並のお相撲さんに 故障の遠藤に感じる人気力士の悲哀

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(更新 2016/1/22 11:30)

お大事に (c)朝日新聞社

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 1月16日、大相撲で苦戦が続いていた遠藤(25)が休場した。前頭11枚目の遠藤は、6日目を終えて1勝5敗での休場で、十両陥落はほぼ確定的だ。取組を伝えるNHKのアナウンサーが「全く相撲にならないですね」と言うように、故障が癒えていなかった。

 昨年の三月場所で左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂、半月板損傷という重傷を負ったにもかかわらず、翌場所も休場しなかった遠藤。左ひざをかばううちに右足首も痛め、ともに完治していないのだ。解説者の舞の海秀平氏が「悪化させるのではとハラハラします」と語る窮状で、追手風親方は初日の夜にも休場を勧めたが、本人は拒否していた。なぜそこまで出場にこだわるのか?

 ささやかれているのは遠藤のスポンサー、永谷園の存在だ。初場所初日、ある全国紙に彼を起用した1面カラー広告が掲載され、“日本の宝”という文字が躍っていた。

「遠藤の取組には懸賞がたくさんかかります。それは彼が幕内にいるからで、十両じゃ懸賞は付かない。陥落すれば本人の実入りが減るだけでなく、永谷園の露出の機会も減るから十両に落ちたくなくて休場しないって部分もある。永谷園から部屋に山のように送られてくる商品は後輩力士の胃袋の助けになるし……そういうことも気にする男ですからね」

 こう説明するベテラン記者は「人気力士の悲哀を感じる」という。

 また、「これは大きな分岐点」というのは元NHKアナウンサーで大相撲を62年間見続けている杉山邦博氏だ。遠藤が十両になったときに大関になる逸材だと断言した杉山氏は、今のままでは「並のお相撲さんになってしまう」と懸念していた。

「十両陥落を気にせず、ひざの故障を治すことが先決です。このままズルズル土俵を務めるとひざを悪化させるだけでなく、大きく期待されていた彼のイメージが損なわれてしまいます。テレビコマーシャルも自ら遠慮して一から出直す覚悟で臨んでほしいですね」(杉山氏)

 追手風親方は「徹底的に治療したい。幕下に落ちても、三段目に落ちても、そこから上がってくればいいんだ」と長期戦も覚悟。

 復活を待っている。

週刊朝日 2016年1月29日号

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