21日、東京・新宿FACEにて「プロレスリングBASARA旗揚げ戦 伐折羅・壱~乾坤一擲~」がおこなわれた。まずはBASARAの代表を務める木高イサミが『不死身のエレキマン』に乗り、スーツ姿に日本刀を持って登場。「本日はプロレスリングBASARA旗揚げ戦にご来場いたばき……あっ!」と、いきなり噛んでしまったイサミはだが「緊張してるねぇ! まことにありがとうございます! いまマイクを聞いてもらって分かるように、わたくし、緊張しております。ただ皆様を楽しませる準備、そして自分が楽しむ準備はこの以上ないくらいに出来ております! これから行われる1試合1試合、すべて全力で頑張っていきますんで、皆さんも全力の面白い応援をしてください!熱い応援はもう聞き飽きたんだよ! 熱い応援だけじゃなくて面白い応援してください! 今日はよろしくお願いします!」と挨拶すると、T.M.Revolutionの『UTAGE』が鳴り響いた。
【試合後のコメント】
――BASARA旗揚げ戦の第1試合を務めることになりましたが。
日高 イサミから第1試合に指名ってことなんで。旗揚げ戦の第1試合ですからね。団体の指針を示す闘い……随分責任のあるポジションを与えられたなって感じなんですけど、相手の中津選手の評判を聞くと、まぁああいうバチバチとした闘いになりましたね。
――同じくイサミ代表が旗揚げ戦の第1試合に指名した中津選手は、実際に対戦してみていかがでしたか?
日高 強かったですよ。打撃も効いたしね。何より気持ちが強かった。どんだけ蹴っても、どんだけ極めても、まだまだ向かって来るしね。だからこっちもアレですよね、なんだろうな……同じ目線で殴り合う。だから僕にとっても……こういう言い方は彼にとって本意ではないかもしれないけど、気持ちのいい試合だったっすね。
第2試合は竜剛馬vs小仲=ペールワンvs丸山敦の3WAYマッチ。竜はユニオンプロレス時代より高級そうなスーツ姿でお馴染みの六法全書を手に入場。そこからスーツの上着を脱いで青いワイシャツ姿となった。試合では竜の串刺し攻撃に岡田裕也レフェリーが巻き込まれてしまう。丸山がなおも串刺し攻撃を狙うが、ペールワンがテーズプレスで迎撃。そこに朦朧とした岡田レフェリーが倒れ込み、丸山の股間に顔を埋めると、その後ろから竜が朦朧としながら座り込んで、いわゆる後背位の体勢に。奇妙な合体が完成したところで「5分経過」のアナウンス。そこから我に返った竜が丸山にアンクルホールドを決めると、丸山はペールワンにアンクルホールド。するとペールワンも竜にアンクルホールドを決める。ここでペールワンが3人同時にギブアップして引き分けにしようと提案。「せーの」でギブアップしようとするが、誰もギブアップしない。そこで三人は一旦技を解いてから指切りげんまんをすると、再び三つ巴のアンクルホールドに。「せーの」のかけ声で正直にギブアップしたのは竜だけ。結局、竜にアンクルホールドを決めていたペールワンの勝利に終わった。バックステージで竜は「旗揚げ戦ということで、数十万かけてスーツも新調し、ネクタイも、ポケットチームも、正直言ってこれ2万円超えています。まぁその中でせっかくかけた衣装が、大して試合の中で生かせなかったということが、今回の反省と言えば反省ですね。何か質問等がないんであればですね、個人的な思いを述べさせていただきますけど、弁護士として頭いいキャラでやっているのにですね、今日は頭脳の面で負けたということで、もうちょっとプロレスの練習ももっともっとサボって、もっと勉強したいなという風に思いました」とコメント。
第3試合はSAGAT&三原一晃vs円華&ツトム・オースギのタッグマッチ。今回は紫と緑の顔面ペイントのSAGATは毛皮のベストにシューズカバー、鎖ガマを持って登場。ワイルドな感じになったが、レフェリーから鎖ガマを置けと言われると素直に置いた。不可思議な動きで円華&オースギを惑わすSAGAT。オースギもセントーンをかわして自爆させるとタッチを受けた円華と場外に出た2人にトペ・コンヒーロの競演。三原も円華を相手に滞空時間の長いハリケーンドライバーで盛り返すと、SAGATも奇声を発してからゴアグラインドを狙う。これを円華はニーリフトで迎撃。さらにSAGATの後頭部目がけてミサイルキックを発射。そこから一気にランヒェイを決めて勝利した。バックステージでSAGATは「アー! アー! アー! アー! マドカー! マドカー! シュクテキー! オースギ! ツヨーイ! デモ、ミハラ! ミハラ! ブラザー、ベストブラザー! ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ミハラ! バサラ! モストデンジャラス! モストデンジャラス! アハハハハ! アハハハハハ……」とコメントしていた。
