなそれは…。
とんだことで。
(染谷)自殺か他殺か…まぁこれからの捜査ですが。
先生わざわざ会津若松へは神原とお会いになりに?
(青山)純子夫人の葬儀のこと遺産のこと財団のこと。
神原氏はただ一人の兄ですからね。
その神原氏から「もう一人遺産相続に関わる人物がいる」と…。
それはどういう?夫人にはどうやら養子をもらう意志があったということなんですがね。
(染谷)その養子の相手については?なんでも喜多方で絵の教室を開いている高木という人物のお嬢さんだそうですがその父親がどうしても納得しなかったので夫人も困っておられたとか。
確実なことは神原氏が…。
亡くなられたんだね。
今夜のいつ?
(染谷)午後9時から9時半の間です。
私は21時57分に会津若松着。
まぁどうせ会えなかったが…。
JRでいらっしゃったんでございますか?
(青山)塩原温泉でひと風呂浴びて那須塩原発「なすの247号」を使ってきたんだよ。
車より早いし楽だしね。
いや〜マニアでございますね。
鉄道員専用のダイヤに鉄道時計のスペシャルモデル。
それに…MDレコーダーは走行音の録音用でございますか。
ほう!君もマニアらしいね。
はい。
ローカル線専門でございますが。
いいね〜!ぶらりと訪ねて思いがけず古い車両に出会える。
クモハ11直流電機EF58。
いい駅にも出会えます。
そしていい人たちにも出会えます。
(列車の走行音と警笛の着信音)着メロまで!?列車の走行音を集めるマニアを「音鉄」と呼ぶんだ。
なかなか奥の深い趣味だよ。
あぁわかった。
最近乗ったディーゼルカーのエンジン音がやけに力強くて気に入ってねついこんなことに。
よくわかります。
いや話せるね刑事さん!
(染谷)彼は鉄道警察隊です。
明日ね阿賀野川に沿って新潟まで出てみるつもりだ。
(青山)会津は初めてなので楽しみだよ。
ぜひいい旅を。
(染谷)雑談は余計だぞ。
あっすみません。
ちょっと気になることがあったものですから。
(染谷)何だ?それはまあ…。
(秋山)高木のことでしょう?高木陽吉。
あの写真の女の子の父親ですよ。
その報告受けてないぞ!だっていきなり神原の捜査…。
ごちゃごちゃ言うな!
青山代議士が自分から先にアリバイの存在を言い始めたのが引っかかっていました。
実はもうひとつ胸に引っかかるものがあってただそれが何なのか自分でもわかりませんでした
(高木)こんな時間までどこに行ってたんだ?父さんが死んだら由香お前…どうする?口うるさい邪魔者がいなくなってせいせいするか。
父さん何もわかってない。
何が?感謝してるよ。
尊敬だってしてる。
でも…こんな短い間にいろんなことがわかってそれでも普通でいろっていうの?父さん…なに肝心なこと黙ってるの?私だってもう18歳だよ。
子供じゃないんだよ!〜正直に言うよ。
父さん黙ってるのはほんとは…。
ちゃんと伝えられる自信がないからなんだよ。
(高木)だが…話すべき時が来たらちゃんと話す。
ただ今お前を守ってやることができるのは父さんだけだ。
そのためには何だってする覚悟もできている。
それだけはわかっといておくれ。
(染谷)高木さん!
(ガラスを叩く音)
翌日高木陽吉を神原殺害の重要参考人として出頭させることに決まりましたが…
(パトカーのサイレン)
すぐに手配と捜索が始まり私は単独行動を申し出ました。
鉄道屋の勘で居所はわかってました。
二人きりで話したかったんです
〜昨夜神原が殺されましたね。
はい。
私が容疑者ですか?重要参考人です。
お顔の色がよくないみたいですが…。
私は長崎純子さんと言葉を交わした最後の人間です。
恐らく犯人を除けば。
お客様を目的地まで安全に送り届ける…それが鉄道屋の使命です。
駅の構内で命を落とした純子さんのこと誰よりも責任を感じています。
せめて純子さんが安心して天国にたどり着けるにはどうしたらいいか。
彼女の魂は何を望んでいるのか。
そんなこと考えています。
あなた…変わった人だ。
高木さん。
純子さんの真実を語れるのはあなたしかいません。
どうか供養だと思って話していただけませんか?純子の魂が報われるのは由香の幸せだけでしょう。
実の娘だから?はい。
実の父親はあなたではないんですか?私と純子の間には何もありません。
だが…誰が父親かは純子にもわからないんです。
わからない?
