「スポーツ界のリーダーになることはあきらめました」
2012年6月の日本選手権を最後に現役引退した為末大さん。元陸上競技400メートルハードル選手として活躍、同種目の日本記録保持者でもある。
引退後はテレビのコメンテーターを務めたり、会社を立ち上げたり、さまざま活動・事業を展開してきた。そして今、為末さんは、スポーツ界ではなく、社会のほうを向くと決めたという。
2020年に向けて、いったいどんなことを考えているのだろうか。個人のこと、社会のこと、東京オリンピック・パラリンピックのことについて聞いた。(文・佐藤慶一/写真・林直幸)
社会問題をスポーツで解決したい
陸上競技を引退した2012年のテーマは「生き残り」でした。アスリートの引退後、半年くらいは特需があるのですが、翌年に向けてだんだんと価値が減少していくからです。
ぼくは選手として絶頂期に引退したわけでもないので、世間からすれば「陸上の誰かが引退したな」くらいの反応だったと思います。特需が終わればもう再浮上するのはむずかしいので、とにかく生き残ろうと意識していたんです。
その後、なんとか生き残ることができ、2013~2014年にかけて独立し、2015年からは会社(株式会社 侍)の事業をしっかり回していこうと考えました。会社の事業は3つあります。メディア出演やぼくを使ったビジネスをおこなう為末・企業PR部門、スクールを提供するランニング部門、新規事業部門です。
現状、最初の2つがまずまず、最後の新規事業がこれからの課題となっています。社員が10名くらいになり、為末ビジネス以外をどんどん大きくしようと考えています。ぼくが死んだとしても、問題なく会社や仕組みが回るようにしたいです。
どんな競技でも毎年のように引退する選手はいます。でも、セカンドキャリアをどう過ごすのかというのは大きな課題のままです。知名度を使ったビジネスでぼく一人が食べていくことはできます。そのほうが効率もいいし、営業利益もいい。でも、それでは人を雇用しないモデルです。
ぼくは社会問題をスポーツで解決するという前提に立ち、将来に続くモデルを作り上げ、雇用を生んでいきたいと思います。たとえば「為末大学ランニング部」は月額6,480円という会員モデルを採用し、徐々に広がりを見せています。これからは二足歩行と二足走行に関する大量のデータを集めて、多くの走る人に対してサービスを提供していきたいですね。
2015年、ひとつ、明確に決めたことがあります。
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