「彼は安倍晋三首相の盟友で信頼が厚い。政権への打撃は大きい」。安倍政権の中枢といえる閣僚が、地方の建設会社から億単位の賄賂を受け取っていたという疑惑をめぐり、ある閣僚経験者が日本経済新聞の記者にこう語った。疑惑の当事者である甘利明経済財政・再生相(環太平洋経済連携協定〈TPP〉担当相)=66=は22日も「一週間以内に(経緯を調査し)説明責任を果たす」と述べるにとどまり、それ以上具体的な釈明はなかった。
21日発売の時事週刊誌「週刊文春」最新号は、千葉県の建設会社による暴露の内容を報じた。普段は週刊誌の報道をあまり相手にしない日本の新聞が、この日の夕刊から一斉に、この疑惑を主要ニュースとして取り上げ始めた。
このような中、甘利氏は22日、衆議院本会議場の演壇に立った。今年1年間に日本経済が進むべき方向性について説明する演説が以前から予定されていたのだ。だが、民主党や共産党など主要野党は前日から「経済演説に先立って、まず収賄疑惑について釈明をすべきだ」と主張した。そして実際、甘利氏の演説が始まると、野党議員たちは次々と立ち上がり、本会議場を出て行った。甘利氏が困惑した表情で演壇に立ち、日本経済の回復基調に関する原稿を読み始めた。安倍首相は終始、重い表情で腕組みをしたまま状況を見守った。
首相官邸からは「TPPは甘利さんだからまとめられた。守るのは当然だ」という声が出ている。甘利氏はTPPだけでなく、経済政策全般に関し重責を担っている。来月4日にはTPPの調印式に日本を代表して出席することになっている。問題は、甘利氏の釈明が遅れれば遅れるほど、安倍政権の負うリスクも増大するということだ。