(福島県および福島県立医大に対する)「小児甲状腺がんについての質問と回答」(「子ども脱被ばく裁判」 の会)について
前略,田中一郎です。
このほど「子ども脱被ばく裁判」
の会の事務局が、福島県及び福島県立医科大学に対して文書で質問状を送付したところ、その回答が返ってきました。以下、その質問と回答内容をご紹介申し上げるとともに、それについての私の若干のコメントを付記いたします。ご参考までにご覧ください。なお、「子ども脱被ばく裁判」
の会では、第2弾の質問状送付を検討される計画のようです。
以下,メール転送です。
-----Original
Message-----
(情報提供)小児甲状腺がんについての質問と回答
みなさんへ
子ども脱被ばく裁判の会・事務局です。昨年12月に、小児甲状腺がんについて、福島県および福島県立医大に文書による質問を行っていました。先日、双方より文書による回答がありましたので、ご参考まで、下記に貼り付けます。なお、質問文に続いて→で福島県、福島医大の回答を掲載しました。
・質問01 直近の報告(第21回県民健康調査検討委員会)では、県民健康調査により小児甲状腺がん乃至疑いと判明した患者数は、152人と公表されていますが、この人数について、貴職は、どのような根拠の下に"多発"と判断されたのか、その根拠についてご教示ください。
→(福島県回答) 何らかの症状があり受診し診断され治療、報告された数(がん登録)を基にした数と、無症状の方を対象として広く実施しているスクリーニング検査(「甲状腺検査」)により発見された数を比較し、多数発見されていると考えています。
→(福島医大回答) 第21回検討委員会への報告において、先行検査で114人(口頭での追加分を含む)、本格検査で39人が甲状腺がんまたは甲状腺がん疑いである旨の報告をしたことは事実です。福島県県民健康調査の甲状腺検査のように、症状のない方を検査して、甲状腺がんまたは甲状腺がんの疑いのあるとされる方の割合は、国立がん研究センターのがん登録における甲状腺がん(一部に偶然検査で発見された方を含むが通常は症状等があり病院を受診し診断された甲状腺がん)の割合と比較してかなり高くなる旨は認識しております。これらは比較できるような同じ条件ではありません。これまで、同条件での比較において、福島県で甲状腺がんが多発しているという判断をしたことはありません。
・質問02 貴職は、小児甲状腺がんが"多発"と認識し、手術を施行した症例については、手術適応症例であり、その施行の判断は適切であったとしています。その一方で、発生要因として、福島原発事故による放射線被ばくの影響は考えにくいと述べられています。そこで、これら当該疾患の発生要因について、どのような可能性をお考えか、具体的にご教示ください。
→(福島県回答) 県民健康調査検討委員会及び甲状腺検査部会においては、一生涯無症状で経過するがんの発見等の可能性が示唆されています。
→(福島医大回答) 特に若年層の甲状腺がんの自然史には分かっていない部分が多くございますが、検討委員会および甲状腺検査評価部会では、生涯にわたって症状の出ないがんが存在している可能性が示唆されています。すなわち手術を選択された方の割合から原因を推測することは不適切だと思われます。放射線以外の一般的な要因でがんが発生していると考えられますが、今後適切に検査を繰り返し、その結果を惧盤に見ていくとともに、第20回検討委員会で発表した、平成27年8月31日付「放射線被ばくの影響に関する調査研究について」にて掲示した3つの調査研究および、今後追加で必要と判断した調査研究等を通じて、福島県における放射線被ばくの影響の解明に取り組む所存です。
・質問03 これまで、県民健康調査で発見された小児甲状腺がんについては、放射線被ばくの影響は考えにくいとの見解に立脚すると、「①福島県以外の都道府県でも、同様の発見率となる可能性」や、「②放射線被爆以外が原因で福島県内に特異的に好発している可能性」の、この2つの可能性が排除できないと思われます。そして、②については、つまり、放射線被ばくの影響以外で、小児甲状腺がんが福島県内で特異的に多発することは、経験則からも可能性が極めて低いと考えられます。
