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教科書問題 不適切な行為12社 関わった教員ら5000人超
1月22日 10時08分

教科書問題 不適切な行為12社 関わった教員ら5000人超
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教科書会社が教員らに検定途中の教科書を閲覧させたり、現金などを渡したりしていたことが相次いで発覚している問題で、文部科学省が
各社に調査を求めた結果、こうした不適切な行為をした会社は12社に上り、関わった教員などは、合わせて5000人を超えていることが分かりました。
去年10月、教科書をつくる「三省堂」で、外部に見せることが禁じられている検定途中の教科書を教員らに閲覧させて現金を渡していたことが発覚して以降、「東京書籍」や「数研出版」でも同様の問題が明らかになりました。こうしたなか、文部科学省は、ほかの教科書会社にもこうした問題がないか調査して20日までに報告するよう求めていました。
その結果、平成21年度から昨年度までに、小中学校の教科書を発行する22の会社のうち半数を超える12社が、合わせて5157人の教員などに対し検定途中の教科書を閲覧させたり金品を渡したりしていたことが明らかになりました。
このうち、検定途中の教科書を閲覧させたうえで、現金や図書カードなどを渡していたケースは、10社から報告があり、関わった教員らは合わせて3996人でした。
検定途中の教科書の閲覧だけさせていたケースは9社で、対象の教員らは合わせて1151人でした。さらに1社は、自治体が使用する教科書を決める「採択」に直接関わる、教育長や教育委員10人に歳暮や中元を贈っていました。
教科書会社別では、業界最大手の「東京書籍」が、合わせて2245人の教員などに検定途中の教科書を見せたうえで、現金3000円から3万円や図書カードを渡していたほか、「教育出版」は、合わせて1094人に現金3000円から5000円を渡し、「光村図書出版」が、合わせて463人に現金2万円を渡していたということです。
謝礼を受け取った教員の中には、その後、教科書の「採択」に関わった人もいて、文部科学省は公正な採択に疑念をもたらす行為だとして、各地の教育委員会を通じて影響を調べるとともに、各社を厳正に指導することにしています。

文部科学相「業界の在り方見直しを」

この問題で、馳文部科学大臣は閣議後の記者会見で、「不適切な行為が教科書会社の半数で発覚したという規模を考えると大変、残念なことだ。どういう理由でこのような事態になったのか把握したうえで厳しく対応したい」と述べました。
そのうえで「教科書を作成するにあたって現場の教員の声を聞くことを否定するつもりはないが、きちんとルールは守る必要がある。3か月以内には教科書会社と公平性について確認してルールを作りたい」と述べ、業界の在り方の見直しに向けて取り組みたい考えを示しました。

教科書協会「信頼の回復に努める」

この問題を受けて、教科書会社40社で作る「教科書協会」がコメントを出し、「義務教育の教科書は公的な学校教育の根幹をなす土台のひとつで極めて公共性の高いもので、教科書協会としてこのような結果になったことは痛恨の極みであり、深くおわび申し上げます。今後、公正性を確保するための仕組みや行動規範を策定し、各社が遵守するよう徹底して信頼の回復に努めます」としています。

教科書問題で各社 当初は同じような事例ないと報告

教科書会社が教員らに検定途中の教科書を見せたうえで金品を渡していた問題は、去年10月に表面化しました。
英語や国語の教科書を作成する「三省堂」が、教科書検定が行われていたおととし8月、都内のホテルに小中学校の校長など11人を招いて意見交換会を開き、外部に見せることが禁じられている検定途中の教科書を閲覧させて1人当たり現金5万円を渡していたことが発覚しました。
その後、会社はこれまでに同様の会議を7回にわたって開き、合わせて53人に上る校長らに現金を渡していたことを明らかにしました。
このうち21人は、教科書の「採択」に関わり、三重県四日市市などを含む、6つの地区で中学校の英語の教科書がほかの社のものから三省堂に変更されていたことが分かっています。
文部科学省は教科書採択の公正性や透明性に疑念を生じさせる不適切な行為だとして、公文書による指導を行うとともにほかの教科書会社にも点検を求めましたが、去年11月末の時点では同じような事例があると報告した会社はありませんでした。
しかし、NHKが取材したところ、複数の教科書会社の社員が教員らに検定途中の教科書を閲覧させたり現金を渡したりしていると証言しました。文部科学省は各社に対し、再検証して今月20日までに改めて文書で回答するよう求め、報告漏れが発覚した場合は教科書発行の指定の取り消しを含めた厳しい措置を検討する方針を示していました。
その後、今月に入っても、業界最大手の「東京書籍」が、およそ30人の教員を名古屋市のホテルに集めて会合を開き、検定途中の教科書を見せたうえで現金を渡していたことが発覚したほか、「数研出版」でも同じような問題が明らかになり、教科書会社による不適切な行為がどこまで広がっているのか、問われる事態となっていました。

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