第4試合は久保佑允vsHi69のシングルマッチ。真っ赤なコスチュームとマスクを被り、スティールパイプを片手に登場した久保はマスク姿のまま試合に臨んだ。場外戦で久保はエルボースマッシュでカチあげてからイスを手にするが、これはすぐに岡田レフェリーが取り上げる。Hi69は久保を客席に投げつけ、さらに腰から鉄柱に叩きつけてやり返す。リングに戻された久保はファイナルカットを防御し、串刺し攻撃にいくと見せかけて張り手。さらにカーフブランディングからコブラクラッチで捕獲。ミリオンダラーバスターから変形のグラウンド卍、さらに腕ひしぎ逆十字固めへ。ロープエスケープしたHi69はペディグリーを踏ん張ってブレーンバスターで投げ返すとトランスレイヴからストゥーカ・スプラッシュ。これをかわして自爆させた久保はメキシカンロールで丸め込むもカウント2。ならばとバックブローからロープに飛んだ久保だったが、Hi69はカウンターのみちのくドライバーⅡへ。カウント2でクリアされると再度のトランスレイブからストゥーカ・スプラッシュを投下してフォール勝ち。試合後、敗れた久保は悔しそうにHi69を突き飛ばすと「負けちゃあ意味がねぇんだよ! 何でこんな容姿になってまで闘っているのか……必ず! 結果を持ってBASARAで一番傾いてやるからな! 必ずトップに立ってやる! お前らよう見ておけ!」とマイク。
【試合後のコメント】
久保 負けたんで今日は……それだけです。まぁ自分のやり方で。ヘヴィメタルでもなく、僕は僕のやり方で必ず結果を出すんで。こんなナリになってまで上にいく理由があるんで。僕なりのやり方で結果を出すんで見ていてください。何かありますか?
――そのマスク姿が上に行くための理由ってことですか?
久保 そうっすね。今までの自分を切り捨てて、ヘヴィメタルなり何なり取り入れるもよし、何でもいいよって。結果を出す決意ですこれは。それだけです。
第5試合は関根龍一vs岩本煌史のシングルマッチ。関根はデニムのロングタイツにレガース姿、さらに農用フォークを持って登場。中盤に関根は指で牛の角を作ってから突進し串刺し攻撃。さらに顔面ウォッシュを決めるとカミカゼを狙う。これを背後に逃れた岩本は大外刈り。さらに腰投げからニーリフトでカチあげた岩本は、トップロープの上に関根を乗せてから背中にニーリフト。さらにブレーンバスターで投げるとキャメルクラッチへ。エスケープした関根は下から蹴り上げると、ミドルキックを連打。蹴り脚をキャッチされるも飛びヒザ蹴りを叩き込んだ関根はコンバイン。ロープに逃れた岩本は組みつかれると払い腰でぶん投げて肩固め。10分が経過し、関根は体をバタつかせながらどうにかロープに脱出。岩本はサイドスープレックスを狙ったが、逆に抱え上げた関根はカミカゼから龍蹴斗を叩き込む。カウント2で返した岩本は、関根の昇龍をかわしてエルボー。関根もエルボーで応戦すると、両者意地でも倒れないエルボー合戦に。関根はミドルキックを狙ったが、キャッチした岩本はエルボー。しかしランニングエルボーを狙った岩本をランニング・ハイキックで迎撃した関根は片ヒザをついた岩本を蹴り倒してカバー。カウント2で返された関根は狙い澄ました龍切を叩き込んで3カウント。 試合後、移籍第1戦を白星で飾って嬉しそうな関根は、岩本と握手をすると「おっしゃー! BASARAの騎馬隊の名誉を獲られずに済みましたー!」と言うと、セコンドについていた中津をリングにあげて「お前さ、今日第1試合、すごいいい試合だったよ。だからお前、これから俺と一緒にBASARAの特攻隊として一緒にやっていかないか? 特攻隊…いや、騎馬隊として一緒に周って……こうやって全国ツアー周ったりなんなりして、だんだんだんだんBASARAの領土を獲得していこうじゃないか!」と持ち掛けると、中津も「お願いします!」と承諾。こうして関根&中津の騎馬隊が結成された。
【試合後のコメント】
関根 リングじゅ……リング上で言ったことがすべてですよ!