そうなると、福島県以外の都道府県でも、県内と同様に、小児甲状腺がんが多発し、それらはほとんどが手術適応症例であることが予見されますが、その点についての貴職のお考えをご教示ください。
→(福島県回答) そのように予見されると考えます。
→(福島医大回答) 他都道府県で福島県と同様の検査をした場合に、類似する結果となる可能性は高いと思われます。
・質問04 貴職は、県民健康調査(甲状腺検査)で発見された小児甲状腺がんは、福島原発事故による被ばくの影響は考えにくいとの見解ですが、逆に、どのような場合に、福島原発事故による被ばくと因果関係があると判断するのか、その判断基準をご教示ください。
→(福島県回答) このことについては、福島県立医科大学への県民健康調査の委託の中で示していくよう依頼しています。
→(福島医大回答) 第20回検討委員会で発表した、平成27年8月31日付「放射線被ばくの影響に関する調査研究について」にて掲示した3つの調査研究および、今後追加で必要と判断した調査研究等を通じて、福島県における放射線被ばくの影響を解明に取り組む所存です。もし個人線量がある程度正確に推計可能で、かつ自然放射線や医療被ばくその他の人工的な被ばくの揺らぎより大きい線量の被ばくが今回の事故により認められ、疾患と線量の関連性が疫学的に認められた時は、因果関係が推測されると考えています。
・質問05 これら小児甲状腺がん患者については、県民健康調査での基本調査から、外部被ばく線量(推計値)とがん発症との関連性は検討可能と思われますが、内部被ばくと発症との関連性を検討することは不可能と思われます。そこで、貴職は、これら小児甲状腺がんと内部被ばくとの関連性については、どのように検討なされているか、具体的にご教示ください。
→(福島県回答) 国において行われている初期内部被ばく線量推計に関する研究事業を注視しているところです。
→(福島医大回答) 環境省の委託率業として、放射線医学総合研究所が、原発事故後初期段階における内部被ばく線量の推計に着手しております。
・質問06 貴職は、県民健康調査で判明した小児甲状腺がんについては、福島原発事故による放射線被ばくの影響は考え難いとしながらも、その影響を科学的根拠をもって全面的に否定できない状況です。このように、放射線被ばくの影響が全面的に否定できないのであれば、せめて、その結論を得るまでの間は、予防原則に基づいた何らかの行政施策やその助言が求められるべきと考えています。その上で、貴職は、これまでに、どのような予防原則に基づいた施策や助言を実施しているか、あるいは、実施していないのであれば、その理由についてご教示ください。
→(福島県回答) 「予防原則」については、定義、解釈が統一されていないものと認織していますが、「人の健康、環境に対する深刻かつ不可逆なリスクがあると予想される場合は、因果関係について十分な科学的確実性がなくとも完全な科学的証拠がそろうのを待たずに、費用対効果を考慮した上で、事前に予防的措置を取ることを求めるリスクマネージメントの方策の一つ(平成13年3月(社)日本化学工業協会作成資料より)」だとすれば、今般行われている行政施策等については、これに外れたものではないと考えます。
→(福島医大回答) 「予防原則」については、定義や解釈が統一されていないものと認識していますが、「人の健康、環境に対する深刻かつ不可逆なリスクがあると予想される場合は、因果関係について十分な科学的確実性がなくとも完全な科学的証拠がそろうのを待たずに、費用対効果を考慮した上で、事前に予防的摺脛を取ることを求めるリスクマネージメントの方策の一つ」(平成13年3月(社)日本化学工業協会作成l資料より)だとすれば、今般行われている行政施策等については、これに外れたものでないと考えています。助言という観点では、放射線被ばくの健康影響についての国内外の知見を行政担当者に紹介する等の役割を担っております。
・質問07 県民健康調査で小児甲状腺がん乃至疑いとされた子どもたちの大半が、福島県立医科大学で手術などの治療を受けていると伺っています。彼らやその保護者は、唐突にがんを宣告され、その苦悩は計り知れないものがあります。加えて、福島原発事故後の福島県や福島県立医科大学の県民への対応は、時に適切さを欠くものであり、県民からの信頼回復はその途にあると思われます。
