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【石平のChina Watch】今や「戦国時代」の様相 中国の目先の利益に乗るな

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【石平のChina Watch】
今や「戦国時代」の様相 中国の目先の利益に乗るな

中国の習近平国家主席の訪問に抗議するベトナムの市民ら=3日、ハノイ(ロイター)

 今月に入って中国は、アジア太平洋地域において一連の慌ただしい近隣外交を展開してきた。

 1日、韓国のソウルで李克強首相は3年半ぶりの日中韓首脳会談に参加し、日本の安倍晋三首相との初の公式首脳会談を行った。5日には、今度は習近平国家主席が就任後初めてベトナムを訪問し「関係の改善」を図った。10日、王毅外相はマニラを訪れてフィリピンの大統領、外相と相次いで会談した。

 この一連の外交活動の対象となった3カ国が抱えている共通問題といえば、やはり南シナ海だ。

 同海での中国の拡張戦略に対し、当事者として激しく反発しているのはベトナムとフィリピンの両国である。一方の日本もまた、自国のシーレーンとなる南シナ海の「航海の自由」を守るべく、中国の戦略に強く反対する立場を取っている。

 こうした中で中国がこの3カ国に急接近してきた意図がはっきりと見えてくる。

 10月末の米海軍による南シナ海哨戒活動の展開によって米中対立が一気に高まった中、中国政府は南シナ海問題の当事者諸国との緊張を緩和させることによって、中国批判を強める米国を牽制(けんせい)するつもりであろう。当事者同士が話し合いで問題解決に向かうのなら「部外者」のアメリカは口出しが難しくなる計算である。

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