亀田音楽専門学校 シーズン3 第二回▽J−POP大躍進〜インパクト合戦の時代 2016.01.18


亀田音楽専門学校SEASON3第2回開講です!J−POPの歴史を4つの時代に分け亀田校長が独自の目線でその変遷を講義します。
第1回は1988年から93年。
今回は1994年から99年のJ−POPを分析します。
第3回は2000年から2005年。
最終回は「J−POPの現在そして未来」。
亀田音楽専門学校ならではの講義をお楽しみ下さい。
さあこの番組が扱うのはずばりJ−POP。
J−POPは音楽のあらゆる魅力が詰め込まれた総合芸術だと僕は思っています。
この番組ではJ−POPがなぜ人々の心を捉えるのか。
名曲を題材にその核心に迫っていきたいと思います。
それではSEASON32回目のゲスト講師ご登場頂きましょう。
GLAYの皆さんです!
(拍手)よろしくお願いします。
(拍手)GLAYの皆さんは校長と深いおつきあいなんですよね?そうですね。
最近ずっと僕らの楽曲をプロデュースしてくれてます。
ここ3年ぐらい一緒にやってますね。
GLAYは1994年デビュー。
今回取り上げる時代にミリオンセラーを連発。
まさにこの時代を牽引しました。
J−POPを代表するロックバンドです。
校長1994年から1999年というのはJ−POPにとってはどういう時代なんですか?教えてあげようか。
はいお願いします。
今日ここにGLAY先生が来ている意味が分かるよ。
はい。
「J−POP大躍進」。
大躍進。
そう。
「〜インパクト合戦の時代〜」。
どういう意味ですか?この時代はね数々の名曲がヒットをするためにインパクトが込められていたんだよ。
まずはこちら。
いでよ名曲たち!タ〜ン!口で効果音をおつけになりましたね。
さあこちらがですね1994年から1999年の音楽ヒットチャートシングルセールストップテンです。
この時期はねたくさんのミリオンセラーが生まれたんだよね。
1998年が国内で史上最多のCD生産枚数を記録したんですけれどもなんとその数4億5,717万枚。
4億枚。
すごいですね。
4億枚。
しかもGLAYさん…。
1位。
頂上ですよ。
GLAYGLAYGLAY…GLAY祭り。
すごい残念なんですけど…1994年から99年はCDがJ−POP史上最も売れた時代。
実力派アーティストがしのぎを削りインパクトのある音楽を追求していました。
小室哲哉さんプロデュースの作品もヒットチャートをにぎわせました。
この年代でどの曲が印象に残ってらっしゃいますか?僕はやっぱり広瀬香美さんの「ロマンスの神様」ですね。
そのインパクトというところで言うとキーの高さ。
香美さんも高いとこ使ってるもんね。
僕らこのころスポーツショップのCMを担当したんですけどもそういう事もあってちょっとスノーボーダーデビューしたんですけどその時にゲレンデで広瀬香美さんのこの曲がかかってやっぱり声が高いと飛ぶんですよ。
なじむというか。
ゲレンデのリフトに乗っていても音が声が飛んでくるみたいな。
そうなんですよね。
ここに書いてあるよ。
「スノーボードが大流行」って94年。
流行に乗ったね。
流行に乗ってた。
乗ったね。
なるほど。
JIRO先生はどんな曲が?ここには出てないんですけどJUDYANDMARYの「そばかす」とか出た時はやっぱりボーカルのYUKIちゃんが僕らと同い年で函館出身なので…。
同郷だ。
そうだ。
でTAKUYA君のギターがとんでもなくハチャメチャで。
あのイントロの「ダダダダダダダダダダダダ」とかもすごいインパクトだよね。
あれとかはもう本当にCDがすごい売れてて音楽にすごく注目されてた時代にその中でめちゃくちゃ遊んでるなっていう感じがすごい刺激受けましたね。
それだけでも自由だったって事だよね。
そうですね。
音楽に力があったからアーティストがやりたい事ができてたっていう時代なのかもしれないね。
