韓国陸軍が、北朝鮮地域の占領を前提にした図上軍事演習を昨年9月に初めて実施していたことが、21日までに確認された。韓国軍の消息筋は「陸軍のある師団クラスの部隊で、昨年9月20日から三日間、コンピューター戦闘指揮訓練(BCTP)により、北朝鮮地域に対する安定化作戦演習を実施した」と語った。安定化作戦とは、戦時や事態急変時に北朝鮮でコントロール不能の状況が生じた場合、北朝鮮地域に進駐して治安維持などを行う作戦のこと。従来の演習は、北朝鮮による局地挑発の後、全面戦に至るまでの想定だけだったが、今回は北朝鮮地域の安定化作戦まで含めたわけだ。安定化作戦に対して、北朝鮮は極めてデリケートな反応を示してきた。韓国軍当局は、北朝鮮の反発などを考慮し、師団など第一線部隊レベルでの安定化作戦演習は実施してこなかった。
韓米連合作戦計画は、北朝鮮の局地挑発および全面戦の様相に応じて、0から5までの段階に区分されているという。0-2段階は、北朝鮮の挑発および戦争の抑止、3段階は局地挑発後から全面戦の状況に対応する。4段階が占領地域の安定化、5段階が北朝鮮占領地域の統治支援および政府権力移譲などとなっている。このうち4段階で実施される安定化作戦は、秩序の維持(北朝鮮軍の武装解除、残存敵性勢力と住民の分離、心理戦など)、人道的支援(救護物資の配給など)、再建支援活動などを含んでいる。
全面戦発生に伴って北朝鮮全域を占領したり、事態急変により北朝鮮の政権が崩壊したりした場合、現役・予備役からなる約10個師団が安定化作戦を遂行するという。これらの部隊は、軍事作戦の完了後、北朝鮮の各道ごとに1個師団ずつ配置され、平壌については大同江を境に南北に分けて2個師団が駐屯する-と消息筋は伝えた。韓国陸軍は、安定化作戦演習に先立ち、以北五道庁と演習に関する了解覚書(MOU)を締結し、脱北住民を招いて会議も行ったという。北朝鮮の社会や文化、環境などを理解するためだった。
演習の後、韓国陸軍では、安定化師団に必要な人員および装備の補強、師団創設に要する装備および物資の確保、安定化師団の戦闘参謀団の構成、部隊・政府・民間団体の任務の具体化、北朝鮮地域に関するデータサービスの構築などが必要という評価がなされたという。
韓国内外の一部の専門家は、北朝鮮の安定化作戦には30万から40万の兵力が必要で、韓国軍の兵力削減計画が予定通り進んだ場合、安定化作戦をきちんと遂行することはできないと懸念している。