研究成果

ビッグデータの解析で薬の副作用予測がほぼ100%可能に


2016年01月22日


     江谷典子 医学研究科特定研究員は、薬剤やその副作用、疾患の原因となる遺伝子などのビッグデータを解析することで、副作用をほぼ確実に予測できるとの研究成果を発表しました。加えて、既存の薬剤の中で、元々のターゲット以外の疾患に効果を発揮する可能性があるものについての予測も行い、いままで治療薬が公開されていない疾患に対して300件以上の候補を発見しました。

     本研究成果は8月7日、Springer社の学術雑誌Journal of Big dataに掲載されました。

    研究者からのコメント

     将来的にはプログラムを半導体チップへ組み込んだ、システム・オン・チップという技術を用いることで、セキュリティ強化ができると思います。同時にデータ 処理も高速化できるため、今回のようなビッグデータを用いた予測を手軽に行うことができるようになるでしょう。ビッグデータの解析や活用が、より幅広い分野で用いられることを期待しています。

    概要

     ビッグデータを用いた薬の副作用の予測は、必要な臨床試験のデータが公開されていない場合が多いことから、十分な成果が得られていませんでした。今回の研究では、公開されているデータベースから疾患の原因となっている遺伝子や、薬の働きかける部位、タンパク質と化合物の相互作用に関するデータ、市販されている薬を含む薬剤の副作用と発症率の5項目を統合し、新たにデータベースを構築しました。このデータベースを元にした統計や機械学習を用いたシステムを開発し、副作用の種類や発症率を予測したところ、ほぼ100%予測できました。

     個人の体質や遺伝的特性によって治療効果の高い治療法を選択する、個別化医療への貢献が期待されます。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    [DOI]http://dx.doi.org/10.1186/s40537-015-0024-1

    Noriko Etani
    "Database application model and its service for drug discovery in Model-driven architecture", Journal of Big data 2(16), 7 August 2015.


    ビッグデータの解析で薬の副作用予測がほぼ100%可能に
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