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[FT]ビジネスエリート、長時間労働はもはや「下品」

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2016/1/26 6:30
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 先週、銀行の幹部らが集まる社交イベントで、ふと気づくと、雑談を交わす6人の男性の輪に入っていた。グループを見回すと、5人が炭酸水の入った大きなグラスを握りしめていた。私と一緒に、えんび服姿のウエーターが差し出してきた冷えたシャンパンのフルートグラスを受け取ったのが1人しかいないことに気づいた。

クリスマスのシーズン、ロックフェラーセンターの窓は明るく、仕事をする人が見える(米ニューヨーク)=ロイター
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クリスマスのシーズン、ロックフェラーセンターの窓は明るく、仕事をする人が見える(米ニューヨーク)=ロイター

 私はこのグループの節度についてコメントするという過ちを犯し、1月はみんな禁酒しているというとりとめのない会話に火を付けてしまった。しばらくすると、シャンパングラスを持った男性が、自分はアルコールよりずっと難しいものを断ったと宣言した。

 彼の決意は、(1月の)31日間だけでなく死ぬその日まで、過度な仕事を控えることだった。要領を得ない会議に出たり、夜11時にメールを書いたりすることに、うんざりしたのだという。

 過去3週間というもの、以前と同じだけ仕事の成果を上げたが、平均して週に7時間しか働かなかった。そして残りの時間を楽しく過ごしたそうだ。

 この話について驚くようなことは何もない。完璧に筋が通っている。仕事の量は持ち時間を埋めるように増えていく等々、言われる通りだ。それに彼は自分の予定を自分で決められるくらい上の立場にいる。

■働く時間の短さを自慢

 私がこの話をことさら取り上げる理由は、これが私の待っていた、夏の到来を告げるツバメかもしれないからだ。過去20年間、過大な報酬を得ている専門職の人々は、昼夜通して働き続ける永遠の冬から抜け出せず、それを普通のことと思うばかりか、立派なことだと見なしていた。

 ところが、ここに、競争が熾烈(しれつ)でワーカホリックな業界の上層部にいながら、働く時間がどれほど長いかではなく、どれほど短いか自慢することで同業者たちに自分を大きく見せようとしている人がいたのだ。

 これは何か大きなものの始まりである可能性がある。バートランド・ラッセル(哲学者)とジョン・メイナード・ケインズ(経済学者)はともに、1930年代に予想していた。なかなか実現しなかったが、もしかしたら、それがついに起きつつあるのかもしれない。

 昨年、私は2カ月ほどかけて働き過ぎをテーマとしたラジオのドキュメンタリー番組を制作した。自ら選んで四六時中働く人や、この現象について研究した専門家を取材して回った。

 取材で分かったのは、大ざっぱに言って、予想していたことだった。つまり、専門職の人たちは4つの理由から長時間働く。

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