21日の債券市場で、韓国の10年物国債の利回りが年1.995%と過去最低を記録し、1%台に突入した。25日にはやや持ち直し、2%台をぎりぎりで回復しているが、債券のような「安全資産」に資金が流入しており、いつ再び1%台まで下落してもおかしくない状況だ。
韓国銀行が昨年6月、政策金利を過去最低の1.5%に引き下げ、既に金利1%台時代を迎えてはいたが、10年物の長期国債利回りまでもが1%台に低下したのは初めてだ。
長期金利の低下は、資金を長期運用する保険会社などが景気の先行きを悲観し、10年物国債を大量に買い付けているためだ。買い注文が殺到し、債券価格が上昇すれば、利回りは低下する。過去最低の低金利でも景気が回復するどころか、ますます冷え込んでいる。正常な状況であれば、企業と家計が低コストで資金を借り入れ、投資と消費に回すため、景気は徐々に拡大し、市場金利に上昇圧力がかかるが、韓国の市場金利は低下を続け、ついに10年物金利が米国債利回りを下回った。金利と同時に成長率見通しも低下している。韓国銀行は最近、今年の経済成長率見通しを当初より0.2ポイント引き下げ、3.0%とした。既に民間の経済シンクタンクは2%台の成長率を予測している。
景気浮揚に向け、利下げを行ってもうまく機能せず、景気がむしろ後退する今回のような現象は1990年代初めの日本でも起きた。日本は当時ゼロに近い超低金利を採用し、「失われた20年」の泥沼にはまった。韓国も90年代初めの日本のように「流動性のわな」に陥ったのではないかという懸念が高まっている。