日本年金機構に虚偽の書類を提出し、架空人物名義の健康保険証をだまし取ったとして、警視庁組織犯罪対策特別捜査隊は26日までに、韓国籍の無職、李虎稔容疑者(53)=住所不定=と職業不詳、河野誠容疑者(42)=福岡県田川市伊加利=の2人を有印私文書偽造・同行使と詐欺の疑いで逮捕した。
警視庁は李容疑者の関係先から約360枚の健康保険証を押収した。遅くとも2012年ごろから保険証の不正発行を受けていたとみている。一部は銀行口座の不正開設やインターネット通販の商品受取時の本人確認などに使われていたという。
逮捕容疑は昨年8月、架空の人物を雇用したとする届けを日本年金機構に提出。健康保険証4枚などをだまし取った疑い。
警視庁によると、李容疑者は「弁護士と相談してから話す」と供述。河野容疑者は「保険証をだまし取るのは知らなかった」と否認している。
事業主が従業員を健康保険に加入させるには、氏名、住所、基礎年金番号などを記載した「健康保険厚生年金保険新規適用届」を日本年金機構に提出し、審査を受ける必要がある。
警視庁によると、李容疑者らは架空の50代男性を北九州市の人材派遣会社で雇用したように偽装。同人名義の新規適用届を年金機構に提出した。人材派遣会社は実体のないペーパーカンパニーだという。
提出した書類に記載された基礎年金番号は、何らかの手口で実在の人物の番号を不正入手した可能性があるとみている。
年金機構は全国健康保険協会にデータを送信し、同協会が李容疑者側に保険証を発行していた。
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