迷ったらこれ!百合ビギナーにもおすすめの百合漫画10選

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清純を象徴し、気高くひっそりと咲く百合の花。女の子同士の恋を描く「百合漫画」は、ピュアな尊さがたっぷり。友情から恋へ、戸惑いながら進んでいく少女たちの姿には、恋本来のときめきも詰まっています。
今回は、定番から話題作まで、百合漫画を初めて読む方にもおすすめしたい百合漫画10作品をご紹介します。
百合漫画の「百合」とは?
漫画における「百合」とは、女性同士の同性愛のことで、日本初の男性同性愛専門誌『薔薇族』の初代編集長である伊藤文学さんが命名した造語です。
レズビアンの人たちのことを「百合族」というのは、僕が考えました。百合はほら、ナルシシズムの象徴だから。(「ニコニコニュース」インタビュー記事より抜粋)
源流は大正時代の少女小説で、精神的な繋がりを描いたその内容から「S(エス、Sisterの頭文字)」と呼ばれていた時代もあり、現在は男性同士の恋愛を描く「BL(ボーイズラブ)」に対して「GL(ガールズラブ)」と呼ばれることもあります。
一般的に「レズ(レズビアン)」よりもプラトニックな関係と言われますが、最近は肉体的接触を描く作品も増えており、その境界はやや曖昧です。主体となる女性も、かつては少女(特に女子学生、先輩と後輩の関係性など)が中心でしたが、成人女性同士の恋愛も「百合」と称するようになっています。
トモダチだから言えない、でもトモダチじゃいられない『ささめきこと』
完結『ささめきこと』 全9巻 いけだたかし / KADOKAWA / メディアファクトリー
女子にしては身長の高い純夏(すみか)は、成績優秀で運動神経抜群のクラス委員長。そんな純夏が片想いしているのは、親友の汐(うしお)。それは誰にも言えない恋。だって、汐も女の子だから……。実は、汐はもともと女の子が好きな女の子。でも、中学の時にそれが原因でいじめられており、また、汐の好みが「かわいい子」ということで、純夏は自分の気持ちを汐に告げることができません。かわいい子にぽーっとなる汐に、時にはきつい言葉を投げかけてしまうことも。
作品タイトルの「ささめきこと」とは、ひそひそ話、ささやきのこと。転じて男女の睦言(むつごと)のことを指します。簡単には伝えることができない純夏の心の声には、本当の恋に踏み出す前のもどかしさや切なさ、そして憧れと妄想が詰まっていて、読んでいると胸がぎゅっと締めつけられます。トモダチだからこそ、そばにいられる。でも、トモダチのままじゃいたくない……。
純夏、汐、それぞれの心情が丹念に描かれ、「誰かを好きになる気持ちに、性別なんて関係ない!」と思える作品です。2人の気持ちが通じあい、汐にかわいいと言われた時の純夏が本当にキュート! 卒業式、そして汐の兄の結婚式の2人の姿に、これからどんなことが待ち受けていたとしても、幸多からんことを! と願わずにいられません。
2009年にはアニメ化もされた百合漫画の定番です。少女同士のまっすぐな思いが、さわやかに描かれた本作。あふれんばかりの切なさが特徴ですが、女子同士のやり取りにクスッと笑える部分もあって、ほんわかした気分になりますよ。
じっくりゆっくり育てる、ピュアな恋心『あさがおと加瀬さん。』
完結『あさがおと加瀬さん。』 全1巻 高嶋ひろみ / 新書館
隣のクラスで陸上部の加瀬さんは、言葉遣いがちょっと乱暴だけど美人でかっこいい女の子。ある夏の日、育てたあさがおの前で加瀬さんと話した引っ込み思案な山田(加瀬さんは主人公を「山田」と呼びます)は、それから加瀬さんを見ると、もうドキドキしっぱなし! 実は加瀬さんも、ずっと草むしりをしていた山田が気になっていて……。夏休み中も会いたかったと言われ、思わず泣いちゃう山田と、それを見てオロオロする加瀬さん。そんな2人がとにかく尊い!!
