NNNドキュメント「スカイツリーに願いを2僕たちの下町商店街〜語り 風間俊介」 2016.01.18


4年前僕らの町にそいつは誕生した
・東京スカイツリータウングランドオープンです・・どうぞ!・
経済効果は880億円
…なんてマスコミがあおっていたっけ
そのスカイツリーから歩いて15分
微妙な距離に僕達の商店街がある
戦後奇跡的に焼け残った路地に店が立ち始め昭和の頃はずいぶんと賑やかだったらしい
大型スーパーやコンビニの台頭で商店街はどこもジリ貧だ
だからこそスカイツリー開業に願いをかけたのは2代目僕らの親父達
大根とか白菜の重たいのを俺ん家から買って遠くから来た人がさ袋ぶら下げて帰んないでしょ?何にもやらない…何かしぼまるばっかでお客さん取られるばっかだから。
あれから4年
願いはむなしく客足は減るばかり
生まれ育ったこの町に未来はあるのか?
僕達3代目は動き始めた
手作り総菜店の3代目におでん屋の3代目
そして僕はクリーニング屋の3代目だ
(茂木亮さん)毎週何曜日はこれをやりますみたいな。
(萩谷竜太さん)日曜日だって昔はやってたんだからね。
うちはおじいちゃんの代はね。
今はやらなくなったしね商店街自体がね。
(市川力さん)だから商店街を含んじゃうと大勢になって…。
どうもありがとうございました毎度ありがとうございます!
今日は下町商店街
平成育ちの僕達3代目それぞれの挑戦と決断の物語を聞いてほしい
東京・墨田区にある「キラキラ橘商店街」
450mにかつては130もの店があったが今は85軒ほど
美容室行って来たわよ同窓会があるっていうからさ。
頭染めたわよ。
いろんなもの買って来ましたよ見てくださいよ。
もも肉で〜す!5本買って来ました。
この気さくさが下町のいいところ
まずは総菜屋の話から始めよう
店を切り盛りするのは…
手作りが自慢の鶏肉料理やご飯が進む総菜など
毎日買いに来ても飽きないようにと50種類以上が並ぶ
そのかいあって商店街いちの繁盛店だ
この店の跡継ぎが長男の茂木亮
僕と小・中学校が一緒の同級生
みんなから「モテリョウ」と呼ばれている
あっはいお弁当ですねすいません。
どうもありがとうございました!・どうも!・
モテリョウには夢があったんだ
♪〜アーティストとしての夢はやっぱり…。
でも僕すごい…。
♪〜君の顔を見るだけで♪〜胸が騒ぎだして
プロのミュージシャンを志しライブ活動も行っていたが3年前夢は胸にしまい込んで総菜屋の3代目になる決心をした
肉の切り方ひとつから覚え今では焼きものなども任されるようになった
昔っから物腰が柔らかく…
どうも!
(女性)すいませんお世話さま。
どうもありがとうございました!
おば様方に人気がある
じゃあ10個入れますか。
10個じゃ…。
それか多かったら8個ぐらいでもいいですよ8個。
適当に入れてどっちでもいい…。
分かりました。
(茂木豊さん)あの〜…。
最初はほら誰?とかそういうあれだったけど。
完全に…。
このご時世僕達世代が店を継ぐという選択はそんなに多くない
総菜屋の前で長年営業して来たスーパーが閉店することになった
高度経済成長期真っただ中の昭和39年つぶれた映画館の後にスーパーができた
生活様式が変わる中そのニーズは高まり商店街にはさらなるお客さんが集まった
個別の店舗も恩恵を受け大いに賑わった
ありがとうございました。
(一同)ありがとうございました!
でも近隣にショッピングモールができた影響からか閉店に
2か月後閑古鳥が鳴いていた
モテリョウの店にも大きなダメージだった
東京の下町はお年寄りが多い
当たり前だが常連客は年々年を取り町は活気を失って行く
下町の中でも連日賑わう「砂町銀座商店街」に僕らは偵察に出掛けた
ここの商店街ってみんな活気があるなって。
店員さんがみんな魅力的…。
通った時にみんな「いらっしゃいませ」とか声を…。
(女性)そう…。
ねっ?・お金を持ってると思えばね・そう頭を下げても減るもんじゃないから。
それであと…。
ねっいいかなぁ。
この日は日曜日
午前中から人があふれている
えっ何で?どうしてなの?やっぱ…。
まぁね。
僕らの商店街では日曜日に開けている店は少ない
客も来ないのではと2代目達も二の足を踏んで来た
商店街のとば口に創業63年のおでん屋がある
今度はおでん屋の話をしよう
練り物は生の魚からするのがこだわりだ
熟練の技で作るおでん種は1つ50円から100円
スカイツリーに願いをかけて4年前新しいおでん種も考案した
3代目は次男の竜太君
僕の1つ先輩だ
大学卒業後大手飲食チェーンに就職
でも水が合わず3か月で辞めてしまった
店に入って3年仕込みの腕も上がって来た
とはいえコンビニのおでんに押され商売は厳しい
ことさら暑かった去年夏向かいにパン屋さんができた
店の名は「ももぱん。

