責任はやはり旅行会社に有り
いずれにしても、こうした事実から、今回の事件の別の本質も見えてくる。もし、その行政処分を乗客たちが知っていたらどうなるか。取りやめる人もいたかもしれない。
こうしたブラックな情報は、国交省のサイト「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」(http://www.mlit.go.jp/nega-inf/index.html)から知ることができる。
「当ホームページでは、一層の利用者利便を確保するとともに、事業の健全な発達及び輸送の安全確保を図るため、バス、タクシー、トラックを利用する際の事業者選択の参考情報として、過去3年間の自動車運送事業者に対する行政処分状況を公表しています。」
とうたっており、ある程度の情報を確認することができる。ただし、直近のものは検索できない。昨日現在で、平成27年11月分までのデータを検索可能とされている。
もっとも、バス運行会社のブラック情報はネットで検索することができるが、旅行者としては、ツアーを企画した旅行会社に申し込むので、その旅行会社がどこのバス運行会社と契約しているのかは事前になかなかわからない。実際にバスに乗り込むときにはわかるが、そのときには、悪徳バス会社とわかっても、もう手遅れだ。
となると、旅行会社の責任が重大になってくる。旅行会社は、旅行業法に基づいた登録が必要であり、旅行業法による規制を受けるからだ。今回の旅行会社は、株式会社キースツアーである。
旅行業法第第十二条の十では、「旅行業者は、企画旅行を実施する場合においては、旅行者に対する運送等サービスの確実な提供・・・その他の当該企画旅行の円滑な実施を確保するため国土交通省令で定める措置を講じなければならない。」とされている。
それを受けた旅行業法施行規則第三十二条第一号において、「旅行に関する計画に定めるサービスの旅行者への確実な提供を確保するために旅行の開始前に必要な予約その他の措置」と定められている。
旅行会社として株式会社キースツアーが、バス運行会社が適切な会社であることを確認しておくのは常識以前の話だ。株式会社キースツアーが、株式会社イーエスピーに対する行政処分を知っていたのかどうかは、大きなポイントである。
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