女の子が気になるなんて初めての山田。どうしたら良いか分からなくて、一人でぐるぐる悩んでしまいます。一見、地味っ子の山田ですが、一つ一つの表情がとにかくかわいいんです。
性格もクラスも部活も違うのに、友達になった2人。でも、なんだか普通の友達じゃない。ちょっとしたことで嫉妬したり、落ち込んだり、それでもできるだけ一緒にいたい! 初めて自転車に2人乗りして帰った日(「自転車と加瀬さん。」)、2人での初めての買い物(「スニーカーと加瀬さん。」)、一緒に過ごす時間を増やしながら、徐々に自分たちの気持ちに気がついていきます。その過程がとてもリアル! ピュアで甘酸っぱくて、読んでいて本気で胸がキュンとなります。
女子のかわいさもカッコよさも、ぎゅっと詰まっている本作。2人の純粋さに間違いなく癒されます。本作の続編となる、3年生で同じクラスになった2人を描いた『おべんとうと加瀬さん。』、進路に揺れ動きながら2人の関係が進展する『ショートケーキと加瀬さん。』も、ぜひとも一気読みを!
極上の紅茶とスイーツのような2人の関係『飴色紅茶館歓談』
『飴色紅茶館歓談』 1~2巻 藤枝雅 / 一迅社
女子高生・さらさがアルバイトをしているのは、飴色紅茶館。店主の芹穂と2人、穏やかに店を営んでいます。ちょっと天然でおっとりした芹穂は、しっかり者のさらさに何かと頼りがち。でも、さらさが頑張っているのは仕事のためだけじゃないって、芹穂は気がついているのか、いないのやら……。
ただ、そばにいたい。その人がいるだけで穏やかな気持ちになれる。極上の紅茶とスイーツのようにお互いを引き立て合うさらさと芹穂。 50年後も一緒にいるために、さらさは製菓の道に進むことを決意します。しかし、店の経営が悪化し、飴色紅茶館は閉店の危機に!
作中では、ちょっとした紅茶の知識やスイーツの紹介などもあり、どれもおいしそう。また、さらさの高校と飴色紅茶館での制服姿が、とにかくかわいくて萌えます!
普段はしっかり者のさらさですが、恋のイニシアチブを取るのは年上の芹穂です。そんな芹穂にドキドキして、感極まって泣いてしまうさらさ。50年後も紅茶を淹れる2人を見守っていたい、そんな気持ちになる作品です。
第2巻には、ラジオ番組を舞台にした「乙女色 Stay Tune」が同時収録されています。こちらもドキドキの百合漫画ですので、あわせてお楽しみください。
最悪の出会いから始まった義姉妹の熱い想い『citrus』
『citrus』 1~4巻 サブロウタ / 一迅社
ギャルな見た目とはうらはらに恋愛経験ゼロの柚子。母親の再婚で転校した女子校で、最悪の出会い方をした生徒会長・芽衣が、なんと義理の妹! しかも、芽衣が教師と校舎裏でキスをしているのを目撃してしまい、それがきっかけで、柚子は芽衣にファーストキスを奪われてしまいます。純な柚子は、キスされたことをきっかけに芽衣を意識するように……。
父親が長期不在の中、ガチガチのお嬢さま学校で、理事長の孫娘として生徒会長を務めている芽衣。その鎧の下の柔らかい部分に、柚子は持ち前の明るさで触れていくのですが、2人の気持ちはすれ違い、なかなか1つになりません。
エスカレーター式のお嬢さま学校に編入してきた柚子が、閉鎖的だった学校を変えていく学園ものとしても読みごたえあり。性格も外見も全く違う2人が、1つの部屋で背中を向けながら、それぞれに思い悩む姿が切ないです。第4巻ではようやく2人の関係性に「兆し」が! これからどんな風に絆を深めていくのか、続きが気になる作品です。
天才と努力家のGirl meets girlストーリー『あの娘にキスと白百合を』
『あの娘にキスと白百合を』 1~3巻 缶乃 / KADOKAWA / メディアファクトリー
主人公の白峰あやかは、品行方正で成績優秀。おまけにかわいらしく、清蘭学園の生徒の鏡と言われています。中等部から高等部へ進学し、これまで通りの秀才ポジションのままと思っていたのですが、なんでもできる天才少女の黒沢ゆりねの出現で、何やらその日常に変化が!
