「中国ではこの本の話題で持ちきりで、SNSやメールで本の内容をやり取りする人も多い。毛氏が主導した文化大革命のときには刑事罰の対象になるなど政府は同性愛に批判的なスタンスを取っている。周氏は同性愛への迫害を推し進めた毛氏の盟友ともいえる存在だけに、政府の対応に高い関心が寄せられている」(日中情報筋)
そんななか、香港では同書をめぐって騒動も起きた。
香港の俳優、王喜氏が自身のフェイスブック上でその内容に触れ、周氏について「ゲイなのか」と記述。これに対して中国本土で「指導者を侮辱している」などの批判が巻き起こり、王氏が出演するテレビ、ラジオ各局に抗議が殺到した。国営中央テレビ(CCTV)は10日放送の人気バラエティー番組で、王氏の顔にモザイクを入れたほか、放送そのものを見送った番組もあったという。
現在、『周恩来的秘密情感世界』は香港市内で流通するものの、「ネット書店では取り扱いが禁止され、中国本土や外国では入手できない。政府によって事実上の検閲を受けている状態にある」(中国の出版関係者)。波紋はどこまで広がるか。