ポッドキャストに体を張れ - 『Mr.タスク』 - 1953ColdSummer

Mr.タスク
TUSK
2015(2014)／アメリカ／カナダ／PG12　監督／ケヴィン・スミス　出演／マイケル・パークス／ジャスティン・ロング／ハーレイ・ジョエル・オスメント／ジェネシス・ロドリゲス／ハーリー・クィン・スミス／リリー＝ローズ・メロディ・デップ／ジェニファー・シュウォールバック／ジョニー・デップ／他
人間がセイウチになる。

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　ポン刀を振り回していたら自分の片脚を斬り落としてしまった“キル・ビル少年”を番組で散々笑いものにしていたポッドキャスターが、自分も片脚をもがれた挙句セイウチ人間に改造されてしまう、という因果な話。因果っていうか、やりすぎだろとの謗りも免れまいというものですが、そういう謗りに耳を塞いで結論から言上致しますとたいへん面白かったです。人間がきちがいにセイウチにされる映画が面白くないわけが無いですね、人間が口と肛門を連結されたりフランケンシュタインの末裔が死体と機械をくっつけたりするのが面白いのと同じです。なにかね、君たちは人体改造映画をシブメン決めて非難するのかね、んで、ジョニー・デップが出てくる映画に黄色い歓声を上げるのかね、存分に上げて下さい。わたしは本作のきちがいことハワード・ハウ（マイケル・パークス）の遭難譚（凍死しそうなところをセイウチに温めてもらって助けられたが腹が減っていたのでブチ殺して喰った）にホヨヨと涙し、それがきちがいのセイウチ人間作りの原動力となったというところに黄色い歓声というか、茶色いダミ声を上げそうになってしまいます。セイウチもかわいいのだが、セイウチ人間もかわいいなぁ。全身に縫い目があって双眸だけは人間そのままだなんてもう最高。そういや『少年アシベ』が20年ぶりにテレビに復活、てなニュースを目にしましたが、森下裕美先生に於かれましてはゴマちゃんの新デザインとして本作のセイウチ人間の造形を採択してみるのは如何か？　「如何か？」って言われてもなぁ。ハーレイ・ジョエル・オスメント君の恰幅の良さの免じてそこは許してもらうとして、ユーチューバーやポッドキャスターなどのインターネット発のエンターテイナーがその自意識からろくでもない目に遭う、というのが昨今ある種のお約束になって来ているような気もするのだが、まだまだテレビとの縁が強い「映画」という媒体に於いてはそこで徹底的に彼らをアホにする事によって矜持を保つ、或いは本懐を遂げているようにも思える。当然そこには既得権益の影がちらつくのだが、本作の最後の最後、エンドクレジットに流されるポッドキャストに「ああ、こういう使い方もあったか」と得心が行く気もする。セイウチ人間なんて素材はLiveLeakやポッカキット行きだろうという意見もごもっともではありますが。

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