日本株は大幅反発、ECB期待と原油急反発で見直し-東証全業種高い
2016/01/22 12:00 JST
(ブルームバーグ):22日午前の東京株式相場は大幅反発。欧州中央銀行(ECB)が次回政策委員会での金融緩和拡大の可能性を示唆し、市場混乱を受けた政策発動への期待が広がった。原油市況の急反発や為替の円安推移、直近急落の反動から見直し買いの動きが強まり、輸送用機器や機械など輸出関連、鉱業など資源関連、鉄鋼など素材関連、不動産株など東証1部33業種は全て高い。
TOPIXの午前終値は前日比43.94ポイント(3.4%)高の1345.43、日経平均株価は575円58銭(3.6%)高の1万6592円84銭。
みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは、「ECBの追加緩和期待を市場は評価し、下げ過ぎた反動もある。こうした動きが続けば、底値固めに入ったと言えるが、今のところは下げの途上だと感じている」と言う。その上で、来週28ー29日に金融政策決定会合を控える日本銀行について「市場に対し危機意識が出ているような発言をしてほしい。それだけでも、市場は追加緩和期待を持って反応してくる」との見方を示した。
午前の日本株は朝方から大きく反発、その後もきょうの高値圏で堅調に推移した。前日の日本株は1年3カ月ぶりの安値を連日で更新、日経平均の年初来下げ幅は3000円以上に達し、東証1部の騰落レシオも54%と約8年ぶりの低水準にある中、国内外の政策連携も期待された。
ECBのドラギ総裁は21日、政策委員会で金利据え置き決定後の会見で、3月の次回会合で政策を再検討するとし、ECBの責務の範囲内で採用する政策手段に「制限はない」と言明した。ここ1年間で3回目となる金融緩和拡大の舞台を整えた。
同総裁の発言を受け、21日のニューヨーク原油先物は4.2%高の1バレル=29.53ドルと、約12年ぶり安値から急反発。投資家のリスク回避姿勢の後退は為替市場でもみられ、きょう午前のドル・円は1ドル=117円50ー90銭台で推移と前日の日本株市場の終値時点116円80銭から円安方向に振れた。前日の欧米株式も上昇。
野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、日米欧の「G3がマーケットの混乱に対し目線をそろえることが確認できれば、市場心理は落ち着く方向になる」とみる。内藤証券の田部井美彦投資調査部長は、前日にセリング・クライマックスを迎えたかどうかはまだ判断できないが、「週末を控え売り方が買い戻している」と話す。
一方、きょうの中国上海総合指数は1.1%高と反発して始まり、その後は伸び悩んでいる。中国の李源潮国家副主席は21日、人民元切り下げ政策を推進しないとする共産党指導部の方針をあらためて表明。米ゴールドマン・サックス・グループはリポートで、中国の問題は国内景気の減速だけではなく、それに対し投資家が神経質になっていることと指摘した。
東証1部33業種は鉱業や不動産、鉄鋼、証券・商品先物取引、倉庫・運輸、その他金融、機械、石油・石炭製品、非鉄金属などが上昇率上位。売買代金上位ではトヨタ自動車やソフトバンクグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ファーストリテイリング、村田製作所、住友不動産、マツダ、任天堂、ブリヂストン、東京電力、ダイキン工業、野村ホールディングスが高い。産業革新機構主導の再建で大筋合意した、と22日付の日本経済新聞朝刊が報じたシャープも買われた。半面、日本航空は逆行安。東証1部の午前売買高は11億3799万株、売買代金は1兆1219億円。上昇銘柄数は1878、下落は35。
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更新日時: 2016/01/22 12:00 JST