校長ずばりその1994年から1999年さっき校長「J−POP大躍進」っておっしゃいましたけどもどういうふうに大躍進したんでしょうか?まずはCDが空前の売れ行き。
でねこんだけ売れるとアーティストの方も自分たちが売れてる中に埋もれないようにもっと目立とうもっと何かをしようっていうねパッと聞きのインパクトを求めて音楽に接していた。
そういう時代だと思うんです。
どうですか?GLAYの皆さんもやっぱりこの時代インパクト求められてたなって感じられます?「誘惑」がサビ始まりとか楽曲のインパクトっていうのはやっぱり求められてた感じはします。
この時代そのインパクトを求めてじゃあ具体的にはどんな現象があったんですか?いい事言うね。
これが今日の本題だよ。
ひとついってみましょうか。
はい。
ずばり…。
「ハイ」は?「高い」。
「高い」でしょ?「トーン」「音」ですね。
「ボイス」は?「声」。
「声」。
「高い」「音」を使った「声」だよ。
このハイトーンボイスでインパクトを与えた曲その曲がそういう曲たちがこの時代を実は席けんしているの。
ちょっとこのハイトーンボイスを使った名曲たちを聴いてみましょう。
出る事は出るけどね。
高いですね。
・「すす」本人を前にしてもやっぱり…。
高っ!いや〜すごいね。
すごいですね。
力強い!もうハイトーンボイスのオンパレード。
TERU先生はハイトーンボイスは大得意じゃないですか。
そうですね。
その中で印象的に残ってる曲っていうのはある?やっぱり「DEPARTURES」ですかね。
globe。
・「どこまでも」ってあの突き抜ける音がやっぱりボーカリストならではっていうかもう…そのハイトーンボイスっていうのは高い声で歌えば何でもハイトーンボイスなんですか?それを言っちゃあ曖昧すぎる。
曖昧すぎる。
ふわっとするよね。
ざっくりし過ぎてるんでちょっと僕がこのハイトーンの定義っていうのを一回やってみましょうか。
お願いします。
男子はねこのラの音。
この音から上を…。
上っていうのはね地声でいくのがちょっと苦しくなってくる音域なんですよ。
ラより上が。
はいラより上。
これおおよそだからね。
諸説ある中でおおよそ大抵の方はラより上が男子きつくなってくる。
ハイトーンボイスの音域を感じてみて下さい。
ピアノで演奏します。
女子はねここのド。
女子の方が高い声出るのでこっからが地声で歌うのがきつくなってくる。
裏声だったら…。
裏声だったら楽に切り替えて出ると思います。
でねこのこっから上の音域を地声でガンガン出して使って攻めていくのがまさにこの時代のハイトーンボイスのインパクトな訳。
インパクト。
あとねもうちょっとこれ声の印象で説明すると例えばねスピッツのマサムネ君とか彼とかは地声の成分に高い成分が混じっていたりするのでさほど高いところを歌ってないのに高く聞こえたりする。
それを考えるとTERU君の得意とするハイトーンボイスってどちらかというとローの成分がこう…。
そうなんですよね。
だから「HOWEVER」自体もキーはすごい高いんですけども聴いてる人からするとそんなに高くなく聞こえてるみたいでで実際カラオケで歌ってみると出ないと。
こんなに高かったんだっていう事で初めて気付かれるという。
さっきもあの曲5曲並べた時のGLAYの高いところは相当高かったですね聴いてたら。
「HOWEVER」hiD。
hiDっていうのは?hiD。
えっと高いレだから…。
はい「HOWEVER」さん入りました。
ここです。
そこですね。
ちなみにちょっと比べてみようか。
globeさん「DEPARTURES」hiD♭。
D♭。
この半音下ですよ。
という事は「HOWEVER」の勝ち。
(笑い声)勝ち負けじゃないよね。
そしてえ〜っと…。
「ForeverLove」XJAPAN。
(TERU)hiDですね。
おっ!そうなんですよ。
一緒なんですよねだから。
互角?
