2016.01.25 コラム

人工の天然「永遠の森」明治神宮・鎮守の森 100年の実験。

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皆さんも既にご存知かもしれないが、東京・明治神宮にある鎮守の森は、人口の森として100年を迎えた。
この森は、100年の間、計画的に、ヒトの手を全く加えられる事無く放置されることにより、自らのサイクルで生まれた生態系を持つ天然の森として1300万人の住む大都会の東京の中心に鎮座している。

数多くの絶滅危惧種や新種など日本古来の生物が生息する、その種類は3000種にものぼる。近年では、日本の森の生態系の頂点に位置するオオタカの繁殖も確認されたことで、人工的に計画された森は、天然へと変化を遂げた。

明治神宮、鎮守の森(杜)は、1915(大正4)年4月、日比谷公園の設計などで知られる林学博士の本多静六、やはり日比谷公園の設計に携わった造園家の本郷高徳、日本の造園学の祖とされる上原敬二の3人が中心となり始まった。

 彼らが計画したグランドビジョン「林縁計画書」(添付写真)に基づき、植林する樹木は、全国各地や台湾などから10万本にも及ぶ献木がなされたそうだ。本多博士ら3人が理想としたのは、竣工当時荒れ地のであったその場所に「永遠の森」をつくること。元来関東平野に広がる常緑広葉樹の原野をよみがえらせ、100年、1000年先へと、未来永劫続く自然のサイクルを取り戻そうという壮大な計画であった。
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 100年の時を越えた今、森は、自らのサイクルが持続可能なサイズへと変化し、次の100年、1000年へと続くために日々息づいている。

都会に住んでいると、森を感じ、においを聴き、自らの頭で思案し、悠久の時間へと懐古することが、なかなかどうして出来なくなった。

田舎にいたって、テレビやスマホやインターネットの情報の海に溺れ、アプリゲームに時間を奪われ、自然との会話や花鳥風月を愛でるといった内省の時間を過ごすことが少なくなっているのではないだろうか?
ボクは、ここに寄稿するコラムを遠して、音楽を通して、詩やコトバ、人生を通して「良き時間」= シアワセとは何か?を探している。
テクノロジーも何もない頃から、計画され、現代のボクらに遺されたメッセージ。
100年、300年、1000年先の未来に夢をみて、未来を創って行こう。そんな希望のある夢を持てる仲間を増やして行きたい、と個人的におもうのだ。
 きっと現代のテクノロジーや、情報力があれば、かつてより大きな夢を抱き、やがて叶えることも出来るだろう。
返して言えば、どんなにテクノロジーが発達しようが、夢を観て、未来を描き、世界を変えて行く行為は、ヒトにしかできない。
 子供たちが、先祖になったときに、ボクらの街はどうなっているだろう、そんな風に考えながら、鎮守の森の息吹を感じながら、明治神宮の参道を歩いてみる。
 さぁ、果てない夢を描こうではないか。そして、おおいに語ろう。
 そんな気持ちを伝えたいと思い今、キーボードを叩いている。
 今日より明日が、より良くなるように。願いを込めて。

 

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Written by YOICHIRO MIZOGIWA

PROFILE

YOICHIRO MIZOGIWA / ブルースラッパー DAG FORCE として活動する傍ら、アーティスト活動により培われた「想いをコトバ化するセンス」「伝える為の先鋭的なアイディア」を組合わせ、様々な分野でのアートディレクション / アートワークのプロデュースを手がける。対象の持つ潜在的な欲求や、活動・行為の持つ普遍的なメッセージを、感覚的に汲み取り、わかりやすいデザインや行為、コトバ、音、映像、空間に落とし込むことを得意としている。