授業中は寝てばかり、自由がないという理由で部活にも入らない変わり者のゆりねは、ちょっと孤立気味。ある日、クラスメートとの交流の機会を作ってくれたあやかに急接近していきます。天才と努力家が、時に反発しながらもお互いに惹かれていく様子が、丁寧に描かれています。
黒髪で清楚な雰囲気のあやか、ショートカットでちょっとずぼらでワイルドなゆりね。容姿は対照的なのですが、笑ったり怒ったり照れたりと、2人の表情が目まぐるしく変わるやりとりは、まさに「尊い……!」の一言。あやかのルームメイトで従姉妹の瑞希と陸上部マネージャーの萌など、2人を取り巻く他のキャラにも胸がときめくストーリーがあり、そちらも楽しめます。努力家のたくましさ、天才の孤独がうまく活かされ、反発したりくっついたり、そんな2人の姿に甘酸っぱい気持ちになること間違いなしです。
でこぼこな2人の一途な気持ちにキュンとなる!『終電にはかえします』
完結『終電にはかえします』 全1巻 雨隠ギド / 新書館
お嬢さま系美少女のあさきの夢は、校内ミスコンでの優勝、そこから女子アナになって、サッカー選手と結婚して玉の輿にのること。電車での通学中、プリン頭にマスクの後輩・ツネが盗撮から守ってくれたことから、2人は親交を深めていきます。一見不似合いな2人ですが、ある日、マスクを取って頬を赤らめうつむくツネの顔を見た途端、そのかわいさに、あさきの頭からミスコンも玉の輿の夢も吹っ飛んでしまったのです。
ヤンキーみたいな見た目で、口調も「っス」と男子みたいなツネですが、あさきにとってツネは「ちっちゃいドーブツ」。ひょんなきっかけで始まった友情は、あさきが高校を卒業する頃まで続きます。でも、その思いはなんだかちょっと苦しくて……。
高校卒業目前に記念のプレゼントを買いに出かけ、そこで2人の気持ちがはじけるシーンは、百合ファンでなくとも、あまりの尊さに涙腺がうるうるしてしまうほど。女の子っぽいあさきが、ツネに対しては(ある意味)男らしいところも萌えポイントです!
表題作の他にも、百合漫画の魅力が味わえる作品がぎゅっと詰まった作品集です。おすすめは、幽霊になってしまった少女と、幽霊が見える女の子の一生をかけた物語「永遠に少女」。誰が何と言っても、愛しいものからは離れられない。そんな永遠の想いに尊さを感じてしまいます。
漫画も恋も、ゆっくりまったり育てていく『まんがの作り方』
完結『まんがの作り方』 全8巻 平尾アウリ / 徳間書店
13歳で漫画家デビューしたものの、その後は鳴かず飛ばずになってしまった川口さん。19歳になって再び漫画家を目指すことを決意します。漫画のネタ(ガールズラブ)にと、自分のことを大好きな後輩・森下さんと付き合うことにするのですが、実は森下さんは現役高校生漫画家(ペンネーム さち)だったのです! 2人はお互いの漫画にいろいろな影響を与えあいます。でも、それは決していいことばかりではなくて……。
とても繊細なタッチで、複雑な女の子の気持ちが描かれています。また、恋愛要素だけではなく、漫画を描くことの厳しさと楽しさも味わえる作品です。森下さんと同居することになったアシスタントの武田さんの頑なさにクスッとなるなど、脱力系ギャグも独特の面白さ! 森下さんのことを好きな川口さんの弟・政人の複雑な心境が描かれていたりと、登場人物が女性だけじゃないところもポイントです。
途中から静岡と東京で遠距離恋愛になってしまう2人は、漫画の締め切りもあり、思うように会うことができません。会えば会ったで、川口さんのネームの仕上がりが遅くなってしまったり。思うようにならない2人の関係はとてもゆっくりまったりしています。でも、そんな時間を愛でたくなる作品です。
まだ恋が分からない2人の物語『やがて君になる』
『やがて君になる』 1巻~ 仲谷鳰 / KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
小糸侑は、中学卒業時に同級生の男の子から告白されたものの、恋をする気持ちが分からず悩んでいる高校1年生。文武両道の美人で、10人以上に告白されたことのある先輩・七海燈子が「どきどきしたことがない」ということを知り、自分と同じだと感じた侑は、燈子に相談します。ですが、燈子から「私 君のこと好きになりそう」と言われてしまい……!?