(笑い声)そして…。
「ロマンスの神様」広瀬香美さんが…。
それは高い。
hiF。
hiF。
どうかしてるよ。
どうかしてる!?それで地声っていうのがすごいですねやっぱり。
地声って事なんですもんね。
地声でここまでいくから最終的にゲレンデ解かしちゃったりする訳ですね。
なんちゃって。
地声のハイトーンボイスがインパクトにつながるっていうのはどうしてなんですか?いい事聞くね。
あのね確かにね高い音もさっき言ったようにファルセットにすれば…。
(ファルセットで)ファルセットにすれば〜。
出る訳ですよ僕でも。
僕ですらね。
みんな苦笑して…。
張り合ってないけどね。
でもTERU先生のように地声で高い音を歌うハイトーンボイスがなぜインパクトにつながるのか。
せっかくいらっしゃるのでちょっと一緒に実験してみたいと思います。
ここでGLAYのTERUさんに3つの歌い方で実験してもらいます。
まずファルセット。
次に裏声と地声を混ぜたミックスボイス。
そしてハイトーンボイス。
インパクトの違いを体感して下さい。
ワンツースリーフォー…。
・「あなたを彩る全てを抱きしめてゆっくりと歩き出す」これがファルセットですね。
(拍手)優しいね。
柔らかい。
柔らかいんです。
耳元か何かで歌われちゃったりするともうイチコロな感じだと思います。
(笑い声)ワンツースリーフォー…。
・「あなたを彩る全てを抱きしめてゆっくりと歩き出す」えっとファルセットから地声に変える直前の…。
声帯をちょっと閉めたり開けたりっていう。
これは誰にでもできるもんなんですか?これ多分できると思います。
ミックス今度教えて下さい。
(笑い声)でなかなかできないのが地声ですねやっぱり。
なるほど。
じゃあ地声のハイトーンボイスでこのメロディーを。
「ああ…あなた」はい。
ワンツースリーフォー…。
・「あなたを彩る全てを抱きしめてゆっくりと歩き出す」すごい!
(拍手)これCDで聴いてたみたいな…。
女性がキャ〜ッて。
やっぱり…それから…一生懸命やってる感じがするもんね。
直球でグッて来る感じがやっぱり…。
全てすてきな歌声だったんですけれどもインパクトっていう面ではやっぱり地声があるんだなと思いました。
何かこの地声で力強く歌う事によって単純に音量も上がるし飛距離が伸びる感じがするよね。
伸びますね。
メロディーが遠くまで飛んでいく。
要するにメロディーが遠くまで飛んでくって事は歌い手のハートも遠くまで飛んでってたくさんの人に伝わっていくっていう。
声が負けないで飛んでいくんだね。
よく大きなステージになればなるほど後ろの人に歌うようにって事は言われましたねやっぱり。
そういう中で経験を積んでこの地声インパクトっていうのがTERU君の中でも鍛えられてったって事なのかもしれないね。
これGLAYのメンバーみんなは当時TERU先生のハイトーンボイスを意識して曲作りをしていたんですか?結成当時からいわゆるキー合わせってものをほとんどした事ないといいますか…。
あら?TERU先生の事何にも考えずに?本当ですよね。
やっていくうちに出るようになるそんな10代だったのであのころに結構そういう…何か自分の限界決めないで自分のキーはこれぐらいなんでこれぐらいでよろしくお願いしますじゃなかったのがまた後々よかったのかなっていうふうにも…。
TERU先生の歌のレンジにキーに合わせて作るんじゃなくてそうじゃない部分…そんな事考えないで作ったから逆にこう限界能力が限界性能が引き伸ばされていったという。
JIRO先生は?僕の曲はひどかったですね。
(笑い声)本当に低いとこから始まって超高いとこに行くっていう。
そういう何か…「TERUは多分出るだろう」みたいな感じ。
信じて。
なるほど。
でもそういう絆みたいなのがあるんだね。
という事でまあこの時代なぜこんなにハイトーンボイスの曲が生まれたかっていう事を考えてみるとやっぱりこう思いやエネルギーを爆発させるのがハイトーンボイスなんだね。
