世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

ついに民間企業まで…忍び寄る中国腐敗撲滅運動の影

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世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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上海株暴落に“黒幕”の存在疑う習政権

 郭氏が取り調べを受けた一件の背景には、二つの要素があると思われます。

 一つは、習主席が進める腐敗撲滅運動の拡大化です。腐敗摘発運動は、最初は党内の「大物幹部」の摘発から始まりましたが、体制内の強い抵抗があり、それが下火となると「運動」を続けていくためには権力中枢から離れたところで摘発の範囲を広げる以外になくなりました。そのため、最近「金融腐敗」・「文教腐敗」といった言葉が流行ったように、政治以外の分野にまで腐敗摘発の手が及んでいるのでしょう。

 もう一つは、いわゆる「金融腐敗」とも関連がありますが、今年の上海株暴落以来、習主席は誰かが株価を操作して暴落させることによって政権にダメージを与えようとしているのではないかと疑い、その「黒幕」を掘り出すために、特に金融部門への「腐敗摘発」に力を入れてきていますが、郭氏の取り調べはその一環であるとも考えられます。

 しかし、金融部門での腐敗摘発が行き過ぎると、逆に金融市場を不安に陥れ、経済減速に拍車をかけるリスクもありますから、習政権がどこまでやれるかは、かなり疑問です。現に、郭氏が拘束されてから間もなく、自由の身となって活動を再開していることも、この辺の事情の反映であると思います。

  
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