中津 リングじゅう!
関根 そういうのを立て直す中津でもあるんで。俺が暴走し過ぎないように、ちゃんと発言出来るように中津がいて、二人して二大騎馬隊ですよ。飛車角みたいなものですよ。BASARAの飛車角ですよ! 飛車角戦法ですよ。なぁ?
中津 ハイ! 二人暴走したらもっとヤバイですからね。
関根 暴走する気満々ですから。バイクだからこっちだ。よっしゃ、行くぞ! ブーン……(2人でエアバイク)。というわけで、BASARAの特攻隊として……。
中津(BASARAのロゴマークにある刀を指差しながら)これがあるところが事務所なわけですよ!
関根 事務所ですよ。領土ですよ僕らの。この領土をどんどんどんどん増やしていくんで。うちらが出たら、どんどんどんどん攻めていって、攻めていって、いろんなところに出ていって名を挙げていこうぜ。
中津 やりましょう!
関根 よっしゃ、そういうことですよ! わかりました?
中津 (日高戦について)足と顎がすごく痛いっすね。会見で日高さんはチビって言っちゃったんですけど、全然大きかったです。まだまだでしたね。全部こっちの技をがっつり受けてもらいながら全部返されたので、まだまだこれから。次は大阪でHUB選手とやるんで。同じようにテクニックのある選手なので、今日の試合を活かして頑張っていきたいなと思っています。
――大事な旗揚げ戦のオープニングマッチを務めたわけですが。
中津 でも自分の中ではどの大会の、どの試合も全力なので。タイトルマッチであろうが、オープニングマッチであろうが、ダークマッチであろうが、もう全部全力なので。しっかり準備だけは怠らないようにして、いつも通り全力で楽しみながらできましたね。
――今後BASARAでやりたいこと、やろうとしていることは見つかりましたか?
中津 具体的にこれっていうのは敢えてちょっと言わないようにしておきますけど、僕のコスチューム見てもらえば分かると思うんですけど、これ野球のイメージなんですよ。野球に総合格闘技っぽいこのスタイルにしてて。それはなんでかって言うと、野球をやってて、総合やって、プロレスをやっているので、自由に何も考えずに自分の人生でやってきたことを全部ひけらかすようなイメージを持っているので。そこは今後楽しみにしてもらえたらなと思っています。
セミファイナルは福田洋vs関本大介のシングルマッチ。全身を星条旗柄コスチュームに身を包んだ福田はお馴染みの星条旗を持って入場。まず関本をロープに押し込んだ福田は、クリーンブレイクした直後にまずは発声練習。組み付いた関本は飛行機投げからヘッドロック。これを福田はロープに飛ばして脱出。ショルダーアタックでなぎ倒していった関本だが、福田もカウンターの腰投げから逆水平チョップ。しかしボディースラムを防御した関本は、逆にボディースラムで関根を投げる。もう一度ボディースラムで叩き付けていった関本に対し、逆水平チョップを連打した福田だが、関本はフォアアーム一発でダウンさせる。「来い!」と胸を突き出した関本に逆水平チョップを打っていく福田だが、関本は逆水平チョップ一発でダウンさせるとエルボードロップ。スリーパーで捕まえた関本だが、福田はロープに脱出。しかし関本は逆水平チョップから福田の顔面を踏みつける。5分が経過し、福田も逆水平チョップを打っていくが、関本はその場跳びドロップキックで福田を吹っ飛ばす。シュミット式バックブリーカーで叩きつけた関本は一気に逆エビ固め。腕立てしながらロープににじり寄る福田だが、関本は引きずり戻す。それでも何とかロープに辿り着いた福田。関本は逆水平チョップとフォアアームを叩き込む。