その上で、医療の基盤が信頼関係であることを踏まえれば、貴職には、その信頼回復に向けての努力が求められるはずですが、これまでどのような信頼回復のための対策を講じたか、また、今後、信頼回復に向けてどのような対策をお考えか、ご教示ください。
→(福島県回答) 今後とも適切に県民健康調査を実施していくこととしています。
→(福島医大回答) これまで、結果のお知らせやパンフレット等のツールの見直しを適宜行い、分かりやすい情報発信を心がけております。また甲状腺検査や健康診査では検査対象の方向けの説明会や相談会を実施し、県民の皆さまと対話する機会を設けてまいりました。今後も県民健康調査の適切な運営を継続しつつ、その結果やその解析結果を県民の皆さまにできるだけ分かりやすくお伝えしてまいります。
・質問08 これら小児甲状腺がんの患者やその保護者を対象とした、中立的な立場での医療相談などの窓口の設置が必須と思われます。そこで、今後、そのような中立的な、あるいは第三者機関による相談窓口を設ける計画の有無、仮に設けないのであればその理由についてご教示ください。
→(福島県回答) "中立的''という意味が不明確ですが、甲状腺検査で二次検査の対象となった方等を対象としたサポートチームを設置し精神面での支援を行っています。また、御本人等の判断による他の医療機関等への相談について何ら妨げるところではありません。
→(福島医大回答) 甲状腺検査の二次検査対象者向けには、専用のWEB相談窓口を設けております。また、福島県立医科大学附属病院においては、二次検査実施時には、臨床心理士などの医療スタッフによる「こころのケア・サポート」を行っております。診療に移行した後は、患者様と医師の信頼関係に基づいて、個別に診療の過程で相談が行われております。
・質問09 これら小児甲状腺がんの患者やその保護者が、いわゆる「患者の会」などを設立して、横のつながりを持つことは大切なことと考えています。そこで、今後、中立的な、あるいは第三者による、いわゆる「患者の会」の設立の働きかけについて、仮に行っているのであればその内容、行わないのであれば、その理由についてご教示ください。
→(福島県回答) 県民健康調査甲状腺検査における直接の取組ではありませんが、福島県立医科大学の診療現場において「患者会」としての動きがあると聞いています。
→(福島医大回答) 中立的な、あるいは第三者による会ではありませんが、福島県立医科大学で甲状腺がんの治療をした、あるいは治療中の方の親睦会を、福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座主催で複数回開催しております。県民健康調査の甲状腺検査で甲状腺がんが見つかった方も参加していると思われます。
・質問10 健康調査で小児甲状腺がんと診断された患者について、再発を認めた患者数、死の転帰を辿った患者数について、貴職が把握している範疇でご教示ください。
→(福島県回答) 把握しておりません。
→(福島医大回答) 福島県立医科大学で把握している範囲で、県民健康調査の甲状腺検査においてがんまたはがん疑いとなられた方で、お亡くなりになった方はいらっしゃいません。それ以上の情報につきましては、患者様の個人的な診療情報のため、公表は控えさせていただきます。
以上
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ご紹介は以上です)
(田中一郎コメント)
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1.この回答は、「原発・原子力・核兵器の推進に伴い犠牲者が出た場合には、どのように放射線被曝がごまかされ、矮小化され、歪曲され、そして被害を受けた人々が切り捨てられていくか」の1つの具体的なプロセスとして見る、ということがポイントです。脱原発・脱被曝・被害者完全救済は、原子力ムラ・放射線ムラと闘って勝たない限りはいつまでたっても実現しないでしょう。
