「全く気付かなかった。筒抜けだったなんて」。名前や生年月日からパスワードを類推され、メールを勝手に見られたアイドルがこぼした。不正アクセス禁止法違反などの疑いで２２日、岐阜県職員を逮捕した神奈川県警は「見破られにくいパスワードを設定し、小まめに変えて」と呼び掛けるが、利用者は「どう管理すればいいのか」と戸惑う。

　アイドルグループ「ＳＤＮ４８」のメンバーだったタレント福田朱子さんは、大手検索サイト「ヤフー」が提供する無料のメールサービス「ヤフーメール」を仕事に使っていた。今回の捜査で、昨年１年間で１０回以上、不正アクセスされていたことが判明した。ずっと使ってきたパスワードを変えるのは気が進まなかったが、連絡を受けた後の今年に入って変更した。

　グラビアアイドルの璃乃さんも、米グーグルが提供する「Ｇメール」のＩＤとパスワードが流出していた。警察からの昨年の連絡を「身に覚えがなく詐欺かと思った」と話す。

　情報セキュリティーの専門会社「ネットエージェント」の杉浦隆幸会長は「ネット上に保存した情報は、世界中から見える透明の箱に入れているようなものだと意識する必要がある。パスワードを覚えるのは大変だが、最後の１文字だけでも変えて自衛すべきだ」と話している。