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【大相撲】

琴奨菊止まった 日本人の同期・豊ノ島にやられた

2016年1月23日 紙面から

琴奨菊(左)はとったりで豊ノ島に敗れる=両国国技館で(神代雅夫撮影)

写真

◇初場所<13日目>

 (22日・両国国技館)

 ついに土−。ただ一人全勝を守っていた大関琴奨菊(31)=佐渡ケ嶽=は、豊ノ島(32)=時津風=のとったりに屈して初黒星。10年ぶりとなる日本出身力士の優勝へ向けて快進撃を続けてきたが、親友であり小学校時代からのライバルに不覚を取った。白鵬(30)=宮城野=は鶴竜との横綱対決を送り出しで制し、1敗でトップに並んだ。横綱日馬富士(31)=伊勢ケ浜=は取り直しの一番で大関稀勢の里を寄り切り、豊ノ島とともに2敗で追う展開となった。

 込み上げる悔しさがあふれ出る。「あー、くそっ」「あー」「くっそー」。支度部屋に戻った琴奨菊が連呼した。風呂に入っても言葉にならない叫びは続いた。同期生の豊ノ島に初日からの連勝を止められたのだから無理もない。「ちょっと気持ちが入り過ぎちゃったかな。もっと冷静にね。一番いい立ち合いをしようと思って執着しすぎたかもしれない」と戒めるしかなかった。

 これまで見せていた胸を合わせる展開にならなかった。「距離があったね。そこだけだね。密着して接地面を多くと思ったけど、先に体勢が崩れちゃった。接地面だね、接地面」と琴奨菊。得意の形に持ち込めなかったことを何度も反省した。

 朝稽古後に琴奨菊は思い出話に花を咲かせた。小4の時に豊ノ島の幼なじみと対戦して敗れた。その時に存在を知った。「外掛けばっかりしていたけどね」と笑いながら当時の豊ノ島を懐かしんだ。地元・福岡から高知の明徳義塾中に進み、3年で迎えた全国都道府県中学生選手権。高知代表として豊ノ島らと国技館の土俵で戦い、無敗で団体Vを飾った。「今は幕内で優勝争い。いろんな意味で熱く戦える相手」。意識しすぎたことも落とし穴になった。

 優勝を視界に捉えて迎えたこの日、親交のあるタレントの上地雄輔が観戦に駆けつけた。故郷の福岡・柳川にある柳川商工会議所の会員らは朝稽古から応援に来た。期待に応えられなかったが、まだ1敗。初優勝の可能性は十分にある。悲願達成なら柳川市で水上Vパレードも計画されている。祝勝会で使うタイも届いた。「攻めたんだからしゃあない。負けは負け。しっかり明日に気持ちを切り替えて」。悔しさをぶちまけたのはわずかな時間。帰り際の琴奨菊は14日目の戦いだけを見据えた。(永井響太)

 

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