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大統領の思惑を忖度して国家が動く-中世のような韓国の権力システムを目の当たりにした…加藤前ソウル支局長の衝撃手記を一部公開
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が“暗黒裁判”の裏側をすべて明らかにした衝撃の手記『なぜ私は韓国に勝てたか-朴槿恵(パク・クネ)政権との500日戦争』(本体1400円+税、産経新聞出版刊)が29日発売されます。国際社会からの批判をわかっていながら、なぜ韓国の検察は外国人記者を刑事訴追したのか。公判中は表に出なかった事件の詳細な真実がついに明らかになります。発売に先立ち、序文の一部を抜粋して公開します。
■■■韓国は法治国家に非ず-序文に代えて■■■
2015年12月17日、ソウル中央地裁の李東根(イ ドングン)裁判長は、韓国の朴槿惠大統領に対する名誉毀損罪で起訴された私に対して無罪を言い渡しました。法廷で判決を待つ間、私は考えていました。韓国検察から出頭を命じられた前年夏からの約1年半、私はずっと炭鉱のカナリアのような存在だったのではないか、と。
韓国に言論の自由はあるのか、いや、そもそも韓国は法治国家なのか-。それを確かめるための経験だったと思えば、決して無駄な時間ではなかったのではないか、とも思いました。
一連の出来事を通じて強く感じたのは、韓国と価値観を共有することは極めて困難である、ということでした。日本の記者として、日本人に向けて、日本語で執筆した記事で刑事責任が問われる。わが国に限らず自由主義国家では、まず考えられません。ところが、韓国ではまかり通ってしまう。それも大統領という国家の頂点に立つ人物の思惑を青瓦台の周辺者が忖度し、それによって左右されてしまうのです。
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