(高木)純子は私が会津若松の高校で美術を教えていたときの教え子だったんです。
実に才能があっていい子だったんです。
その純子がある夜ずぶ濡れになってボロボロの姿になって私の家の前に立ちすくんでいたんです。
集団で暴行されたんです。
それも兄の孝一の仲間たちにです。
純子:来ないで!〜
(高木)孝一は仲間から借りた金が返せず妹の純子を騙して…犠牲にしたんです。
だから…あいつだけは絶対に許せない!〜生まれた子供を死産と偽り施設に預けましてね。
純子を無理やり噂が広がる前に東京へ送ったんです。
それから…私たち夫婦が由香を引き取って養女として育てたんです。
孝一はそのことを?いや…。
だがある日突然現れましてね。
500万円貸してくれないかと。
理由もなく断わったんですがその時…帰ってきた由香を見てしまったんです。
あいつなりに何かを…感じたんでしょうね。
あんなやつでも肉親ですから。
それで由香さんの存在を孝一から聞いた純子さんが訪ねてきたんですね?はい…。
どんなに恨まれてもいいから由香を引き取って改めて自分の子供として認知したいと。
でもあなたは認めなかった。
18歳まで手塩にかけて育てた娘と別れたくなかったからですか?そうかもしれませんね。
私も娘を持つ親ですからよくわかりますよ。
でもねこのままだと何の解決にもならないんじゃないですか?母親の純子さんの悲しみを話してあげなければ…。
…これ以上はもう勘弁してください。
〜ここへ来るまで私はあなたが神原を殺したんじゃないかと思っていました。
でもどうやらそうじゃなかった。
しかしあなたはまだ何かを恐れている。
何から由香さんを守ろうとしているんですか?話してください。
我々なら別の方法で由香さんを守ってあげられます。
あの日…純子は喜多方に現れて由香の写真が欲しいと言ったんです。
これから財団の不正経理を徹底的に暴いて対決する。
だが周りはすべて一筋縄ではいかない敵ばかりだ。
だからどうしてもお守りとして由香の写真が欲しいと。
財団の不正経理?でももし純子が由香の母親だということがわかれば由香の身にも必ず危害が及びます。
現にもう二人も死んでいるんですから…。
今の話…警察で改めて証言していただけませんか?いや…いや…それはできません。
あなたには純子への供養だと思って話をしましたがもう…これからは一切由香の身が安全だと判るまでは誰にも話をしません。
それが…。
(咳込む声)高木さん!
(藤岡)遺産争いで娘の由香に危害が及ぶと考えた高木陽吉が神原を殺した。
動機はある。
高木の病状は?肝障害による静脈瘤の破裂で絶対安静です。
医師の許可が取れ次第事情聴取します。
はい。
(藤岡)はい。
神原孝一は実行犯であり彼を唆した主犯がいて口を塞がれた…という線は考えられませんか?詳しく言ってみなさい。
神原の自宅の捜索で引っかかることがあります。
時刻表が出てきていないようですがあれほどの綿密なアリバイは時刻表なしでは考えられません。
アリバイを考えたやつが別にいると言うんだな?誰が?なぜ?長崎記念財団で不正な経理操作が行われていたという情報があります。
(ざわめき)
(机を叩く音)
(藤岡)そんな報告…こっちにはあがってないぞ。
財団で純子夫人は孤立していたようです。
保身のために皆口をつぐんだんでしょう。
(ざわめき)
(藤岡)静かに!…続けろ。
財団で巨額の経理を動かせる立場の人間で鉄道に関する知識が深く鉄警を一瞬でも欺けるほどのアリバイを考えられる人間…。
青山代議士!
