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【大相撲】琴奨菊が3横綱を撃破 1人全勝守った2016年1月22日 紙面から
◇初場所<12日目>(21日・両国国技館) 全勝の大関琴奨菊(31)=佐渡ケ嶽=が1敗の横綱日馬富士(31)=伊勢ケ浜=を突き落とし、単独トップを守った。琴奨菊は3横綱を撃破。栃東(現玉ノ井親方)以来、10年ぶりとなる日本生まれ力士の優勝がいよいよ視界に入ってきた。横綱白鵬(30)=宮城野=は大関豪栄道を突き落とし、1敗をキープした。全勝の琴奨菊を1敗で白鵬、2敗で日馬富士と平幕の豊ノ島が追う。 ◇ ガンガンいこうぜ。テレビゲームの名作「ドラゴンクエスト」の「さくせん」ばりに、琴奨菊がこん身の戦いを見せた。左を差して日馬富士をがぶり寄り。「必死だったので覚えていない」。粘られても右から突き落としに切り替え、無心で横綱を転がした。白星を実感するように息を吐く。支度部屋では、いつもと変わらない冷静な姿に戻っていた。 大関が3日連続で横綱を倒したのは、1991年初場所で霧島(現陸奥親方)が旭富士、大乃国、北勝海を破って優勝して以来の快挙。12連勝で、賜杯にまた一歩近づいた。高揚感はあるか? と聞かれても「ない、ない、ない」と否定した。「勝負事なんでどうなるか分からないし、苦しんだ分、楽しみながらやろうと。しっかりそういう気持ちが出ていると思います」 相撲はよく「心技体」と言われる。今場所の琴奨菊は特に「心」が充実している。ドラクエに引っかけたたとえは、トレーニングで指導を仰ぐトレーナーから気持ちを高めるために教えてもらったものだ。 「パワー、体力、攻撃力は、やっているとおのずと減るじゃないですか。それで魔法を使う。体力(HP)はやくそうとか飲めば復活する。でも魔法(MP)を復活させるのは気力。だから、オンとオフをしっかりね」 体力が減れば宿屋に泊まるように、睡眠やマッサージ、風呂で疲労を回復させ、「付け人とメシに行く」などのまほうのせいすいのようなリフレッシュで気力を取り戻すという。この日の朝稽古後も琴奨菊は「MPはマジックポイントだっけ?」とドラクエに触れたが、報道陣から「マジックパワーらしいです」と突っ込まれた。MPの名称を知らず“経験値”の低さがバレた。だが、すぐに「気力が一番大事」と気にしないくらい心に余裕がある。 優勝争いで単独トップのまま、残すは3日間となった。賜杯がちらついてもおかしくないが「日に日に冷静になっている」と怖いほど落ち着いている。「(女神が)振り向くか振り向かないか分からないけれど、悔いの残らないようにやる」。2006年初場所の栃東以来となる日本出身力士Vという最高のエンディングへ。10年かかった物語を琴奨菊がクリアするまで、あと少しだ。 (永井響太) PR情報
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