日曜美術館 アートシーン ▽“水 神秘のかたち”展 ほか 2016.01.17


「アートシーン」です。
まずはさまざまな水の表現から日本人と水の関係を探る展覧会からです。
室町時代に描かれた日蓮聖人の伝記絵巻。
村人が海から引き上げているのは仏像。
後に病を治してくれた日蓮にお礼としてささげられました。
この場面に力を与えているのは勢いある水の表現。
古来日本人の暮らしは水とともにありました。
日本の風土が育んだ水の表現とそこに込められた祈りを見つめます。
祭りごとに使われたとされる弥生時代の銅鐸。
全面を覆うのは流れる水の文様。
豊かな実りをもたらす水への信仰があった事を物語ります。
世界中に水の信仰はあると思うんですけど特に水源が豊かですし四方を水に囲まれた日本ではそういった信仰が盛んに発展したようでございましてそういった水の精神史を今回の展覧会でたどろうというふうに企画しました。
水への信仰はさまざまな神仏像を生み出しました。
江の島の神社に祭られていた弁才天。
元はインドの水の神だった事から弁才天は水の聖地に祭られ信仰を集めるようになりました。
江戸時代全国を旅しながら仏像を彫った円空も水にまつわる仏を手がけています。
雨をつかさどる龍王像。
頭上に龍をのせています。
五穀豊穣を祈る人々の水に寄せる思いが円空にこの像を彫らせたのかもしれません。
人々が憧れてきた理想郷。
その多くは豊かな水をたたえた場所として描かれてきました。
海に浮かぶ山に鎮座する千手観音。
千の手で人々を救済する仏です。
滝を流れる清らかな水が海へと流れ込む様が細かな筆遣いで描かれています。
豊穣をもたらす水は同時に理想郷を守る神聖な力を持つものでもありました。
水が弁才天や善女龍王などの神仏となって表現されているというのがとても興味深いですよね。
あと古代から水に生かされて人間が水とともに生きてきてるんだなというのがよく伝わる展覧会だなと思いました。
さあではその他の展覧会です。
あのピカソに鉄の彫刻を教えた男がいました。
スペイン出身の…代表作「ダフネ」。
乙女が木に姿を変える瞬間がシンプルな形で表現されています。
鉄というそれまで彫刻にはほとんど使われていなかった素材による新しい表現。
芸術家たちに大きな刺激を与えました。
「鉄彫刻の父」と呼ばれるゴンサレスの展覧会です。
初期の作品。
鉄で作られた菊の花です。
バルセロナの金工職人の家に生まれたゴンサレスは10代から鉄を自在に扱う技術を培いました。
花びら一枚一枚の異なる表情が見事に表されています。
24歳の時新天地を求めてパリに移住します。
エコール・ド・パリと呼ばれた時代町には新たな芸術を生み出そうとする熱気があふれていました。
金工職人として生計を立てていたゴンサレスは彫刻作品を手がけ始めます。
きっかけは同郷の友人ピカソに頼まれ鉄の溶接技術などを教えた事でした。
工房でピカソが見せた自由な発想に感化されゴンサレスは斬新な彫刻を次々と生み出します。
円熟期の傑作。
座る女性の姿です。
女性らしさを感じさせる緩やかな曲線。
無機質で冷たい鉄を使いながら生き生きとした人間の存在感を表現した彫刻は称賛を集めました。
63歳の時第2次世界大戦が勃発。
パリはドイツ軍に占領されます。
材料の鉄が不足し制作もままならない中ゴンサレスは亡くなりました。
工房の片隅に残されていた彫刻があります。
最後まであたためていたのは戦争への抗議をテーマにした大作。
この手はその一部でした。
未完の作品には志半ばで世を去ったゴンサレスの祈りが息づいています。
富士といえば北斎。
北斎といえば富士。
飾北斎が描いた148の富士を一同に紹介します。
闇を切り裂く稲妻の向こうにそびえ立つのは赤く染まる富士。
富士の美しさを余すところなく捉えた名作「冨嶽三十六景」の一枚です。
北斎の大胆で斬新な富士の絵は江戸っ子ばかりでなく旅行者の土産物としても大人気でした。
こちらは富士にまつわる逸話や伝承を絵にした「富嶽百景」の一枚。
富士はどこだか分かりますか?男の指先に注目盃に映る富士の姿です。
モノクロームで描かれた耽美的でエロティックな女の姿。
19世紀末彗星のごとく現れ25歳で夭折したビアズリーの展覧会です。
その名を一躍有名にしたのはオスカー・ワイルドの小説「サロメ」を題材にした絵でした。
物語の世界を強烈なコントラストと流れるような線で描き出した挿絵は世紀末の人々を熱狂させました。
ジャポニスムの影響を受けたと言われるその絵はやがて日本にも紹介され多くの人々をとりこにしました。
ビアズリーと日本の関わりを知る事ができる展覧会。
800年の歴史を持つ丹波焼。
主に江戸時代の名品を集めました。
釉薬の自然な流れと土肌の素朴な風合いが印象的な器。
丹波焼は一貫して庶民の生活を支える日用雑器として作られ続けてきました。
数多く見られるのが徳利。
灘など近隣の酒の産地からの需要に応え作られるようになりました。
美しい羽をなびかせるオンドリ。
その羽根の先には…無数の女性の顔が。
鳥と女性をモチーフに幻想的な世界を描いた島谷晃の展覧会です。
こちらを見つめるフクロウと一体化した女性の顔。
見る者の想像力をかきたてます。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2016/01/17(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“水 神秘のかたち”展 ほか[字]

「水 神秘のかたち」展(12/16−2016/2/7サントリー美術館)ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「水 神秘のかたち」展(12/16−2016/2/7サントリー美術館)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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