ベスト10入りはどれも注目
第4位は、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」でセゾン投信の商品だ。世界30ヵ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資するファンドで、株式と債券の投資比率は原則として半々だ。
Fund of the Yearの投票傾向の一つに、独立系かつ直接販売に重点を置く投信会社に対する根強い支持があり、このファンドを運用するセゾン投信、「ひふみ投信」のレオス・キャピタル・ワークス、「結い2101」の鎌倉投信などに毎年支持が集まる。こうした投信会社は、投資家に対する情報提供を熱心に行っており、セゾン投信の中野啓晴社長も投資家の人気が高い。
バランス型のファンドは、単独の資産に投資するファンドに較べて、運用の中身を運用会社に委ねるウェイトが高くなるので、筆者個人は投資の一般論としてお勧めしないのだが、投資家としては気が楽な面がある。
第5位は、日本株に投資するアクティブ・ファンドである「ひふみ投信」だ。同ファンドは、近年運用成績が良く、また、独立系の厳しい台所事情の中から運用管理手数料を引き下げる工夫を凝らしている点でも投資家の支持を集めている。
筆者は、「投資家にアドバイスする」という立場ではインデックスファンドを勧めることが「正しい」と確信するが、個人的には、アクティブ運用が大好きである。低コストで運用成績のいいアクティブファンドがどんどん登場してくれると、日本の投信業界はもっと面白いものになると思うので、このファンドも含めてアクティブファンドには大いに気を吐いて貰いたい。
以下、第6位は「eMAXISバランス(8資産均等型)」(三菱UFJ国際投信)、第7位は「結い 2101」(鎌倉投信)、第8位は「世界経済インデックスファンド」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、第9位に「ひふみプラス」(レオス・キャピタルワークス)、第10位に「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散ETF」(ブラックロック・ジャパン)といったファンドがベスト10にランクインしている。
受賞理由は様々だが、これらのファンドについて調べて頂くと、「投資信託はこういう点を見たらいいのか」という考え方が分かるはずだ。敢えて「どのファンドを買え」とは言わないが、受賞ファンドの中身、ファンドに投票した人のコメントなどを読み込むと、どんな投資信託の入門書を1冊読むよりもためになると思う(イベントのホームページから各ファンドの内容まで辿ることができる)。
ちなみに、銀行員や証券マンが紹介してくれるようなファンドは一本もなかったことも付記しておく。