「AをしたらBになるのわかるやろ!」と何度怒鳴ったことか。
当社では実習生の面接時に独自の体力テストを行っている。当然タイムやスコアが悪いと不利になる。
フィリピンの送り出し機関で行われた先日の体力テスト。終了前に「チャンスをやる。再度挑戦したい奴はいないか?」と聞くと。数人しか手を上げない。
民族的にのんびりしているので、「まあいいか、このくらいで」と皆考えがちなのだが、一番結果の悪かった奴も挑戦しない。理由を聞くと「疲れたから」と平気な顔で返事する。
スコアが悪い→このままでは面接に落ちる→もう一度トライしてアピールしなければ!…とは考えないのだ。
疲れたからやめる→以上。である。
話は変わるが、実習生受け入れで一番のリスクは失踪だ。この点で悪名高いベトナム人は入国者のうち10%近く逃げることもある。
しかし、この度、珍しくフィリピン人の失踪事件が他組合で発生した。問題はこの逃げた比人男の妹が、当社の実習生候補者だったことだ。
とはいえ妹はすでに3か月も日本語学習を修め、学習態度も真面目。2か月後には入国予定だった。
失踪した兄の嫁と妹を送り出し機関の事務所に呼び出し、日本行きがなくなった件を通告すると妹は号泣。何カ月もの努力がバカ兄のせいで無駄になっただから当然だ。不憫だが、他に選択肢はない。
つくづく思うのだが、これがズル賢いベトナムや中国人ならこのタイミングでは絶対に失踪しない。妹が入国するのを待ち、一緒に失踪するくらいの悪知恵を利かせているはずである。
だが、先のことなど考えない天下の右脳国家は違う。号泣する義理の妹を横に兄嫁は不思議そうに言う、「妹は関係ないでしょう?」。
…返す言葉がないとはこのことである。