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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く

週刊ダイヤモンド編集部
2016年1月22日
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――B案では、現在は地中に残ったままの、旧競技場の杭の撤去方針も提案されています。

 地中の杭は取り除く必要があります。ですので、(建物の)建築確認申請が下りる前に杭の撤去作業が始められればという条件で、2019年11月に竣工させることができると提案しました。おそらく、大成建設さんも事前にやるんだろうとは思います。ただしA案の提案書の中では、事前着工の条件を付けなかった。

 提案を審査する日本スポーツ振興センター(JSC)の技術提案等審査委員会とは、昨年12月19日の公式のヒアリングの前にも、何度も質問のやり取りをしていました。「もし、建築確認申請が下りる前に着工できなかったらどうするのか」という審査委員会側からの質問に対して、我々は当初「(2ヵ月遅れて)2020年の1月になる」と確かに回答しました。

 その後、検討を重ねた結果、もし建築確認申請が下りた後で着工しても、19年11月末の竣工は可能と判断できたため、正式なヒアリングの際に、そうはっきり申し上げたんです。その点で、A案とは遜色ないと思っているんですが、後から意見を修正しただけで、なぜ27点の差がついたのか、理解ができないということです。

――公式なヒアリングで、「もし、建築確認申請が下りる前に~」と質問をした審査委員は誰ですか。

Photo by Toshiaki Usami

 工藤和美さん(建築家、東洋大学教授)です。その質問に答えた後、村上周三審査委員長(東京大学名誉教授)から「JSCから確認したいことがある」と言われた。審査の場なのにそんなことが許されるのか、と思いましたが、「確認事項ですから」と言われました。

 JSCの担当者は我々に対し、「では、回答を変えるんですか」と聞いてきたのです。「そうです」と答えたのですが、その言葉だけで27点の差がついているのは、いかにも不可解です。JSC職員の態度は、かなり高圧的でしたね。「回答を、変えるんですかあーー?」という言い方でした。

 今、審査の議事録と、各審査委員がつけた得点を公表してほしいと請求しています。まだ回答はありません。

A案の柱割りはザハ案と同じ
隈氏はどこまで設計に関わったのか

――白紙撤回されたザハ・ハディド氏の案とA案が類似しているという指摘が、ザハ氏本人を含め上がっています。伊東さんからご覧になって、類似していると考えられる点はどういったところでしょうか。

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