本来は処分されなければならない産業廃棄物が「食品」に化け、市場に出回っていた。

 カレーチェーンを全国展開する壱番屋の冷凍カツで発覚した、愛知県の産廃業者による廃棄食品の横流し。市場に出回るまでに冷凍が解けた形跡があり、消費者に健康被害をもたらす可能性もあった。業者は弁護士に「売るためにやった」と認めている。ルールを無視した行為に驚くばかりだ。

 産廃業者からカツを買って転売した岐阜県の業者の施設からはほかにも108品目が見つかった。現時点で、製造・販売元は北海道から宮崎県まで25自治体に及ぶ。横流しされたとみられる食品にはイオンやマルコメなどの商品も含まれる。問題はどこまで広がるのか。警察の徹底的な捜査を期待したい。国も全国的な調査をすべきだ。

 問題の冷凍カツは異物混入の恐れがあり、破棄されたものだが、岐阜県の業者の手を離れたあとは「格安市場」のルートに乗り、複数の仲買業者の間で転売された。「在庫が安く出回ることはある。廃棄物とは思わなかった」と語る業者もいた。

 だが素性の確認なしに、食品の安全性は判断できまい。

 無責任な取引は、消費者ニーズに応えようと真面目に格安販売に取り組む人や、品質に問題のない余剰食品を生活困窮者らに提供するフードバンクなどの活動にも水を差しかねない。

 製品を悪用された壱番屋は、産廃業者に処理を委託する際、カツに手を加えていなかった。食品の形をとどめていたことが横流しを招く一因となった。

 問題発覚を受け、壱番屋がいち早く改善策を打ち出したことは当然だ。今後は再利用できない形で廃棄し、それができない場合は最終処理まで社員が立ち会い、目視で確認するという。再発防止に役立ててほしい。

 食品製造に関わるほかの事業者も、適正な処理がなされているか監視を強める必要がある。

 廃棄物処理法が定めるように、事業活動にともなう廃棄物は、排出者自らが処理に責任を持たなければならない。

 国内で出る食品の産廃は年間250万トンにも及ぶ。その一因とされるのが食品業界の「3分の1ルール」だ。製造から賞味期限までの3分の1を過ぎた商品は小売店へ納品できず、小売店は3分の2を経過した時点で店頭から下げる商習慣だ。

 まだ食べられる食品が、大量に破棄されることが織り込まれている日本の「食」――。今回の問題は、その現実を改めて白日の下にさらしたとも言える。