【コラム】北朝鮮制裁決議に加わる代償

 現在、無頭峰号は1年6カ月にわたりメキシコ・ベラクルス州の港湾都市トゥスパンに係留されているが、このままでは解放の見通しも立たないだろう。国連決議によると、制裁対象の船舶については抑留の義務はあるが、その後の船の処分などについては具体的な定めがない。例えばメキシコ政府は国内法に従って無頭峰号を国の資産として没収し、売却することも考えられるが、そうすれば北朝鮮から訴えられる恐れもある。しかしメキシコ政府も無頭峰号を管理するための費用を出し続けているため、政府内では不満がくすぶっているようだ。

 一方でメキシコとは違って国連決議を無視する国もある。無頭峰号と同じく北朝鮮の遠洋海運管理会社が所有する船舶「フィチョン号」は昨年7月、ロシア極東ハバロフスク州の港湾を6回にわたり出入りしたことが確認されている。要するにロシア政府が船の出入りを黙認したのだ。また日本のあるメディアによると、先日ある中国企業が同じ遠洋海運所属の船舶2隻を、1隻およそ10億ウォン(約9700万円)で購入した。中国は制裁対象の北朝鮮船舶を抑留するどころか、その現金化を支援したわけだ。これらはいずれも明らかに国連決議違反だが、中国もロシアもこのことで何の制裁も受けていない。

 北朝鮮の核とミサイルに関連する国連安保理決議はこれまで6回採択されている。また今回の4回目の核実験に関しても、より厳しい制裁が行われるかも知れない。しかしそれらはこれまでと同じく、せいぜい何かを「促す(demand)」程度の強制力のないもので終わるだろう。しかし決議を順守する国が不利益を甘受しなければならないのであれば、制裁に加わる国などなくなってしまうはずだ。決議案の採択を目指すばかりでなく、このような不利益が出ないようにする方策についても、韓国は国際社会と共に考え出していかねばならない。

キューバ=朴国熙(パク・ククヒ)特派員
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