吉村千彰
2016年1月21日21時48分
詩人最果(さいはて)タヒさん(29)の『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)が、詩集としては異例の売れ行きを見せている。昨年は現代詩花椿賞も受賞。ストレートでわかりやすい言葉を使い、同世代の女性が「バイブル的」に支持。難解になりがちな現代詩のなかで、自己表現ではなく読まれることを意識した詩で異彩を放っている。
『死んでしまう系』は2014年9月に3千部で刊行し、現在4刷1万3千部。3千部でも十分多い詩集の世界では大ヒットといえる。
「私達のこのセンチメンタルな痛みが、疼(うず)きが、/どうかただの性欲だなんて呼ばれませんように。」(文庫の詩)、「不幸であれば許される気がした」(マッチの詩)、「女の子の気持ちを代弁する音楽だなんて全部、死んでほしい。」(香水の詩)、といった言葉が並ぶ。
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