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核武装論に甘い民族感情 北の核実験でまたも韓国で語られる「われわれも核開発を」
しかしこうした主張は結果的に北朝鮮の狙い通りだから、韓国にとっては一層頭が痛い。「米国との直接交渉」というのはかねての北朝鮮の最大の外交目標であり、独自の核武装論も「米国による核の脅威」を理由にした北朝鮮の核開発の言い分と同じだからだ。
韓国は朴槿恵大統領の父、朴正煕(チョンヒ)時代の1970年代にひそかに核開発構想があった。米国(カーター政権)の在韓米軍撤収計画に危機感を抱いた朴正煕が自主国防策の一環として進めたが、彼の急死(79年)で計画は頓挫し、次の全斗煥(チョン・ドゥファン)政権になって米国の圧力で完全に放棄させられたという経緯がある。
韓国の独自核開発論はその後、政策的には消えたが、論というか“夢”としては生き続けた。その象徴が90年代初めに話題を呼んだ超ベストセラー小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』(金辰明(キム・ジンミョン)著)だ。
竹島問題をきっかけに日本が韓国に攻めてくるという、韓国の大衆小説によくある反日愛国の“日韓戦争モノ”である。主人公は米国でナゾの死を遂げた(謀殺?)韓国の核物理学者で、小説のラストは韓国が北朝鮮と共同開発した核ミサイルを東京湾沖に発射し日本を屈服させるというものだ。これは映画化までされている。
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