(藤岡)軽々しく国会議員の名を出すな!すみません!君…青山代議士は会津若松に午後9時57分に着いている。
犯行の発見は9時30分だ。
アリバイがあるじゃないか!どこかにトリックが隠されているはずです。
ではまず鉄警の力で解いてみなさい。
確証もないのに国会議員を捜査対象にできるか!
(玲子)鉄警の力でって言われちゃやるっきゃないわね。
「なすの247号」に青山代議士が実際乗ったか乗車券関係を調べてください。
駅員の目撃証言塩原の旅館を割り出して出発時間の確認を…。
しかし青山代議士は確かに温泉旅館を19時頃に出ていました。
20時02分の「なすの247号」に乗るしかない。
そして21時57分会津若松駅へ着きタクシーに乗っています。
だが那須塩原駅や新幹線の車内では目撃者はいません。
国会議員が利用する特別な指定券や議員用無料パスが使用された形跡もない
(玲子)つまり塩原温泉を19時に出て21時57分に会津若松に着いた。
この2点だけは確認されたのに真ん中がすっぽり空白なわけね?青山代議士の行動も空白。
でも新幹線より早く着く列車はありえない。
(山崎)少しブレイクしてください。
ありがとう。
(SLの走行音と警笛の着信音)あ…すみません!
(SLの走行音と警笛の着信音)山崎さん今日から着信音を変えたのよ。
昨日生まれて初めてSLに乗って感動したんだって。
(列車の走行音と警笛の着信音)着メロまで!?あの時何か心に引っかかるものが…。
今わかりました。
何?警笛です。
いくつもの音が重なって美しいタイフォン…。
列車の走行音を集めるマニアを「音鉄」と呼ぶんだ。
(青山)最近乗ったディーゼルカーのエンジン音がやけに力強くて気に入ってね。
ついこんなことにエンジン音には聞き覚えがあります。
ただローカル線好きの私でさえ聞きなれない警笛でした。
普段聞いたことがない響きなのでJR以外の鉄道かな…と思ったんです。
最近乗ったっていうのもにおうわねぇ。
彼外遊から帰ったばかりでしょ?あ!?どうしたの?JRを使わずに行けます。
野岩鉄道の上三依塩原から会津鉄道を経由して会津若松まで行けます。
(玲子)でも私鉄が新幹線より早いなんてある?〜これだ!2つの駅を乗り換えなしで行ける。
快速「AIZUマウントエクスプレス」。
警笛の件は?あとで確認しますがイギリス製の強力なエンジンを積んでいるみたいです。
上三依塩原を19時42分発会津若松21時15分着だから42分早く着きますね。
でも現場までの往復時間ギリギリだね。
神原が殺された鶴ヶ城の最寄りの駅は2つ手前の西若松。
そこからタクシーを飛ばしたんでしょう。
よし決まりだね!
(藤岡)議員パスや指定券のことでなぜ身辺捜査をするのか知りたいと青山代議士の事務所から問い合わせがあった。
甚だ不愉快であると。
アリバイに疑問が生じました。
報告書に書きましたが青山代議士が新幹線に乗ったという形跡がなくおそらく…。
「おそらく」では駄目だ!青山側はプライベートな旅行だから議員特権は使わなかったと言っている。
相手は国会議員だ!アリバイぐらいで引っ張れると思ってんのか!?証拠がいるんだよ証拠が!まったく…だから鉄道屋は…。
会津鉄道ルートで目撃者を当たらせてください!捜査は我々が続行する。
しばらく出入り禁止だ!ただいま。
あなた!お客様よ。
若いお嬢さんよ。
からかっちゃいけませんよ。
あぁこれはこれは由香ちゃん。
(由香)ご相談がありまして…。
晩ご飯まだでしょ?今日はしゃぶしゃぶよ。
どうも食欲がないな。
お茶漬けは…?あなたは?