福田も体勢を入れ替えて串刺し攻撃を狙うが、関本は蹴りで迎撃。しかしショートレンジ・ラリアットを放った福田は逆水平チョップ。関本も真っ向から逆水平チョップを返していくが、福田はボディーブロー連打。関本はエルボーからロープに飛ぶが、福田はカウンターの払い腰で関本を投げていくと、関本をロープに振ってダブルチョップ。コーナーに登った福田はダブルスレッジハンマーを落とすと、関本をコーナーにぶつけてからバックドロップで投げていく。関本がカウント2で返したところで10分が経過。福田はパーフェクトプレックスを狙うが、腰を落とした関本はブレーンバスター・スラムで切り返すと、コーナー2段目からのミサイルキック。アルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げた関本だが、福田は背後に逃れる。バックエルボーで振り払った関本はロープに飛ぶ。カウンターのダブルチョップをお見舞いした福田だが、両足を刈って倒した関本はサソリ固め。これもロープに逃れた福田は、関本のラリアットをかわすと、逆にラリアットを狙う。関本が相打ちに持ち込むと、そこからラリアットの相打ち3連発。福田は走り込んできた関本をショルダーブロックで止めると、全体重を乗せたラリアットでなぎ倒してからパーフェクトプレックスを狙う。関本が踏ん張るとパンチを連打した福田だが、腕へのハンマーで叩き落とした関本は、ロープに飛んだ福田を追走してエルボー。そこから垂直落下式ブレーンバスターで叩き付けた関本は首を刈り取るようなラリアット。カウント2で返してみせた福田だが、関本はダメ押しのぶっこ抜きジャーマン・スープレックスで投げて3カウント。試合後、お互いに健闘を称え合いながら握手をすると、お互いに相手の腕をかかげてみせた。笑顔を浮かべる両者に超満員の観客から万雷の拍手が贈られた。
【試合後のコメント】
福田 あー、負けたましたね。正直負けると思ってなかったんでショックですけど、やっぱり非常に気持ちがいいです。
――それは関本選手と真正面からやり合えたから?
福田 そうですね。本来であれば歌を使った正攻法で闘うというのが私の戦術なんですけど、関本選手も喉の調子が悪いということもあって、今日は奇策を使わせていただいたんですけど、まぁこのような結果になってしまって。正直言ってパワー、スピード、テクニック、スタミナ、あらゆる点におうて負けてましたね。潔いぐらいに負けていました。ただひとつ私のほうが勝っていることがあります。それは遺伝子、わかりますか?
――もうちょっとご説明いただけると……。
福田 DNA。白人なんで黄色人種どもとは遺伝子が違うんだよ。伸びシロがあると思うんです。私はこれからも厳しいトレーニング、過酷なトレーニング……この年始からロッキーばかり観ているんです。本当に。暇さえあれば。暇なんですけど普段! その暇を使ってロッキーを観ているんですけど、練習力というのがすごく高まっている。まぁストロングな奴は日本にはたくさんいると思うんですけど、アメリカ人のほうがストロングだってことを証明したいと思います! 最近ちょっと骨のあるアメリカ人がいないんで、私がその先駆者となって、魁となってアメリカ人にも骨のある奴がいる……ロッキー3観ましたか? ロッキー3、すごいっすよ。親友に鍛えられて強くなるんですけど……ちょっとしゃべり過ぎました! おい関本選手! いつか必ずトレーニングを積んで、お前を超えてやる! また倒す、その時まで何かもしあれだったら一緒にトレーニングしましょう。よろしくお願いします! ドーンミスイット!