やっぱり地声のハイトーンボイスっていうのはパワーの象徴とも言えるんじゃないかな。
あとはハイトーンで…これインパクト合戦でさ例えばGLAYのTERU先生がハイトーンで歌うと今度は違うバンドもまたハイトーンで歌ったりとか。
こうハイトーン合戦になってくる訳。
ハイトーンボイスが求められたその時代の背景にはやっぱり90年代になると今度歌うって事になりますもんね。
カラオケボックスという個室の中で仲間たちと完全に密室の中で自分の好きな歌を歌う。
シンプルな歌詞に対して高い音をあててどんどん騒いでくれよと。
だから超絶なハイトーンっていうのがやっぱり世の中の動きとすごくリンクしてたのかなっていうふうには今思ってる。
ハイトーンボイスを駆使してエネルギッシュでパワフルな歌を歌う事そうやってメッセージを伝えていくのがやっぱりかっこいい時代だった。
頑張ってるっていう時代がかっこよかったんだと思うな。
さあそのハイトーンボイスの魅力が詰まったGLAYの皆さんの「HOWEVER」お聴き頂きましょう。
今回は「J−POP大躍進〜インパクト合戦の時代〜」と題しまして1994年から1999年のJ−POPについて掘り下げています。
校長続いては?続いてはねちょっとキーワードからずばりいっちゃおうかな。
この時代に生まれたテクニックっていうのがあるんですよ。
いくよ。
この時代に生まれた?はい。
「転調てんこ盛り」。
とにかくたくさん。
そう!実はね転調っていうのはこの前の時代にも存在なんだけどもこの時代から使われ始めたとある転調のテクニックがあってそれが大きなインパクトを生んでいたんです。
この時代にヒットしたJ−POPの転調を聴いてみましょう。
自然だな。
自然だね。
これ篠原涼子さんの「恋しさとせつなさと心強さと」ですけどもこれ調ね。
これ今…。
シャープが4つ。
ファドソレってこれキーがEです。
そして…あれ?ここで何だ?何だ?ここでキーがGに変わってるんです。
シャープが1個になってるって事ですか?そう。
4つのシャープが1個になった。
このサビの前はキーがEで基本となっている音階が違うんですよ。
メロディーの並びが違うの。
これさキーがEの時の音階を弾いてもらっていいですか?でキーがGの時の音階弾いてもらっていいですか?高い。
そう。
前半はサビまではキーがEなんですけれどもサビからはキーがGになって音の並びが変わってる訳。
使われてる音階が違う。
つまりキーのお引っ越しが行われた訳ここで。
お引っ越し!かわいいですね。
E番地からG番地に引っ越した。
しかも突然ですよ。
前触れもなくトントンっつって行こうとしたら「あれ?いなくなっちゃったの?」みたいな。
ここでやっぱりインパクトがある訳ですよ。
でこういうタイプの転調を小室哲哉さんがたくさんの曲に施したんです。
この転調を僕は小室さんが生んだ転調だとやっぱり言っても差し支えないと思っていて僕らの間では通称小室転調とも呼んだりします。
誰でもやってるからねこれ。
誰でもやってるもんね今ね。
では小室さんが発明した転調を説明したいんですけれどもこれちょっとピアノで実演したいと思います。
まず転調しなかったらいかほどのインパクトかっていうのをちょっと見てみましょうか。
おっ普通。
普通だね。
でもいいメロディーだから。
でも何かここからサビだっていう感じはそんなにしないかなって思っちゃったんですけど。
メロディーが下の方からふわ〜って来ちゃう感じでね。
じゃあ小室さんが実際の作品でなさってる転調をここに振りかけてみて下さい。
インパクト転調です。
あ〜全然違う。
つまりこれ転調する事によってキーをEからGメジャーにキーを上げて篠原さんの歌声が一番力強く響くところを持続させてる訳。
要するにインパクトをキープ。
キープインパクト!