(由香)私もそれで。
(由香)父がすべて話してくれました。
そう。
(由香)もっと早く話してくれればよかったのに…。
「お母さん」とは呼べなかったかもしれないけどあの人の辛い事情を知っていればもう少し…。
純子:来ないで!来ないで!!やめて!それはね…君を傷つけちゃいけないと思ったお父さんの優しさだよ。
わかってます。
それよりこの間長崎財団の目録を見たんです。
お母さんの肖像画があると…。
ほう。
生きているお母さんにはもう会えないけどせめて絵のお母さんに会えればもしかしたらお母さんと呼べるかもしれない…。
(秋山)ごめんください!どうだった?見つかりましたか?えぇ。
秋葉原で訊いたら意外と簡単に見つかりましたよ。
ありがとう。
多いんですね音鉄って。
あとで聞かせてもらうとしてまぁ上がってください。
あ…いいんですか?それではおじゃまします。
あぁこんにちは!
(秋山)あれ!?
(由香)こんにちは。
(秋山)あれ?…何で?君…今勤務は?雑用…使いっ走りです。
ちょっと手伝ってくれないかな?え?何をですか?由香さんを長崎記念財団へ連れていこうと思ってるんだ。
それって捜査活動ですか?絵を見にいくだけさ。
まぁまぁお話はあとにして召し上がれ!あなたはお茶漬け?しゃぶしゃぶ?僕しゃぶしゃぶで!しゃぶしゃぶ!しゃぶしゃぶ〜。
はい召し上がれ。
お母さんに会いたいお母さんと呼びたい…。
せつないいじらしい願いです。
どうにか叶えてあげたい。
しかし敵ばかりがいる本丸に娘の由香さんを連れていくことは危険でもあります。
(列車の走行音と警笛)
この独特のエンジン音はイギリスのカミンズという会社のディーゼル・エンジンでJRの山岳地帯で活躍しています。
ひとつだけ例外が私鉄の名古屋鉄道で作られました。
その車両が養子縁組みの末今は南会津を走っています
(列車の走行音と警笛)
これです。
確かにあの時着メロで流れた音と同じです。
青山代議士は会津は初めてだと言いました。
この音を録音できたとすれば犯行直前のこの夜しかありえません。
ただそれが証明できたところで殺人の決定的な証拠までには程遠い。
どうしたものか…
あぁ…もう寝ます。
あぁおやすみ。
どうして財布に?ここに入れておけば忘れないでしょう?いちばん大切なものだから。
いちばん大切なものか…。
純子:スリ!お財布をすられました。
(純子)お財布だけでもいいんです。
(純子)中に大切なものを入れてて…。
それさえ戻れば…。
(純子)私のこれからを決める大切なものなんです。
(純子)これからを決める大切なものなんです〜
必ず現れる。
きっと現れる。
純子夫人の財布を抜いたスリはこの大宮がベースなのです
〜現れました。
はい了解。
スリは現行犯逮捕が基本です。
待つしかありません
6日前の日曜日…新幹線やまびこ号の車内でハコやってここで逃げたの覚えてんだろ?
(ハコ師)スリは現行犯逮捕が基本だろ。
済んだこと今さら言われたってさぁ。
お前が財布を抜いたあの女な殺されたよ。
知ってんだろ?やだやだ関係ないよあたしは!財布の中に何が入ってたか知ってんだろ!見たんだろ!はぁ?あの女なぁそのせいで殺されたんだよ。
見たんだろ?何が入ってたか。
神様仏様…バチが当たりそうで捨てられなかった。
でも…そんな怖いもんならお返しします。
早く持ってってよ!〜
(館員)今日はお休みですよ。
実は長崎画伯が描かれた純子夫人の肖像画を観たいのですがどこに展示されてますか?純子夫人のお別れ会が今夜あるんです。
それで一般の方はお断りしているんですが…。
こちらが本来その喪主であるべき人なんですが…。
そういうことを主張しにきたわけではありません。
ひと目母である純子夫人に会いたいとそういうことで来ました。
お願いします。
(石田修二)高木由香さんですか?
