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紫電改のタカ |
初出: 少年マガジン 1963年- |
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画 ちばてつや 講談社漫画文庫 |
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あらすじ 昭和19年夏、台湾南部、高雄基地の701飛行隊に配属された少年飛行兵、滝城太郎は”逆タカ戦法”で戦果を上げ、エースへとのし上がって行く。しかし敗色濃厚な中で、休む間もない出撃を余儀なくされる。絶望的な戦いの中でも戦果を上げ続ける滝だが、次々と戦死する仲間達、アメリカ軍パイロットとの間に育つ不思議な友情に、滝は戦うことに疑問を感じ始めるのだった。 そんなある時、新任の隊長として特攻隊の鬼として知られる人物が着任してきた。滝は体当たり攻撃に敢然と反対するのだが・・・・・・。 |
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解説 「あしたのジョー」で有名なちばてつや氏のもう一つの名作。僕の生まれる前の作品であり、これを知ったのは文庫化されてからなのですが、どうやら航空ファンの間ではかなり有名だったようで、滝の愛機である黒い紫電改などはモデリングされたりしています。僕も一応、航空ファンに分類される一人なのですが・・・・・・、勉強不足でした。 生と死の狭間で悩みつつ、それでも命のやり取りを余儀なくされる少年達の青春群像がよく描かれています。しかし、僕としては全面的に褒めることは出来ません。 まず、マニアとして一言。古い作品であるためか、メカニックの考証が甘いです。滝の必殺技。「逆タカ戦法」は、ただのズームアンドダイブ(ドイツ空軍の標準的な戦術)です。パイロットが意識を失った機に飛び移ったり、無人のまま戦闘機を着陸させたりとやりたい放題。 また、ストーリーにも、太平洋戦争の悪しき面のみを容認しているように思えて色々と反発を覚えるところがあります。特に体当たり攻撃に反発しながらも「お国のため」と丸め込まれ、滝が部下達とともに、面会にきている恋人や母とも会わずに出撃するラストシーン(これぞまさしく、「特攻」の抱える根源的な問題ですが)にはかなりの怒りを感じました。低年齢層を対象にしていて、そのへんのことを簡略化したのか、60年代のことで歴史的事実の研究が進んでいなかったのか、理由は分かりませんが。体当たりを命じた隊長も、滝と共に出撃するのですが、体当たり攻撃の非人道性やそれを命じた人々の責任(自ら率先すれば、何をしても良い訳ではない)をあいまいにして、特攻を美化しているだけのように思えるのです。 なお、僕は体当たり攻撃に殉じたパイロット達を非難しているわけではありません。その愛国心や自己犠牲に深く感動しているからこそ、短絡的で馬鹿げた戦術を思いつき、それを実行した軍や、いかに敗色濃厚の中とは言え、それを容認した当時の社会に 憤りを感じるのです。 |