また、水俣病その他の経験から鑑みると、政治と政治家を大きく入れ替えない限りは、きちんとした形での脱原発・脱被曝・被害者完全救済はできないだろうと思われます。放射能と被ばくは軍事や国策=支配権力の統治方針と密接にかかわっており、企業犯罪のレベルであった水俣病よりも、より多くの困難や妨害が待ち受けていると思われます。このことは、「福島原発告訴団」が告発した東京電力幹部らの起訴問題が、東京地検の公安部=昔で言うところの「特高警察・特高検察」=反体制派を取締り弾圧するための部署が担当していることからも垣間見えます。裁判が公正にさばいてくれる、などという甘い発想は持たない方がいいでしょう。日本の司法や裁判所こそ、行政よりももっとグロテスクな権力機関です。
(こう申し上げたからと言って、決してこの問題が絶望的なのではありません。簡単な話、自民党と民主党、及びその補完政党の政治家達を選挙で一掃してしまえば、状況はガラッと変わります=もちろん、それだけではだめですが。原発・原子力は政治の力だけで進められていますし、原発・原子力の息の根を止めれば、放射能や被ばくを歪曲・矮小化する必要性も乏しくなくなります)
2.子ども甲状腺ガンの多発は、旧来のガン統計と比べて多発であるだけではなく、例えば、2000年以降に毎年実施されている青森県の(再処理工場対策としての)県内小児がん等がん調査(下記)や、多くの臨床医の経験と比べても多発なのです。スクリーニング効果では説明できない、と「福島県民健康調査検討委員会」下の甲状腺専門部会は結論を出したのですから、上記は回答になっていませんね。
(関連)青森県がん情報サービス - 青森県小児がん等がん調査事業報告書
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/index.php/s14/c54-001/1894.html
(関連)小児がん等がん調査事業
平成26年度報告書
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/attachments/article/1894/H26shouniganhoukokusho.pdf
(上記報告書でガンの種類を分類した「ICCCコード」の「11」番「上皮性腫瘍および悪性黒色腫」の中に「甲状腺ガン」が含まれています。甲状腺ガン以外にも、例えば副腎皮質ガン、鼻咽頭ガン、悪性黒色腫用、皮膚上皮ガンなどが含まれ、2000年から2014年までの15年間で、合計9件(男子3人、女子6人)でした:田中一郎)
3.また、子ども甲状腺ガンの手術についても、福島県立医大は「必要不可欠だった」と言っています。そして、「福島県民健康調査検討委員会」も、それを認めているわけですから(手術は適切だったと)、「検討委員会および甲状腺検査評価部会では、生涯にわたって症状の出ないがんが存在している可能性が示唆されています」などという言い草は、もう許してはいけないだろうと思われます。いったい手術をした子供たち115人のうちの何人がそうだったのか、そして、その方々に対しては福島県立医大は医療ミス=過剰診療をしたということになるが、それでいいのか、ということも認識したうえで説明せよ、ということです。くだらない一般論のおしゃべりはもういりません。
4.質問03 「①福島県以外の都道府県でも、同様の発見率となる可能性」について
→(福島県回答) そのように予見されると考えます。
→(福島医大回答) 他都道府県で福島県と同様の検査をした場合に、類似する結果
となる可能性は高いと思われます。
よくもまあ、こういうことをぬけぬけと言っているものだと思います。そうだと本気で思うのなら、全国での子ども甲状腺の緊急一斉調査が必要でしょう。何故なら、152人の子ども甲状腺ガンの多くの子どもたちが手術をしなければ危なかったわけですから、そういう子どもたちが全国に何千人・何万人もいることになります。しかし、「福島県民健康調査検討委員会」の星北斗座長は、「全国的に疫学的な健康調査・甲状腺検査を大規模に行う必要性を感じさせる事実はない」などと記者会見でずっと言い続けているのです。矛盾しているでしょう。二枚舌はやめていただきたいものです。
5.第2巡目の子どもたち39人のうち、37人の子どもが1巡目はA1,A2判定だった、特にA1だった子どもが20人くらいいます。これについて、どう説明するのか、回答がありません。甲状腺ガンは進行が遅い、などと言っていたこととも平仄が合わない。