(石田)こちらへどうぞ。
(長谷部知治)石田君!勝手な真似は許さんぞ。
何がですか?得体の知れない人間を勝手に入れるなと言ってるんだ!得体が知れないなんて失礼じゃないですか。
この方は純子夫人の娘さんなんです。
娘!?でたらめを言うな!証拠でもあるのか!?あります。
(笑い声)遺産目当ての詐欺師どもが!帰ってもらいなさい!警察!?なぜだ!?とにかく青山先生に報告しなさい。
あなたがしてください。
私はこの方々をご案内します。
さぁどうぞこちらです。
(石田)やっぱり純子夫人に面だちが似てらっしゃる。
そうですか…。
私は長崎先生に師事した画家の石田と申します。
由香さんのことは財団の特費留学生に推薦したいと夫人から相談されてました。
そうでしたか。
ところで先ほどの証拠というのは…。
あっ…もしものことがあっても妙な人の手に渡らないようにと夫人から僕がお預かりしたものです。
これは法的根拠のあるものです。
あなたに託します。
どうかよろしくお願いします。
これで財団もおしまいです。
夫人が命を懸けて守ってきた絵画も数年後には海外に流れてるでしょう。
(石田)私は理事長の青山の力に怯え何もすることができなかった。
お母さんの形見だ。
どこかで暮らす娘のために毎年お守りを貰っていたのかな。
今年は君の大学受験の年だからきっと合格祈願のお守りだな。
お母さん…。
(すすり泣く声)〜
(青山)「今は山中今は浜」「今は鉄橋渡るぞと」「思う間もなくトンネルの」「闇を通って広のはら」「遠くに見える村の屋根」
(青山/清村)「近くに見える町の軒」「森や林や田や畑」「後へ後へと飛んで行く」「回り灯籠の絵のように」「変わる景色のおもしろさ」「見とれてそれと知らぬ間に」「早くも過ぎる幾十里」
(拍手)〜鉄道好きには…孤独な人間が多い。
そうでしょうか?鉄道は自分では所有できないものだ。
だからみんな心の中に理想の鉄道を描いて走らせようとする。
理想というものは結局…他人には理解されない。
あなたは政治の上でも高い理想を掲げておられましたね。
しかしそれを実現するためには莫大な金が必要だったんでしょうか?何が言いたいのかね?あなたは時価数十億ともいわれる長崎画伯の絵画を抵当に不正な政治資金を得ていましたね。
それを知った純子夫人はあなたを告発しようとしていたんじゃありませんか?そんな事実はないよ。
隠しとおせたと…思っているようですな。
これは純子夫人が財団を守るために手に入れた二重帳簿と告発状のデータです。
外部の監査法人に渡せばこれが正当なものであるかどうかはすぐにわかります。
もちろん…金の流れもね。
不正があったとすれば財団としても厳正な処分をしなければならない。
こちらでしっかり調査して首謀者を特定するので渡していただこうか。
何をおっしゃってるんですか?首謀者はあなた様じゃありませんか。
ほんとにこの俺が…相続できるんだろうな?おい!
(クラクション)
(神原)あぁっ!!告発者の純子夫人を殺すように指示して実行犯の神原の口を封じた。
(青山)馬鹿馬鹿しい。
私は純子夫人が殺された日に海外にいた。
神原が殺された日のアリバイも君に話しただろ?アリバイなら崩れましたよ。
あなたは塩原温泉を出たあと新幹線を使わずに「AIZUマウントエクスプレス」で会津若松へ向かったんです。
証拠は…これです。
(列車の走行音と警笛の着信音)
(足音)あなたはアリバイ作りのためにあの列車に乗りましたね?しかし独特な走行音と美しい警笛…それを聞いたあなたは鉄道マニアの血が騒いだんじゃありませんか?