メインイベントは木高イサミ&塚本拓海vsFUMA&風戸大智のタッグマッチ。マノウォーの『キング・オブ・メタル』に乗り、全身黒ずくめの新コスチュームに、ギターを弾きながら登場したFUMA。そこに風戸が登場すると、2人でマノウォー・サインをしてからリングへ。一方、塚本は巨大ハンマーを担ぎ、イサミは日本刀を手に入場。イサミと風戸の先発で試合開始。腕の取り合いからイサミがヘッドロック。ヘッドロックで切り返した風戸がグラウンドに持ち込むが、イサミはヘッドシザースで脱出。ここで塚本とFUMAがリングイン。BASARAをヘヴィメタル団体にしたいというFUMAは、メロイック・サインで観客にアピール。塚本がタックルを仕掛けるが、FUMAもそう簡単には先手を取らせない。いったん離れたところでFUMAが風戸にタッチすると、塚本はリストロックに捉えるが、風戸はバック転からアームドラッグで投げると、ランニングエルボーを叩き込む。しかし塚本も走り込んできた風戸を持ち上げるとバックブリーカーで叩きつけてからイサミにタッチ。風戸をコーナーにぶつけて腰にショルダーをぶつけていったイサミはサッカーボールキック。続いて塚本はサッカーボールキックと思わせておいて、風戸の背中にチョップを叩き込む。5分が経過し、うつ伏せの風戸にジャンピング・ダブルニーを落とした塚本。そこにイサミがエプロンからアトミコを投下。風戸もエルボーで向かっていくが、エルボーで応戦したイサミはミドルキックで蹴り倒してから塚本にタッチ。控えのFUMAを攻撃してから風戸にチョップを叩き込んだ塚本。風戸はエルボー合戦を挑んでいくと、そこからカウンターのドロップキックを狙う。これを察知した塚本は自爆させてからロープに飛ぶが、風戸はウラカンホイップで場外まで投げ飛ばすと、イサミが塚本のところに駆け寄ったところにケブラーダを発射。さらにFUMAがイサミをカウンター席に叩きつけてからテーブルの上に昇ってケブラーダを発射。風戸も塚本を客席の最後方から突き落とす。だが、FUMAにミドルキックを連打したイサミはステージに登ると、手すりを飛び越えてアトミコを投下。「よっしゃ、いくぞー!」と気合いを入れたイサミ。場外カウント14でリングに戻ってきた塚本と風戸。塚本がタッチすると、イサミはボディーへのチョップから強引にブレーンバスターを狙うが、これが風戸が逆に投げていく。10分が経過し、タッチを受けたFUMAがメロイック・サインをしながらのクロスチョップでなぎ倒すが、塚本が入ってきて合体攻撃を狙う。しかし、イサミをヘッドロックで捕獲したFUMAは、そのまま塚本をヘッドシザースで投げると、2人に低空ドロップキック。そしてコーナー2段目から「ヘヴィメタル・アンセム!」と叫んでダイビング・エルボードロップを投下。かわしたイサミは逆にダイビング・クロスボディーを決めるとブレーンバスターを狙うが、FUMAは胴絞めフロントネックロックで切り返す。しかしイサミはそこからブレーンバスターで投げていく。タッチを受けた塚本はFUMAの串刺し攻撃を蹴りで迎撃すると、なおも突進してくるFUMAの顔面にフットスタンプ。さらに串刺し式トラースキックからスマイルスプラッシュを投下すると、バックドロップの体勢に。バックを取り返したFUMAはアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げると、そこから「ヘヴィメタル・ハンマー!」と叫びながらハリケーンドライバーへ。そこに風戸がエルボーを連打するが、塚本も張り手を返してロープに飛ぶ。カウンターのドロップキックで迎撃した風戸はロープに飛び乗って低空ドロップキックを発射。さらにミサイルキックからアックスボンバーを狙うが、かわしてバックを取った塚本はリバースゴリースペシャルの体勢に。どうにか逃れた風戸だが、塚本はオキャノンボムで叩き付ける。15分を経過し、イサミが串刺しジャンピング・フロントキックを叩き込んでから風戸をコーナーに乗せてから昇龍拳。続けて雪崩式フランケンシュタイナーで投げると、塚本が入ってきてバックブリーカー。そしてイサミがダイビング・ダブルニードロップを投下。