店主は隣町に住む24歳の吉岡桃子さん
製菓学校を出て港区のフランス料理店で腕を磨き夢だった店をここに構えた
じゃあ開けてもらっていい?・いいよだから行くよ・
オープンの前日何やら竜太君がお向かいさんに…
(竜太さん)あ〜涼しいなぁ。
・おっすごい・このおでんなんですけどうち…。
(吉岡さん)えっ?え〜!こちらは無料で。
いやいや…!いえいえお食べください。
(吉岡さん)おっ。
真夏に熱々のおでんの差し入れとは…
オープン当日行列
マフィンと…マフィン取ったか。
ありがとうございます。
(女性)頑張ってねまた来ます。
僕ら世代が新たに店を起こす
商店街を活気づける出来事だ
もうすごくうれしいですよね。
しかしこの5か月後…
竜太君がそんな決断をするとは思ってもいなかった
商店街の路地を1本入った所にクリーニング屋がある
そこが僕の店
少しだけ僕の話も聞いてほしい
名前は市川力
よそで修業を積んで2年前実家で働くようになった
ワイシャツは1枚200円
ほつれたボタンがあれば付け直す
昔ながらのクリーニング屋だ
2つ上の兄貴の努
僕と合わせると「努力」
名付けた親父は男手ひとつで僕達きょうだい3人を育ててくれた
大手チェーンに比べ町のクリーニング屋は景気の影響を真っ先に受ける
お客さんが来るのを待っているだけではやっていけない
平成の世になって財布のひもが固くなると2代目の親父は町の外に活路を求めた
渋谷や六本木繁華街の飲食店に頭を下げ駆けずり回った
寝る間も惜しんで働く親父の疲れた背中を子供心に覚えている
スカイツリーの誕生で町は姿を変えて行く
高層マンションが立ちそこで暮らす人達もまた変わって行く
僕と兄貴は新しい挑戦を始めた
日中は洗濯物を店に持って行けない若者や共働きの家庭がターゲット
夜の8時から深夜1時までの宅配サービス
(力さん)ワイシャツのほう5枚ですね。
1・2・3・4・5枚のほうお返しさせていただきます。
ありがとうございますお預かりします。
また連絡しますありがとうございますどうも…。
じいちゃん親父が意地とプライドで守って来た店を僕ら3代目がつぶすわけにはいかない
(力さん)はいお預かりしますありがとうございます。
(男性)あぁそうですね…。
早めたほうが…。
(男性)どれぐらいになります?えっと金曜日…。
木曜日?
(男性)ホントですか?頑張ります。
うちらはもう地元でやってるんで地域のお客さんですよね。
地域のお客さんに…うん。
喜んでもらえるようなことですよねそういうのは。
全然そのへんは。
時代や町が変わってもそこに暮らす人達がいる
洗いたてのシャツを着て明日を元気に過ごしてくれればこの町だって元気になる
商店街のスーパーが閉店して半年
この日総菜屋の3代目モテリョウがある挑戦を父親に打ち明けた
まぁ確かにあれだよあの…。
あぁ〜。
だからお前がホントに仕事覚えてもらってで代わり番こに休めればお店休まないで済むじゃん。
じゃあやってみっか。
そうだね。
なぁうんじゃあ頼むよ。
日曜日に1人で店を開けよう
食べ物屋に活気があれば人が集まる
砂町の商店街で実感したこと
当日は朝から雨
仕込みから調理まで1人でこなす
日曜日に何がどれだけ売れるのかそれを見極めたい
用意したのは焼き鳥など普段も人気の売れ筋商品
昼前少しずつお客さんが
臨時で。
(女性)あっ臨時で。
(亮さん)もうこのまま雨降らなきゃいいですね。
ホントねぇ〜。
(亮さん)やんだと思ったらまた降りますもんね。
1000円のお預かりですね400円のお返しです。
お客さん来るとテンションが上がって来ますね。
ハハハ。
いつもは夕方に来るなじみのお客さんがお昼時にやって来る
