編成の最高責任者である高田繁GMをうならせた新人がいる。今春キャンプの1軍スタートを決めたドラフト上位の即戦力選手ではない。高卒のドラフト6位・青柳だ。「青柳は面白いよ。まだ打撃には課題があるけど持っている身体能力が凄い。今の若手の外野手もうかうかしてられないよ。必ず伸びてくる選手だ」。言葉に熱がこもった。
名門・大阪桐蔭出身。1年時、2学年上の森(西武)が華々しい指名会見を開いたのを見てきた。だが、昨年10月22日のドラフト会議当日。青柳に会見場が用意されることはなかった。「3年夏に成績が残せず、プロは無理かなと。会見場でドラフトを見なかったのは(同校で)僕が初めてだと思います」。西谷浩一監督からは「(指名が)なくても落ち込むなよ」と言われていたという。そんな中、届いたのがDeNAからの吉報だった。
昨年12月のことだ。同校のグラウンドで自主トレを行った森に「プロの球は重いから、フルスイングしろよ」と声を掛けられた。西武・中村や日本ハム・中田をはじめ、大阪桐蔭にはフルスイングの系譜がある。「率にこだわりつつ、フルスイングは貫きたい」と青柳。華々しくドラフト上位で入団した先輩たちとは違う。でも、「いつか…。いや、一日でも早く、追いついて、追い越したい」。名門出身のプライドを胸に秘め、今は無心にバットを振る。 (中村 文香)
◆青柳 昴樹(あおやぎ・こうき)1997年(平9)5月19日、大阪府泉大津市生まれの18歳。誠風中1年から野球を始め、大阪桐蔭では2年夏から外野のレギュラーをつかみ全国制覇に貢献。3年春は4番として甲子園ベスト4に進出した。高校通算25本塁打。遠投105メートル、50メートル走は6秒0。1メートル83、84キロ。右投げ右打ち。
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