だが、カウント2でカットしたFUMAがイサミにレッグラリアットを叩き込むと、風戸が旋回式スクラップバスターで叩き付ける。そこにFUMAがヘヴィメタル・アンセム(ダイビング・エルボードロップ)を投下すると、風戸がブラジリアンキックからのトラースキック。さらに延髄斬りからロープに飛ぶが、イサミはラリアットで迎撃。ジャーマンを狙ったイサミだが、逆に風戸は投げ捨てジャーマン。これを着地したイサミが勇脚を放つと同時に塚本もトラースキック。そこからイサミが壱弐四四で捕獲するが、FUMAがカット。イサミを急角度バックドロップで投げたFUMAに塚本が延髄斬り。その塚本に風戸がエルボーを叩き込んでからダウン。4人同時ダウン状態からイサミが立ち上がって風戸にエルボー。風戸もエルボーを打ち返していくが、イサミは張り手。風戸も倒れずに張り手を返すと、再びエルボー合戦に。イサミがグーパンチを叩き込むと、風戸は返す刀でアックスボンバー。さらにアンナカッターを叩き込んだ風戸。塚本がカットに入るが、FUMAがハイキックで場外に追いやる。20分が経過し、風戸はシスターアビゲールを狙ったが、丸め込みで切り返したイサミは二段式ヒザ蹴り。そして勇脚・斬を狙ったが、かわした風戸はジャンピング・アックスボンバー。イサミはカウント2で返すと、突進してきた風戸にカウンターの勇脚。さらに後頭部に勇脚・斬を叩き込み、正面からダメ押しの勇脚・斬をブチ込んで3カウント。
試合後、マイクを持ったFUMAが「オイ風戸、お前は今日なんで負けたか分かるか? お前にはヘヴィさ、そしてメタリックさ、つまりお前にはヘヴィメタルが足りねぇんだよ。俺はお前のことは好きだ。(場内どよめく)でもここでひとつ大きな決断をしなければいけない。今日、このプロレスリングBASARA旗揚げ戦に出場した選手の中で、俺以上にヘヴィで、俺以上にメタリックで、肉食獣のような選手がいることを俺は知っている。皆さんももしかしたら気付いていることだろう……円華さーーーーん!」と絶叫すると、円華が入場口から顔を出す。だが、完全に状況を把握していない表情の円華にFUMAが「円華さん、例の話ですよ、例の話!」と叫ぶが、顔を引っ込めてしまう円華。しかしFUMAから「例の話を発表するんでリングに出てきてくださいよ! ほら、さっき言ったじゃないですか! アレ、アレ!」と言われると円華はリングへ。FUMAは「よし、これで役者は揃った! おいみんな、これがどういうことか分かるよな? 今ここに業界①ヘヴィで、業界一メタリックで攻撃的なワールド・ヘヴィスト・ヘヴィメタル・タッグチームが誕生したのだー!」と宣言。しかし「何かひと言」と言われた円華は「いや、ちょっと待ってくださいよ。この話ですか?」とやっぱりあまり理解していない様子。するとFUMAは「まぁ円華さんはね、極度の恥ずかしがり屋の体質もあるので、俺がこの場を締めてやるぜー! 脆弱な心に棘と鎖を! キープ・オン・ロッキン! ヘヴィィィィメタルゥアンセェェェム!」と強引に締めくくって円華を連れて退場。
呆然とその様子を見つめていたイサミだが、所属選手たちにリングにあがるように言うと「あのまま終わらせるわけにはいかないだろ。うっかり自分が勝ったことすら忘れるところだった。風戸、FUMAが何したかわかるか?」と尋ねる。風戸が「ヘヴィメタル……試合前はよくわからなかった。だが、いまはもっとよくわかりません」と答えると、イサミは「FUMAが何をしたいかはな、俺にもさっぱりわからない。ただな風戸、お前より何かをしたいと伝わった。もうな、甘えてていい時代じゃないんだ。全員が、俺も含めてだよ。今からは中津もいる、関根もいる、久保だっている。(福田が手を挙げるが無視して)ツカ(塚本)もいる。(福田に)昔の団体を除けばってことだよ。前はさ、俺たちが何もしなくてもスーザンさんがやってくれたんだよ。ユニオンっていう団体はさ。別に昔の団体を引っ張り出すつもりはないけどさ、今日のみんなの試合も見ていたけどさ、俺も含めてもっと自由でいいんじゃないか? もっと自由にやろうぜ。もっと自由にやろうぜ。