天皇、皇后両陛下は26日午前、羽田発の政府専用機でフィリピンに向かう。訪問は皇太子ご夫妻時代の1962年以来。国交正常化60年を迎えての親善訪問だが、太平洋戦争の激戦地への慰霊の旅ともなる。

 首都マニラでは25日、中心部の通り沿いに両国の国旗が並び、歓迎のメッセージが記された横断幕が掲げられた。両陛下が訪れる予定の観光地、リサール公園では、レイナルド・ルペラさん(44)が「みんな歓迎している」と言いながら、迎える準備作業をしていた。歓迎式典や晩餐(ばんさん)会が行われるマラカニアン宮殿(大統領府)近くでは、運転手ジン・アルクイーノさん(61)が「両国の関係がさらによくなり、もっと観光客が増えるといいね」と話した。

 地元メディアの注目も高まっている。主要紙の一つ「マニラ・ブレティン」は24日付の1面などで、訪問日程に加え、両陛下の経歴、日本での天皇の位置づけや公務の内容を紹介する記事を掲載した。

 両陛下は27日にフィリピン人の戦没者を悼む「無名戦士の墓」を訪れ、夜にはアキノ大統領主催の晩餐会に出席。29日は日本人戦没者を悼む「比島戦没者の碑」に供花し、30日に帰国する予定だ。(島康彦、マニラ=伊藤和也)