Windows 10 MobileのContinuumは、対応スマホへ外部ディスプレイを接続することによって、Windows 10のデスクトップ・ライクな環境を使えるようになります。非常に期待されている機能ですが、これまで無かっただけにいろいろ情報が交錯していますので簡単にまとめてみたいと思います(写真はイメージです。Lumia 1520はContinuumに対応していません)。
外部ディスプレイへの接続方法は3種類。但し...
現在、Continuum対応のWindows 10 Mobile搭載スマホは、ワールドワイドで見ると、出荷済みはMicrosoft Lumia 950/950XLただ2機種。発表済で販売待ちなのが、Acer Liquid Jade Primoとトリニティ NuAns NEOの2機種となります。
現時点で国内に流通している、KATANA01/02、Diginnos Mobile DG-W10M、MADOSMA、EveryPhoneは、Snapdragon 210か410なのでもともとContinuumには非対応。Miracastを使ったミラーリング表示のみの対応です。
Microsoftが公開しているContinuum対応のシステム要件はここに英文ですが書かれていますので、興味のある方はご覧ください。
要約すると、SoCはQualcomm MS8952、MS8992、MS8994(つまりSnapdragon 617/808/810)で、メモリ2GB(パネルHD時)、ストレージ16GB、Bluetooth 4.0、Wi-Fi 802.11n dual band、Miracast...となるでしょうか。
上記したContinuum対応スマホのSoCは、Lumia 950XLがSnapdragon 810、Lumia 950とLiquid Jade PrimoはSnapdragon 808、そしてNuAns NEOがSnapdragon 617となります。
Snapdragon 810 > 808 > 617の順にクロック数やコア数など、パフォーマンスに影響する部分が違うのはもちろんですが、外部ディスプレイを接続するという意味で大きく違うのは、Snapdragon 808/810はUSB 3.0対応、Snapdragon 617はUSB 2.0対応がキーポイントです。
Continuumのイメージ(左) / Microsoft Display Dock(HD-500)(右)
既にいろいろなサイトでContinuumについて紹介されていますが、基準は購入可能なLumia 950/950XLが対象となっていました。従って接続方法は3種類あります。
1)Microsoft Display Dock(HD-500)
2)Type-C接続のHDMI(DisplayPortも含む)アダプタ
3)Miracast接続
1)と2)は基本的には同じでType-CのUSB 3.0を使い外部ディスプレイへ接続します。Microsoft Display Dockの方が多機能で、USB 2.0×3、HDMI/DisplayPort、充電機能なども備えていますが、国内販売はされていません。Type-C接続のHDMIアダプタは量販店でも購入可能です。対して、3)はUSB 3.0を使わず、Miracast(Wi-Fi)で外部ディスプレイと接続します。
さて話を戻すと、国内初上陸(技適を通っているという意味で)となるContinuum搭載スマホは、NuAns NEOただ1機種。今月末から販売開始の予定です。
搭載しているSoCはSnapdragon 617。つまりUSB 2.0にしか対応しておらず、先の1)2)の方法は使えません。唯一3)のみで外部ディスプレイへ接続可能となるのです。USBの形状がType-Cなので1)や2)へ接続自体は可能ですが、機能しないため要注意!
参考までにContinuum時、外部ディスプレイに表示可能なアプリは、UWPでContinuumに対応しているアプリのみとなります。Windows 10 Mobile標準アプリ(Office Mobileも含む)やFacebookアプリなどは対応していますが、Twitterアプリなど、Windows Phone 8.1アプリは使えません。
ただアプリの区別はアプリストアに明確な表示は無く、説明に書かれている程度なので、[Continuum OK]的なアイコンを設けるなど、もう少し分かり易くして欲しいところです。
Miracast/Intel WiDi対応ScreenBeam Mini2
Miracast/Intel WiDiに対応したアダプタは数多くの種類が出ています。最近ですと、Surfaceのオプション、Microsoft Wireless Display Adapterが有名でしょうか。ただこれは既に数多くレビューが載っていることもり、今回はあえてActiontecのScreenBeam Mini2をピックアップしました。もちろん国内で購入可能です。
Microsoft Wireless Display Adapter(左) / Actiontec ScreenBeam Mini2(右)
主な仕様は表をご覧ください。スティックタイプのアダプタで、Miracast/Intel WiDiに対応し、電源はUSBから供給します。付属品は、USBタイプのACアダプタ(5v/1A出力)、USBケーブル、HDMI延長ケーブルとなります。
ScreenBeam Mini2の仕様
ビデオ出力 | 1080p30 HD (H.264) | |
---|---|---|
音声出力 | ステレオ(LPCM) | |
インタフェース | HDMI Type-A | |
著作権保護(DRM) | HDCP 2.x | |
ワイヤレス規格 | 802.11 a/b/g/n、2.4GHz & 5GHzデュアルバンド | |
ワイヤレス認証 | WPA2、バーチャルプッシュボタン式WPS、128ビットAES | |
入力電源/消費電力 | 5V(1A) / 3W未満 | |
サイズ/重量 | 29.5 mm x 98 mm x 12 mm / 39.5g |
各種設定やファームウェアのアップデートは、WindowsアプリやAndroidアプリから可能です。Windows版(左) / Android版(右)
最新版のファームウェアは5.3.9.0(2016/1/3)です。リリースノートによると「Improved latency when using Windows 10 phone」とありますので、アップデート後にテストしました。
Continuumではありませんが、Lumia 1520を使ってミラーリングで試したところ、YouTubeの1080p/30fpsは遅延なくスムーズに再生されました(UWPアプリのPerfect Tubeを使用)。サウンドはHDMIに信号自体は乗っているのですが、接続したディスプレイにオーディオ回路が無いため、別途Bluetooth/aptXでスピーカーに出力。こちらも遅延無く再生と、快適に観れました。NuAns NEOでのContinuumにも期待できそうです。
同社のサイト、最後にあるScreenBeam Mini2 Continuum Editionは、ベースは同じで、アダプタ側のUSBコネクタへ付属のY字ケーブルを接続し、一方は電源、もう一方はUSB接続のマウスやキーボードなど、HIDデバイスを接続できます。確かに用途をContinuumに限定すれば便利そうですが、スマホ側のBluetoothやType-Cへ同種のデバイスは接続可能なので、特に無くても困りません。既にUSでは販売中ですが、国内は未だのようです。
以前からMiracastアダプタはあったものの、量販店へ行ってもほとんど無く、広く一般に注目されるのはこのContinuumからになるかも知れません。アダプタの機種によってパフォーマンスも随分違うとの話です。NuAns NEOの影響(?)で一瞬品薄になる可能性もありますので、興味のある方は事前に確保した方が無難でしょう。
2月4日にはVAIOからWindows 10 Mobile搭載スマホが発表されます。SoCに何を搭載しているのか非常に気になりますが、もしSnapdragon 617以上であれば、国内2番目のContinuum対応機になるため、今から楽しみにしています。