(笑い声)入れ替えただけ。
キープインパクトなのよこれ。
要するにボーカリストのポテンシャルパワーを常に120%使い切るっていう手法を小室さんはこの時代たくさんの楽曲に振りかけたんだな〜。
あとやっぱり転調する事によってさっきキーのお引っ越しって言ったけど世界が変わるじゃん。
世界観が変わる事によってやっぱりジェットコースターのように曲の中で何回も何回も転調すると曲の景色が変わっていくよね。
ドキドキしてやっぱりスリリング。
これもインパクトにつながっていく訳。
あとはボーカリストの声の一番おいしいところを使うから高いところをずっとキープ。
要するにハイトーンをキープするっていうやっぱりこの時代にとても重宝されたテクニックなの。
そういう訳なんだよ。
という事でね実はこの転調をはじめさまざまなインパクトを生み出したあの方にお話を伺ってきました。
こんにちは。
こんにちは。
こないだはどうも。
ご無沙汰ぶりです。
お元気ですか?元気です。
ありがとうございます。
伝説のヒットメーカー小室哲哉さん。
1990年代に数々のアーティストをプロデュース。
36作品ものミリオンセラーを世に送り出しました。
小室さんは何を意識して曲作りをされてました?それはでも…何かとにかくポンと…「インパクトちょうだい」。
「インパクトインパクト」って。
「インパクト!とにかくインパクト!」。
「カモンインパクト」!「カモンインパクト」ですか。
…が欲しいっていうのがあったので。
僕は小室さんの発明した驚きのインパクトのテクニックの中に転調っていうものがあると思うんですよ。
ああそうですね。
う〜んと…もともと音楽のしっかりした教育を受ける機会がなかったので…でかなり前ですけどALFEEの高見沢さんからそれは80年代ですけどTMNETWORKの時の一曲で…「ぶっ飛んだよ俺」って言われて。
僕はね美里さんの「MyRevolution」を聴いた時もサビに来た時にもうねのけぞったんです。
あれが僕の転調誕生。
転調誕生!転調誕生の瞬間ですか。
そうです。
はい。

(「MyRevolution」)なので…3つ音が下がるって事ですからね。
なるほど。
っていう感じでちょっとポンと飛び出す…。
・「MyTearsMyDream」のとこ。
すごい。
聞き手にインパクトを与えつつも歌い手さんの一番おいしいところを使い続けるっていう。
筋力をつければ。
なんで「ここまでしか出ません私は。
レまでなんですよ」とかっていうのを「いや大丈夫だよ」って言って。
小室さんが?ハハハハ!歌い手さんだってこのマイクの前で「小室さん無理です。
出ません」って言ってるんでしょ?なのに…。
そうですね。
「もう一個行ってみようよ」って。
キー決める時とかですけどね。
「ちょっとだから」とかって言って。
プロデューサー話術も大事ですね。
そういうプロセスを経ていってくれたらその曲は偉い子だなっていう。
偉い子だなと。
そういう人生を歩んでくれたらっていうか。
そうなってくれたらいいなと思いながらいまだにやってはいるんですけれども。
HISASHI先生いかがでした?一番気付いたというかこの言葉すごいなと思ったのはやっぱり思い切りっていうのが…。
音と時代を表してますね。
やっぱりそこが中途半端だったら絶対世間にも響かなかっただろうしそこで自分が自信を持って届ける音に思い切りがないと多分説得力につながらないと思いますね。
やっぱりインパクトを与えるためにはきっとこの思い切りっていうまず作り手のモチベーションみたいなものがすごく大事だったのかもしれないね。
大躍進したんだよ。
インパクトを持ってたくさんの正解が生まれた。
そういう時代なのかもしれないね。
こうやって話を聞いてくとねまあGLAYの代表曲の中にもインパクトの名曲があるんですよ。
その曲はずばり「誘惑」です。
う〜ん。
1998年年間チャート1位を獲得したGLAYの「誘惑」。
この曲に施されたさまざまなインパクトを亀田校長が分析していきます。
まあ転調もしてるしイントロとかいろんな仕掛けが入ってるし。
恥ずかしいぐらい使ってます。
(笑い声)恥ずかしいぐらい?盛りだくさん。
さあGLAYの「誘惑」にどれほどいかほどインパクトが使われているか。
まずこのドラムイントロ。
そうかイントロから…。
この頭の「タカタカタッタ」。
「タカタカタッタ」って一体何だよって僕は当時思った。
ここにもうねここでビックリしちゃうの。
という事でここにまず第1インパクト。
そして次のギターイントロなんだけどワンツースリーフォーワンツー3。
ワンツースリーフォーワンツー3ってなってる。
ちょっとこのフレーズやってみてもらっていい?やってみましょうか。
うん。
じゃあ頭イントロいきますね。
ワンツースリーフォー。
