ハーバードビジネススクールの必修科目「ファイナンス2」では、日本航空の再建事例が取り上げられている。倒産が相次ぐ航空業界で、なぜJALの事例が教材として選ばれたのか。同スクールのカール・ケスター教授に聞く。(聞き手/佐藤智恵 インタビュー(電話)は2015年11月11日)
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● ユナイテッド航空に代わって 日本航空の倒産事例が教材へ
佐藤 日本航空(以下、JAL)の再生事例が必修科目の「ファイナンス2」で取り上げられていると聞きました。なぜファイナンスの授業に、JALのケースが選ばれたのでしょうか。
ケスター 航空会社の事例は倒産の事例として欠かせません。なぜなら世界中で、数多くの航空会社が倒産し、常に利益を上げるのに苦労しているからです。結局のところ負債に頼らざるをえないのですが、だいたい債務超過となり、場合によっては何度も倒産することとなります。
倒産事例を教えるのに、ずっとユナイテッド航空のケースを使っていましたが、私たち教員は、新しい航空会社の事例を探していました。できれば、北米以外の会社がいいと考えました。そうすれば外国での倒産事例を教えられるからです。そこでJALが候補としてあがってきたのです。
私の同僚が、ハーバードビジネススクール日本リサーチセンターを通じて関係者を取材したところ、うまく教材を作成することができたので、JALのケースを新たな再建事例としてファイナンスの授業で取り上げようということになったのです。
佐藤 必修科目では、JALの他にも倒産事例を数多く学ぶのでしょうか。
ケスター 1年生のファイナンスの授業では、1つか2つの事例だけです。
佐藤 ということは、ユナイテッド航空のケースのかわりに、JALのケースが導入されたというわけですね。
ケスター そうです。このケースでは、最初にモジリアーニ=ミラーの理論(MM理論)について学びます。MM理論とは「完全な市場の下で企業が資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方を変えても企業価値は変化しないという定理」です。しかしながら、現実の世界では、負債、株主資本をどのぐらいの割合にするか、といった資金調達の組み合わせ方は非常に重要です。なぜなら市場は必ずしも万能ではないからです。
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