塚本、俺はなお前にここに入ってくれって言ったのも、何かひとつ、何か分からないんだ俺にも。でも何かが足りない気がしたんだ、お前に! 次、ラジアントが決まってんだよ。ここ(イサミと塚本)な、シングル。何がわからないぞ! 俺にも絶対足りないものがあると思う。たぶんみんなにも足らない、それを探してやろうよ。なんだ? 自由を探そう。お、格好いいっぽいぞ、今の! 自由を探してやろうよ」と声をかける。張り切る関根と中津に「騎馬隊、うるさい! 待て待てお前ら! 1戦目から暗礁に乗り上げるんじゃない!」と一喝したイサミは「分かったな! もっと傾くぞ! 傾け! 傾け! 今日はご来場ありがとうございました。もっともっと自由を探して、僕らはどんどんどんどん傾いていきますので……どこ向いてんだ、お前ら! 自由すぎるわ!(苦笑)今日はどうもありがとうございました!」と締めると、リングを降りた選手が次々にステージに並び立つ。FUMAも戻ってきた所属全選手が横一列に並んだところで、イサミがマイクを使わずに「俺たちが世界で一番の傾きものになるぞ!(選手たち「ウェイ! オー!」)俺たちがまず日本を獲るぞ!(選手たち「よっしゃ!」)新宿FACEじゃ収まらねぇぞ! 世界中にいく! それが俺たちプロレスリングBASARAだー!」と叫ぶと、オープニングで流れたT.M.Revolutionの『UTAGE』が再び鳴り響いた。
【試合後のコメント】
イサミ 何だろうな……俺はまだ全員が試行錯誤だと思います。いきなり自由にやれよって言われて、自由に出来る人間なんて錚々いないと思うし。みんながみんな不安の中での今日の旗揚げ戦だと思うんですけど、それでも僕はこのメンバーでよかったと思うし。やっぱりその中でメインはどうしても純粋なBASARAのメンバーで僕は試合がしたかったので。それが出来たんで、まぁとりあえずいろいろな課題とか、難しい問題とかありますけど、それはそれ。何か代表職とか僕は総括とか、そういうことをするつもりはまったくないんで。僕は今日を迎えたらあとはただの1プレイヤーなので。そういう面ではもっと塚本ともリング上で言ったように、お互い……僕も絶対に足りないものがあると思うし、ツカにも足らないものがあると思ったんですよ。それを探すためのシングルマッチかな、という気はしないでもないですね。
――塚本選手はBASARA所属となっての初戦でしたが。
塚本 試合前は自信持って負ける要素は0%と言って、試合に挑んだわけですけど、正直言ってFUMAはチラッと話に聞いていたのもあって……何て言うのかなぁ。色が自分よりも確かに、やりたいことっていうものが、何か分からないけどお客さんにも伝わっている。自分は何かが足りない。今日試合して、今日終わったけど、やっぱり何かが足りないっていうのがずっとあるんで。FUMAがあれだけ色が濃いんだったら、俺はもっと正統なことやろう、正統なことやろうと思ったんですけど、やっぱりプロレスラーっていうのは欲が出るもので。あんなことやられたら、僕だって黙っちゃいないし……。
イサミ そうだよな。
塚本 あんな……言ったら失礼かもしれないけど(苦笑)、あんなデタラメなことやってんだったら、俺だってもっと……持っているものは、放送コードギリギリなこともやってるし。
イサミ そうだ、やれやれやれ!(笑)
塚本 自由っていう意味を履き違えて、ある意味で履き違えて成長したいと思っているので。本当に試合終わって、そういうところをものすごく強く感じましたね。
イサミ それは塚本だけじゃなくて俺もそうだと思うし。既存のものだけじゃいけないと思うし、何か変わったものを。でも変わり過ぎようと思うことも違和感だと思うので。僕は僕なりのやり方があるので。まぁそれは僕は結構早急に見つかる気がしましたね。それは僕の中では手応えって言ったらおかしいけど、最後勝ったのも含めてちょっと安心して、何かちょっとだけ涙出ちゃいましたね。
塚本 いや、僕も涙流そうと思ったんですよ。
イサミ 流そうと思って流すものじゃねぇだろ!
塚本 ハハハハ。いやでも、試合が終わったら自然とウルッときて……。
イサミ なんだろうな。この感情なんだろうな?
