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【スポーツ】<首都スポ>青学大エースの挑戦 東京マラソンに一色恭志が出場2016年1月22日 紙面から
リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた2月28日の東京マラソン(東京中日スポーツなど後援)には、正月の箱根駅伝で連覇を達成した青学大からも優勝メンバーが初マラソンに挑む。注目は2年連続でエース区間の2区(23・1キロ)を走り、いずれも区間3位だった一色恭志(3年・豊川)。革新的なアイデアを次々と打ち出す原晋監督(48)の指導の下、自身も新しいマラソン選手像、そして世界への第一歩を東京マラソンで記す。 箱根から世界へ−。一色の視線は既に箱根路から東京都心、そしてその先に伸びる世界へと向けられている。「箱根が最終目標ではない。箱根も大事な試合だと思うけれど、最終目標はマラソンで結果を残すこと。そのステップとしてチャレンジしたい」。連覇の興奮も余韻もすでに過去のもの。ポーカーフェースで淡々とマラソンに向けた練習をこなす先には、五輪のマラソンも描かれている。 2016年に東京マラソンを走ることは、ほぼ1年がかりで進めてきた計画だ。「去年の箱根が終わったあたりから言い続けていた。(青学大の先輩の)出岐さん(中国電力)が大学3年のときにマラソンを走っていたので、僕も3年生で1回挑戦してみようと思った」。普段の練習で各自に任されている日はジョグの量を増やし、練習やレースの後には素早い栄養補給で体の中のエネルギー貯蔵量を増やしてきたという自覚もある。 その東京マラソン、箱根駅伝を「ワクワク大作戦」や「ハッピー大作戦」などを掲げ固定概念にとらわれない取り組みで制してきた青学大らしく、一色も従来のマラソン選手とは一線を画した取り組みで挑む。「マラソンは重心移動だけでスーッと進む走りがいいと思っている。それに加えて肩甲骨のひねりを生かしたフォームでさらに推進力を得る。それが本当にいい形で現れているので、マラソンにも使える技術かなと思う」。まず走る技術を磨き、マラソンに適したフォームを身に着けてきた。 もう1つが脳だ。「気持ちの切り替えが一番大きいと思っていて、練習の30キロを40キロのつもりで挑んだら本当にあっという間だった。脳内改革というのは大きいと思う」。長くつらいというイメージのマラソンをも、あっという間に感じられる取り組み方は青学大ならではだ。もちろん気持ちだけで走りきれるような練習ばかりではない。40キロで終わることが多いマラソン練習だが、青学大ではしっかりと残りの2・195キロも走るという。「40キロまででエネルギーをからっぽにして、そこからさらに絞り出すイメージ」。技術、脳内革命、そして絞り出し。東京マラソンはその成果を披露し試す場でもある。 これらの取り組みが成功すれば−。一色にはある思いがある。「まだマラソンをやっていない僕が言うのも大口で生意気かもしれないけど」と前置きして口を開く。「42・195キロを走りきるにはそれ以上に走らなきゃいけないと何となく思うが、それだけでも違うなと思う。今までは距離を踏め距離を踏めというのが常識だったけれど、こういうやり方もあると知ってもらえればマラソンの記録も上がると思うし、僕がうまく行けば今までと違うトレーニング方法が確立できてもっと盛り上がると思う」。昨年は5000メートルと1万メートルは相次いで日本記録が更新されたが、マラソンは2002年以来滞ったまま。停滞感、閉塞(へいそく)感を新しい取り組みで打ち破りたいという思いだ。 マラソンの新しい常識の確立。それ以外にも一色を支えるモチベーションがある。「箱根は昨年は神野(大地)さんのおかげで勝ったと言われ、今年は全員で戦って勝ったけど2区は無難につないだみたいに言われた。でも東京マラソンは個人レース。『ここにあり』ということを示したい」。エースの務めを果たしながら、ほとんど脚光を浴びることはなかった。箱根が終わってからは区間賞を逃したこともあり「区間賞を取れず、最低限の役割しかこなせなかった悔しさの方が強い」とふつふつとたぎってきた悔しさをぶつける場でもある。 東京マラソンの目標については「スタートラインに無事立てれば、結果は求めていないけどおのずと納得できる走りはできると思う」と具体的なタイム、順位を挙げることはしない。ただ「30キロまでは絶対に先頭集団につくことは最低条件。1キロ3分のペースなら30キロまでは余裕を持って走りきれる」と2時間6分台の高速レースにも30キロまでなら対応できる自信はある。そして多くの初マラソン選手、ベテラン選手ですら苦しめられる「30キロの壁」も「不安はあまりない。対策はしっかりやっている。固定概念は他の人に比べたらないと思う」と言い切る。「今は楽しみな気持ちの方が大きい」と笑顔を見せる一色。箱根駅伝に続き、東京マラソンでも青学大のフレッシュグリーン旋風を巻き起こす。 (川村庸介) ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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