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まさかの再会
翌日、緋村と村田、そして山本中将の三人は、海軍省へと向かっていた。
「なんで山本中将も来てるんですか?」
「君達だけだったら大臣も信用してくれんだろう?」
「ああ、なるほど。」
そう言いながら三人は大臣室へと向かった。
「おお、君たちかね。まあ掛けたまえ。」
大角海軍大臣はそう言って椅子に掛けさせた。
「君たち二人のことは山本中将から聞いている。それで話とは何かね?」
「はい、工業力の底上げのためドイツの工作機械の大量輸入と、ドイツに艦艇を輸出することを内閣で具申してもらえませんでしょうか?」
「ドイツに!?」
山本中将は驚いた。史実でも三国同盟にも反対していた山本中将は、あまりドイツに良い印象を持っていなかった。
「工作機械はともかく、艦艇の輸出はどういうことかね?」
「簡単です。ドイツは現在再軍備宣言を行い、陸軍と空軍の増強に力を入れていますが、海軍はあまり力を入れておりません。そこに金を払うだけで艦艇が増えるのですから、ドイツとしてはこれほどいい話はありません。それに、アメリカをけん制するためでもあります。」
「しかし、輸出する船は何かね?戦艦や空母は出せれんぞ。」
大角大臣は質問した。
「もちろんです。自分の考えとしては、古鷹型と青葉型の四隻と、球磨型を二隻といった考えです。」
「ふむ、重巡四隻と軽巡二隻か。ううむ、分かった。艦艇の件は少し考えさせてくれ。工作機械の方は大丈夫だろう。」
「ありがとうございます。それではこれで。」
「うむ、ではまた。」
海軍省を後にした三人は車の中で話をしていた。
「良いのかね緋村君。君はドイツのことを知っているだろう。」
山本中将は緋村に対しこう言った。
「分かってますよ。でも、ドイツに恩を売っといた方が後々いい結果を生むかもしれませんよ。」
「ドイツの技術は優れてますからね。戦車や戦闘機はアメリカも度肝を向いてましたしね。」
「ううむ、しかしあのヒトラーは危険だ。君も『我が闘争』を知っているだろう。」
「まあ、ヒトラーは確かに色々とヤバいのは知ってますよ。でも、アメリカとの戦争になったら頼れるのはドイツぐらいになるでしょう。だから今のうちに手を組むんですよ。」
「ふうむ、確かにそうかもしれんが...」
山本中将はあまり納得していない様子だったが、その後山本中将と別れた二人は、艦政本部へと向かっていった。
「やあ、来たか緋村君。待っていたよ。」
「中村中将、神谷中佐、お迎え有難うございます。」
「ちょうど君たちの言っていた、改飛龍型を会議で話していたところだよ。」
「雲龍型航空母艦のことですか?」
「ああ、君たちの資料を基に改良を行う予定だ。」
中村中将は、エセックス級航空母艦の対策として雲龍型航空母艦の建造を決定し、またカサブランカ級護衛空母を基にした護衛空母の設計を指示した。
「既存の艦艇にも対空兵装の追加を行う予定だ。」
「そうですか、カタパルト開発はどうですか?」
「ううむ、やはり油圧式カタパルトの設計は難航している。構造が複雑だからな。」
「やっぱり難しいですか。」
艦政本部では緋村たちの資料(タブレットに入っていた情報)を基に設計がを行われているが、難航しているのが実情だった。
「昭和16年までに実用化させることを目標としているが、難しいだろうな...」
「諦めたら一生完成しませんよ。」
「ハハハ、そのとおりだな。」
そして中村中将たちの話が終わり、緋村たちが艦政本部から出た際、憲兵隊が門の前で立っていた。
「緋村海軍少尉と村田海軍少尉だな。」
「そうですが、憲兵隊が何の用ですか?」
「貴様らに話がある。来い。」
「拒否権はありますか?」
「いいからさっさと来いっ!!」
そう言って憲兵は二人の軍服の袖を引っ張り、車に押し込んだ。
「どこへ連れて行くんですか?」
村田は完全にビビった状態でそう聞いた。
「陸軍省だ。貴様ら二人に会いたいと林陸軍大臣が仰られている。」
(何で陸軍大臣が俺たちを?何のためにだ?)
そうこうしているうちに車は陸軍省に入っていった.
「林大臣、東條閣下、お連れしました。」
「うむご苦労。下がりたまえ。」
「はッ!!」
部屋には林陸軍大臣と東条英機の二人が座っていた。
憲兵が部屋を出て行った後、緋村が最初に口を開いた。
「陸軍大臣と憲兵隊隊長が何の用ですかな?」
緋村は少々嫌味を混ぜながら二人に質問した。
「実は会いたいと言ったのは私の部下でね。外で待たせているのだよ。」
「林大臣の部下、ですか...」
「おーい、入りたまえ。」
そう言って入ってきたのは若い士官であった。それは緋村たちが驚く人物であった。
「お...お前、杉野か?」
「え、え、杉野さんナンで?」
「よう、久しぶりだな緋村、村田。」
杉野と呼ばれた人物は、緋村の部活の友人であり、村田の先輩にあたる男である。
「なんでお前こっちに来てるんだよ。まさかお前もタイムスリップしてきたのか?」
「そのまさかだ。1ヶ月前に突然タイムスリップして気づいたら林大臣の部屋にいたんだ。」
「いやあ、あの時は驚いた。」
林大臣は一人そうつぶやいた。
「最初は大臣も信じてくれなかったが、持ってたパソコンを見せたらようやく信じてくれたんだよ。」
「そうか、俺も大体同じころだよ。それでお前は今どうしてるんだ?」
「今は色々と陸軍の改革を行ってる。いくつか挙げるとチハの改良と機械化の促進だな。」
「へえ、そうか。あんまり無理しすぎるなよ。」
「分かってるって。」
そして、三人はそれぞれの話をし終えたのち、旧友との再会に喜びながら手土産(未来の漫画や音楽プレーヤー)をもらい、帰って行ったのであった。
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