(列車の警笛)たとえその列車に乗っていたとしても私がやつを殺した証拠にはならない!いいかげんにしなさい!あなたには鉄道を愛する資格などない。
心の中では理想の鉄道を走らせてはいるんでしょうがそれを人殺しの道具に使うなんて…。
あなたはそんな自分を許せるんですか?〜
(青山)2か月前…絶縁していたはずの神原と純子夫人の会話を偶然耳にしました。
神原は子供の消息がわかったことを伝えて兄妹の縁を戻そうという腹のようでしたが…当時もう純子夫人は経理の不正に気づいていました。
私は和解の線を探りましたが夫人は決して妥協しなかった。
事が明るみに出たら私の政治生命は絶たれてしまう。
もう純子夫人に消えてもらい財団を私物化するしかない…そう思っていたやさきでした。
神原には純子夫人が養子を迎えれば資産はすべて子供のものになると教えました。
もし数十億の資産を動かしたければ養子を迎える前に純子を消すしかないと…。
あの日…全面的に謝罪すると伝えて純子夫人を東京ホテルに呼び出しました。
(青山)外遊日程は最初から一日短く伝えてあったので疑われなかった。
純子夫人を殺した神原はすぐに始末するつもりでした。
行きましょうか。
先生のことは調べさせていただきました。
最初の選挙公約は「社会的弱者に夢を」「命の尊さを子供たちに伝えよう」でしたね。
嘘があったとは思えません。
だからこそ最後の過ちが私にはどうしようもなく腹立たしいんですよ。
〜あなたは孤独には見えないな…。
私には鉄警という仲間がいますから。
それに鉄道を愛するあなたのようなマニアも仲間ですよ。
もう少し…早くお会いしたかった。
私もです。
誘ってくれて嬉しいです。
感激です。
捜査で来るだけじゃ君…土地土地の懐の温かさがわからないからね。
ここに来たときもあの代議士に会いに来たときだったからなぁ。
夜だったし。
あぁのんびりしますね。
仕事じゃ気分がせこくなるのになぁ。
秋山君!仕事に対してねそういう言い方は…。
黒犬のお尻!尾も白くない…。
何を言ってるんですか。
おもしろくないっすよ!
(秋山)あっ…俺が誘いました。
(由香)ほんとにありがとうございました。
これ父が完成させてくれました。
〜あっいたいた!お母さんこっちこっち!おとうさ〜ん!たまには旅行もいいわね〜!これも仕掛け人は君だな?清村さんでもおたつくときがあるんだ。
白犬のお尻っすか?尾も白いか?おもしろい?馬鹿言っちゃいけませんよ!お父さん来たよ!おとうさん会いたかった!どうも。
どうもどうも。
挨拶をしなさい。
おとうさん背中でも流そうか?ほら…。
えっ?あらっ…鯉!おとうさん!鯉がいるわよ!鯉!恋の時期は過ぎましたね。
ささやかな人生です。
自分の命いっぱいにみんな生きてます。
一句浮かびました。
「露の世や露の世ながらさりながら」作者残念ながら一茶です
2016/01/22(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「鉄道警察官 走る捜査線」[字]
東京と奥会津を結ぶ連続殺人の裏に秘められた父と娘の哀しい愛情物語を、清村が紐解く。一度は壊れかけた親娘の絆が、再び強く結ばれることを祈って——。
詳細情報
番組内容
ある日、非番でローカル線の旅をしていた鉄警隊員・清村公三郎は、車内でスリにあった女性・長崎純子に遭遇する。「盗まれた財布の中にはこれからを決める大切なものが入っている」という純子に清村は被害届を出すように勧めるが、純子は人と会う約束があると言い、一端その場を離れる。
その後、純子が宿泊している東京駅のホテルを訪れた清村は、何者かに首を絞められ死亡している純子の姿を発見する…。
出演者
小林稔侍、丘みつ子、森本レオ、村田雄浩、根岸季衣、中村俊太、草見潤平、末永遥、山田辰夫、光石研、小沢象、真瀬樹里ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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