国会議員の育児休暇は是か非か――。

 自民党の宮崎謙介衆院議員が育休を取ると「宣言」し、育休の規定がない衆議院規則の改正にも意欲を見せたことを受け、賛否両論が広がっている。

 「『育児は母親の仕事』という社会の空気に風穴をあけてほしい」「男性の育児参加を実践し、範を示してほしい」

 国会議員、とりわけ男性が率先して育休をとることで、社会全体の意識改革につながるのでは、との期待がある。

 一方で「民意の負託を受け、特権も与えられているのに、責任放棄では」「育休制度は雇用者と被雇用者との関係であるもの。自営業者に近い国会議員は、自らの裁量で育児参加すればよい」といった批判もある。

 それぞれに、一理がある。

 政界の論理に染まり切っていない若手議員だからこそ、投じることができた一石である。

 ただちに「正解」を出す必要はないだろう。

 国会議員が果たすべき役割は何か。有権者は国会議員に何を期待しているのか。国会の内と外でじっくり議論を深めるきっかけにしたい。

 それにしても、民間企業の男性の育休取得率2・3%(2014年度)は、あまりに低いと言わざるを得ない。

 「男のくせに」「女だから」

 社会にまだまだ根強くある、性別役割分業の意識が要因であることは、間違いないだろう。

 育児は当然、女性だけがやるものではない。男性が育児を担うことへの社会の理解が低いから、男性の育休取得率が上がらない。上がらないから、「そうしたものだ」と流され、社会の意識も変わらない。

 この悪循環を断つためには、個々人が「一歩」を踏み出し、実践を積み重ねていくことが大事だろう。

 男性なら、まずは短期間でもいいから育休を取ってみる。そこで得られた気づきを、友人や同僚に話してみる。

 そして国会議員の一義的な仕事は、そのような動きを支え、男女を問わず、子どもを産み育てやすい社会を築くための法整備であり、制度づくりである。

 出産と育児をめぐる問題は山積している。妊娠や出産で不利益な扱いを受けるマタニティーハラスメント。経済的な理由で出産をあきらめる若者。出口の見えない待機児童問題……。

 これらの解決が急務だという認識は、性別や世代、党派を超えて共有できるはずだ。育休問題にとどまらない、国会の主体的な取り組みに期待する。