塚本 でもそれでいったら、今までの俺と変わらねぇし、そこがゴールになっちゃうのかなって。自分の中でですよ。スタートなんだけど……。
イサミ わかる、わかる。俺もユニオンの最終興行が決まったときから、3カウントのゴングが鳴る度に泣いてたんだわ。今日は別にそこでは泣かなかったんだけど、最後みんなで立って、お客さんが向こう側に立って、全員がお客さん見て「イサミー!」とか「BASARA応援してるよ!」とかいろんな声が飛び交うわけさ。それでだな。なんだろうな? 悲し涙じゃないな。だからユニオンのときに流したものとはまったく違うものですね。単純なる嬉し涙。ただその一点に尽きるだけですね。本当に今日来てくれたお客さんには感謝の気持ちしかない。それを裏切らないための今後だし。これあくまでも旗揚げ戦だから。これで満足していたらすぐ終わるんで、今日のことは今日のこと。あとは嬉しいって気持ちと感謝の気持ちだけを残して次に……すぐ次、2月5日の蕨があるんで、もうその試合に向けて動き出すだけです。
――各選手に自由にやれと言ってましたが、その中でも入場時に塚本選手が巨大ハンマーを持っていたりとか、各選手が武器というかアイテムを持っていたのがBASARAの特徴のひとつかなと思ったのですが。
イサミ そうですね。別に僕はいずれハードコアマッチも解禁していこうと思っているし、それは各々、試合に使うにしても使わないにしても何かひとつあってもいいんじゃないのって。アクセントにもなるし。それに気付かせてくれたっていうのは……気付かせてくれたっていうのもおかしいけど、僕とか福田とかをイメージしたときに、例えば僕だったらすぐに日本刀が出てきたり、和のイメージがあったりとか。僕が勝手に連想しているのは、そういうイメージ。福田洋って言ったらやっぱりUSAとか、アメリカ国旗とかそういう印象がつくじゃないですか。「何かみんなも印象つけたほうがいいんじゃないの?」っていう、そのひと言だけだったんですよ。あとは各々に任せていたんで。それぐらいのものがあってもいいんじゃないのって言っただけで、あとは自己プロデュースです。最後に今日来てくれた皆さん、ありがとうございました。本当にこれに慢心しないように各々が精進して、もっともっと面白い団体にしていきますのでこれからも応援よろしくお願いします。どうもありがとうございました!
風戸 あー、チクショウ! いきなり大将首は獲れなかったです。クソ! 悔しいな。これから刀とか刃を研ぎ直す、研ぎ直すというよりかは刀をイチから打ち直すって感じですかね。このBASARAという団体のテーマ、そこに自分がどう傾いていくか、どうプロレスをしていくかってことも含めて、これはやはり打ち直しと言うのが相応しいのかなって思いました。悔しいです。
――タッグを組んだFUMA選手が大きく変わっていて、そこに差が出た感じでしたが。
風戸 FUMAさんに関してはユニオンのときから何かを変えなきゃっていう思いが、人一倍強かった。ユニオンのときはキングレギオンっていうふうに出ていたし、最終的にはそのキングレギオンっていうものを僕が止められなかったっていうところも、彼の変化に自分がついていけなかったっていうところもあるのかなって思うので。ヘヴィメタルっていうのはちょっとよく分からないですけど、自分も何かこう変えなきゃいけないっていうのをもっともっともっと真剣に考えないといけないんだなって思います。
――何が自分でもテーマを見付けられそうですか?
風戸 団体旗揚げから発足メンバーですし、BASARAのエースになるっていうのはそう遠くない未来に……絶対に僕がエースにならなきゃいけないって思っているんで。そうじゃなければ何も変わらないと思っているので、BASARAのエースを目指してやらなければいけないと思っています!
FUMA プロレスリングBASARA旗揚げ戦、今回はこのメインイベント、風戸とのタッグマッチ負けてしまった。その要因は何か、リング上でも言った通りだ。ユニオンの解散興行から3、4ヵ月ぐらい? 俺は元々風戸を買っていた。だから今回、このメインのパートナーにあいつを認めたんだ。この4ヵ月であいつの心にヘヴィメタルが宿ることを俺は待っていた。しかし、今日俺はここで大きな決断をしなければいけない。あいつの心にはまだヘヴィメタルが足りなかった。リング上でも紹介したけど……ちょっと円華さん! 何やっているんですか? ちょっと来てって言ったじゃないですか。(強引に円華を連れて来る)これからは俺たちが、この円華さんが……最も業界一ヘヴィで、業界一メタリックな音を奏でる円華さんと、この俺で業界一ヘヴィで、業界一メタリックなタッグチームを見せてやるからな!
円華 そうなんですか?(苦笑)
FUMA よし、さっきの決め台詞教えたでしょ。それちゃんと言ってくださいよ!
円華 やったほうがいいっすか?(苦笑)
FUMA やったほうがいい。せーの、か弱き心……ちょっと、やってくださいよぉ! ……もういい! か弱き心に棘と鎖を! キープ・オン・ロッキン! ヘヴィメタル・アンセーム! ……やってくださいよ、次からでいいんで。
円華 あ、次からね。はーい、次からやりまーす。
公式スマホサイト(http://ddtpro.jp)では大量の写真をアップ! ぜひご覧ください。