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【政治】

「新基地」争点では反対派強く 宜野湾市長選 関心は「経済振興」

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 米軍普天間(ふてんま)飛行場を抱える沖縄県の宜野湾(ぎのわん)市長選で与党が推薦した現職が再選され、安倍晋三首相らは二十五日、同飛行場移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設に向け、安堵(あんど)の表情を見せた。安倍政権は過去の県内の選挙でも、同じように新基地建設問題をぼかし勝利したことがある。県内で「辺野古反対」の声が大勢であることに変わりはない。

 自民党の谷垣禎一幹事長は二十五日の記者会見で、宜野湾市長選での勝利について「与党を挙げて一生懸命やった。普天間の固定化はやっぱり困るというのが底流としてあったのではないか」と述べた。

 これに対し、共産党の山下芳生書記局長は記者会見で「現職陣営は選挙戦で、名護市辺野古への基地移設にひと言も触れなかった。移設賛成の民意が示されたわけではない」と指摘。社民党の吉田忠智党首も「現職は辺野古の新基地に一切言及しなかった。争点隠しをされた」と述べた。

 確かに今回の宜野湾市長選では、翁長雄志(おながたけし)県知事が擁立した新人が新基地建設反対を主に主張したが、政権が推す現職は新基地建設の是非にあえて触れなかった。そのため有権者の関心は、経済振興など地元の課題が中心となった。

 第二次安倍内閣発足後、新基地が争点となった県内選挙では今回の宜野湾市長選と同様に新基地への賛否をあいまいにした自公両党の推薦候補が反対派に勝ったケースはある。二〇一四年四月の沖縄市長選もそうだ。沖縄市は嘉手納基地など米軍基地が面積の35%を占める。両市とも基地を抱えて苦しんでいるという事情が共通している。

 だが、新基地建設が争点となった県内選挙では、知事選をはじめ、ほとんどで新基地反対派が勝利している。国政選挙ではさらに傾向が顕著だ。二〇一三年の参院選沖縄選挙区、一四年の衆院選四小選挙区すべてで反対派が勝っている。政権側が正面から新基地建設を訴え、勝利したことはない。安倍政権が進める新基地建設を県民に問う選挙は六月の県議選、夏の参院選沖縄選挙区と続いていく。 (金杉貴雄)

 

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