ダボス=松尾一郎、寺西和男
2016年1月23日03時00分
スイス東部ダボスで開催中の「世界経済フォーラム」の年次総会(ダボス会議)で22日、内堀雅雄知事が東京電力福島第一原発事故から5年を迎える福島の今を報告した。
内堀知事は、今回設けられた「福島の再生:世界への教訓」と題された講演枠に、独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」理事長の船橋洋一氏(元朝日新聞主筆)の司会で登場した。内堀知事は冒頭、「5年たった福島には明るい側面と厳しい側面がある」と紹介。除染の進展や、農産物から基準値を超える放射性物質が検出されなくなっているなど改善してきた点を強調しつつ、今なお約10万人が避難を続けざるを得ない現状や風評被害、事故の風化の懸念についても報告した。
聴衆から政府からのサポートが十分か、と質問が出ると、内堀知事は「現場と所管省庁の間で時間差があって苦しんだが、今は制度などがそろったので順調だ」と答えた。だが、質問したスイス公共ラジオの制作者リノ・クルティさんは、「知事は如才なく答えたが、そのためか、私は日本の政府が福島のためにもっと多くのことを迅速にできるのではないかとの印象を持った」と話した。
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