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 24日投開票の沖縄県宜野湾市長選で、現職と新顔両陣営による「企業票」の奪い合いが熱を帯びている。現職を推薦する自民幹部が引き締めを強めれば、新顔を後押しする翁長雄志(おながたけし)知事が企業関係者に直談判。地元経済界は「どちらが勝つのか」と注視している。

 「情勢は横一線。お互いに1票1票を積み重ねる戦い。1票を削り出す思いで取り組む」。自民党の茂木敏充選挙対策委員長は19日、現職の佐喜真淳(さきまあつし)氏(51)の選挙事務所を激励後、記者団に語った。茂木氏の宜野湾市入りは4回目で、この日も地元商工会などに協力を求めた。

 新顔の志村恵一郎氏(63)側も力を入れる。12日夜、企業関係者約320人(陣営発表)を市内の結婚式場に集めた。会場は現職の選挙事務所の向かい側。翁長知事が約20分間、米軍住宅の跡地を再開発した「那覇新都心」(那覇市)を例に「軍用地料がなくなり、食っていけるかねえと言っていたが、税収は増えた。基地による経済の阻害が大きい」と訴えた。

 知事の動きに現職側は身構える。陣営は「(公共事業などで)知事の『威光』は脅威。電話をかけるたびに相手側に入れる人が増える地域がある」。浦添、那覇両市に通勤する宜野湾市民を取り込もうと、陣営スタッフらが通勤路で支持を訴えているという。

 日本銀行那覇支店の12月の県内企業短期経済観測調査では、企業の景況感を示す業況判断指数が全産業で45となり、調査を始めた1974年以降で最高に。ただ、那覇市の外まで経済効果は十分に波及しているとはいえないのが実情だ。

 県の企業経営者は「いつか分からない米軍基地の返還より、『あすの仕事』をくれるのかどうかが企業には死活問題」と指摘し、こう続けた。「企業の多くはどちらが勝つか、様子見だろう」(磯部佳孝、吉田拓史、上遠野郷)