また、子ども甲状腺ガンは原発事故直後の放射性ヨウ素131による初期被ばくのみならず、その後4年半以上にもわたる恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)=特に放射性セシウムや放射性ヨウ素129などによる内部被曝が影響している可能性があります。これについての警戒が全くありません。
6.福島第1原発事故直後の時期に’(2011年前半)、初期被ばくを計測せよ、計測してくれ、という話は、たとえば飯館村の佐藤さんをはじめ、たくさんありましたが、それに対して、まともに対応した組織も人間も皆無でした。また、福島県庁や「福島県民健康調査検討委員会」をはじめ、多くの行政機関や御用学者たちが、初期被ばくを計測しようとする動きを妨害していた事実も発覚しています。こうした初期被ばくの計測を妨害していた事実はもっと徹底的に事実を明らかにし、その責任を追及しないといけません。何故なら、肝心な時に初期被ばく計測を妨害したり、対応しなかったり(不作為)した連中が、「福島県民健康調査検討委員会」や国の放射線被曝防護・放射能対策の委員などになり、ぬけぬけと「さまざまなデータが大切」などと言っているからです(例:放射線医学総合研究所の明石真言や福島県庁職員ら)。
7.甲状腺ガン以外の健康障害はどうなっているのでしょうか? また、甲状腺疾患でも、ガン以外もありうるでしょう(たとえば橋本病=甲状腺機能低下症)。何故、調べないのでしょうか?、何故言及しないのでしょうか? また、甲状腺検査だけでなく、それ以外の検査(心電図、尿検査、WBC、血液検査、染色体・遺伝子検査、バイオアッセイ(乳歯、髪の毛、大便、その他)を何故充実させないのでしょうか? 白血病、セシウム心筋症による突然死、白内障、その他は、福島第1原発事故後4年半を経過して、今現在どうなっているのでしょうか?
8.死亡統計がいい加減です、このままでは、突然死された方の死因が分からないまま、闇から闇へと消されてしまう可能性大です。放射能汚染・放射性セシウム環境拡散の実態から鑑みて、セシウム心筋症による心臓ショック突然死はありうる話です。
9.福島県内の子どもたちの置かれた居住環境の放射能汚染の状況や放射線被曝の実態もわからないし、調べられてもいない。妊婦さんについても同様です。特に意図せずして受けるホット・スポットからの外部被曝や、呼吸による内部被曝が心配です。この国はいったいどうなっているのでしょう? 「福島県民健康調査検討委員会」も福島県庁も福島県立医大も、何の問題意識も懸念もないのでしょうか?
(最後に)
「福島県民健康調査検討委員会」と福島県・福島県立医大、そして国や国の関係機関などの「原子力ムラ・放射線ムラ」連合がやっていることの出鱈目を、もっと広く日本の全国の有権者・国民や福島県民に知らせないと、このままでは危ない=もみ消されてしまいます。また、脱被曝運動のこれからの運動の在り方も見直さなければいけないだろうと思われます。
福島県の子ども甲状腺ガンの多発の原因は、放射能や被ばくの可能性がないとは言えない、どころの話ではなくて、今のところ、それ以外に考えられる原因はない、ということです。100%断定はできないけれども、これ以外には今のところは考えにくい、そしてそれには、事故直後の初期被ばくだけでなく、その後の恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)が影響している可能性も否定できない、ということです。「放射能や被ばくの影響とは考えにくい」ということの方こそ、その根拠が薄弱なのです。彼らに対しては、最初に結論を決めてかかるなと言わなければいけません。
「福島県における今日の子ども甲状腺ガンの多数の発見が、おそらくは福島第1原発事故による放射能の影響である」ということに関して、「そうではない」と科学的実証的に反論するためには(「放射能や被ばくの影響とは考えにくい」を立証するには)、全国レベルで子どもの甲状腺ガン検査を数十万人単位で一斉実施する以外にないだろうと思われます。
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