あっあのお釣りです。
(女性)ありがとね。
どうもお気を付けて。
昼飯も落ち着いては食べられない
こんにちは!あっすいません。
(スタッフ)大丈夫です全然。
売れ行きを見ながら追加で調理
そのさじ加減が難しい
予想以上に日曜日にもニーズがあるようだ
(スタッフ)お疲れさまです。
お疲れさまです。
やっと雨やんでよかったです。
(スタッフ)そうっすね。
お客さん来だしましたね。
(スタッフ)また来始めた感じですか?はい。
(亮さん)ちょうどよかったです4時からで。
(スタッフ)あれ?何されてるんですか?フフフ…!いやちょっと雨上がったからさちょっと気になって。
やっぱ気になるもんじゃないですか。
(スタッフ)まぁそうっすね。
ハハハ…!
オヤジさん朝からソワソワして息子のことが気に掛かっていたらしい
ことのほか焼き鳥が売れて夕方前に手伝いに駆け付けたというわけ
変な話うん。
(豊さん)あ〜こんちは!
(亮さん)こんにちは!焼き鳥焼けましたよ!どうぞ!
(豊さん)さぁ焼きたてですよ!
個人の店が頑張れば商店街に人が戻って来る
その信念はきっと息子に伝わっている
それじゃあ失礼しますハハハ…。
(スタッフ)お疲れさまですフフフ…。
夕方5時すぎ
はいありがとうございます!どうもありがとうございました!よし。
行きました。
(スタッフ)売り切りましたね。
達成感ありますねキレイに行きました。
よっしゃ。
自分の作った総菜を日曜の夕暮れに家族が囲む
モテリョウやりがいを感じていた
去年の暮れ
おでん屋から3代目の姿が消えた
迎えた新年
総菜屋の3代目仕込みを1人でこなせるようになろうと頑張っている
おでん屋の向かいに店を構えたパン屋さん
地元のおばあちゃん達にも結構な人気だ
おでん屋の3代目竜太君は店を辞めた
介護の仕事に就くため職業訓練を受けることにした
お魚が高くなったりだとか売り上げがちょっと下がってるとかそういう面でやっぱり就職しないと新しい所に。
お店継ぐのは厳しいかなということで。
27歳将来を思っての決断だった
僕らが描いた商店街の未来はそんなに甘いものじゃない
だけど僕らは願っている
時は流れてもこの町を行き交う人々がずっと笑顔でいられるようにと
漂う思いを受け止める漂流ポスト
震災で失った大切な人への手紙が届きます
切なさを抱き締めてあなたへ
2016/01/18(月) 01:10〜01:40
読売テレビ1
NNNドキュメント「スカイツリーに願いを2僕たちの下町商店街〜語り 風間俊介」[字]

東京・墨田区「キラキラ橘商店街」。期待したスカイツリー効果は幻だった…町も人も変わっていく中、親父の後を継いで必死に生きる三代目たちの成長と心の触れ合いを追う。

詳細情報
番組内容
東京・墨田区「キラキラ橘商店街」。期待していたスカイツリー景気が過ぎ去った今、町の活気を取り戻そうと三代目たちが立ち上がった。クリーニング屋の次男は新サービスで夜の街を疾走。人気総菜店の長男は商店街のテーマソングを作り父もできなかった日曜日の営業に一人で挑む。おでん屋の次男は独立に深い悩みを募らせる。スカイツリー開業から3年…町も人も変わっていく中、必死に生きる若者たちの成長と心の触れ合いを追う。
出演者
【ナレーター】
風間俊介
制作
日本テレビ

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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ステレオ
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