誰かを「特別」に想う気持ちってどういうことなんだろう? ということを、侑と一緒に考えさせられるストーリーです。先輩・後輩という関係性ですが、頬を染めて素直な気持ちを伝えてくるのは先輩の燈子。後輩の侑はかなりドライで、むしろ燈子に対して「自分と同じ側の仲間」だと思っていた分、裏切られたように感じています。
「先輩 どれだけわたしのこと好きなんですか」
と、燈子を少し試したり、挑発するような素振りを見せたりしながら、自分に恋心を向けてくる燈子に対して「どうして私を好きなのか」を考え続けます。
女の子同士の無邪気なじゃれあいから恋に発展する王道百合漫画とは、明らかに一線を画す作品ですが、今後、2人の気持ちが寄り添うまでに、まだひと波乱ありそうな予感。続きが非常に気になる作品です。
2人だけの「特別」は、甘酸っぱいキス『桜Trick』
『桜Trick』 1~6巻 タチ / 芳文社
2014年にテレビアニメ化された、4コマ百合漫画です。中学・高校とずっと一緒にいる春香と優を中心に、可愛く尊い百合カップルたちの青春が描かれています。
「末永く爆発しなさい!」と言いたくなるほど、イチャイチャキャッキャラブラブな2人。毎回キスシーンがあるのが本作の特徴ですが、そのかわいさと愛しさには思わず頬が緩んでしまいます。また、春香と優だけではなく、コトネとしずくのカップルも胸キュンもの。優の姉・美月が春香に想いを寄せるなど、ちょっと切ない恋模様も繰り広げられます。
春香と優の高校入学から始まる本作ですが、四季折々の彼女たちの成長を追いかけ、第6巻ではついに高2の終わりに。彼女たちの卒業とそれからも、ずっと見守っていたくなります。
百合を愛しすぎた男子の「百合道」に刮目せよ!『百合男子』
完結『百合男子』 全5巻 倉田嘘 / 一迅社
最後にご紹介する本作は、男が主人公のちょっと異色な百合漫画です。主人公の花寺啓介は、百合が大好きすぎる男子高校生。自分の部屋の百合漫画はエロ本でカモフラージュ! クラスの女子のキャッキャウフフを不審者ばりに見守り、百合男子同士で激論を交わしては、百合百合ライフを満喫しています。
「我思う、ゆえに百合あり。だがそこに我、必要なし。」
百合シーンはぜひとも間近で見たい、だがその場面に男である自分は邪魔でしかない……! という、本人にとっては至って真面目で深刻な葛藤が全編を通して描かれているのですが、過激すぎるハイテンションっぷりには爆笑必至です。
「百合道とは死ぬことと見つけたり。」
「一人は百合のために。みんなも百合のために。」
と、他にも啓介の名言は数知れず。百合好きでなくとも、オタクとして共感するポイントも多く、思わず「あるある」と言いたくなる場面も。また、本作では啓介が実在の百合漫画作品や漫画家さんについても熱く語ってくれるので、まだ見ぬ百合作品を探す手引にもなりますよ。
『百合男子』はいったん全5巻で「第一部完」となっていますが、「第二部」として『俺の嫁なんていねぇ!』が連載中です。
最後に
友情でもない、恋とも言えない、そんな微妙に揺れ動く感情と向き合いながら、やがて本当の気持ちを自分で発見していく少女たち。その過程に、得も言われぬ甘酸っぱさを感じてしまいます。
近年、百合漫画は多くの良作が生み出されています。今回ご紹介した作品を入り口に、百合漫画の世界に飛び込んでみてくださいね。