(拍手)すごいね!インパクト。
ワンツースリーフォーワンツースリーフォーって普通ならいってほしいのになぜここで…?ちょっと違和感があるんですよね。
違和感がある。
これJIRO考えたんじゃなかった?分かんないな。
どうだろうな?案外インパクトに関してみんなもう曖昧になってる。
記憶が曖昧になってます。
(笑い声)そして次この頭サビのさこのメロディーの連打。
TERUさんご苦労さまですこれ。
「タタタタタタタタタタタタタタタタタ〜タタ」。
(TERU)譜面で見るとすごいですね。
ちょっとここだけ歌ってみて。
・「時に愛は2人を試してるBecauseIloveyou」かっこいい!この連打。
連打。
歌の連打でしょ?そして既にここに…ほら来た。
高いラという事は男子のハイトーン。
あ〜来ましたね。
ここにもある。
あった。
すごいですね。
このまま貼ってくとこのボードはどうなるんだろう?ここも来てるよ。
ハイトーン伸ばしだよ。
(TERU)はみ出てますね。
もうはみ出てるよ。
ほら。
頭サビのラストのこのハイトーンなんて…。
ここちょっと伴奏して一緒にやってみない?・「WOW嘘も真実も駆け引きさえもいらない」・「今はオマエが誘うままにOh溺れてみたい」
(拍手)超インパクト。
これハイトーンだから。
すごいでしょ。
でさここでもう一回ギターイントロが出てくる訳。
ギターが大活躍してここのフレーズがとにかくギターで生み出せるあらゆる迫力を出してる。
インパクトを。
ちょっとここのイントロも一緒にやってみてもらっていい?イントロが普通の…こういう低音弦の…。
・「ジャガジャガジャ〜ガガ」そうです。
次はピッキング・ハーモニクスで…こういうメタリックな音になってます。
やってみましょうか。
うん。
歌ってもらっていいですか?
(笑い声)バンドだね。
Aメロに入ると。
ここにピッキング・ハーモニクスありましたね。
(拍手)このイントロ自体ギター2本でこう戦車が進んでいくようなブワ〜ッと押し出していくようなここのイントロ自体がインパクトだよね。
そしてよ極め付けがここです。
ほら中村君思い出して。
何これ?あっ転調!転調入りました〜。
転調。
イントロからAメロに入る瞬間に転調。
この転調はやっかいですね。
いつもライブの時には。
歌いづらい?歌いづらいですね。
ほらもう自分たちが難しい事までわざわざねじ込んでいくっていう。
インパクトのために。
こうやっていくつかのインパクトがあってまたAメロから平歌からサビに戻る時にもう一回転調するんだよね。
そう。
こうやって数々のインパクトが…。
やっぱりインパクトなしではいられなかった時代。
そうなりますか。
という事なんじゃないのかな?そのど真ん中をGLAYはこの「誘惑」っていう曲で一石を投じたんだと思う。
ちなみにこんだけねじ込んだのはなぜなんだろう?やっぱりもうちょっと欲しいもうちょっと欲しいみたいな感じなのかしら?もうちょっと欲しいもあったし世の中がだんだんダンスミュージックに行く時にロックバンドとしてのインパクトっていうのをじゃあどう出すかっていうのでドラムが主役のイントロだったりギターがヘビーだったりっていうのを考えながらやってた記憶はあります。
今ならこれほど仕掛ける必要があるのかっていうふうにまず話し合って誰からか「これはいらないでしょ」。
引き算していくと思うんですね。
だけどこの曲自体を多分メンバーで2日ぐらいで作ってるんですよ2日!曲が生まれてからレコーディングまでが2日ぐらいで終わってるのでだから一つ一つを吟味するというよりはもう面白いと思ったものは全部入れていこうっていうそういう時代でしたね。
やっぱりさ今のTAKURO先生の言葉を拾うと足し算の時代なんだね。
(TAKURO)そうですね。
どんどんどんどん盛り込んでいく。
次のインパクト次のインパクト。
そしてどんどんどんどんインパクトを詰め込んでいくからでもこれをほかのアーティストもまたやったりするからもうインパクトだらけの曲に町じゅうがあふれていってるっていう事だね。
まさに「インパクト合戦」。
本当に「インパクト合戦」だ。
さあそれではそのインパクトがたっぷりと詰まったGLAYの名曲お聴き頂きましょう。
今回は1994年から1999年のJ−POPを「J−POP大躍進〜インパクト合戦の時代〜」と題してお送りしました。
校長総括をお願い致します。
この時代はJ−POPがものすごくパワフルにひしめき合ってた時代。
まさにインパクトを競い合う戦国時代といってもいいほど激しい時代だったと思うな。
アーティストがしのぎを削りながら大衆の心をつかんでいく。
そういう音楽を追い求めてその中にハイトーンボイスだったり転調といったさまざまなテクニックの開発競争それをどんどんどんどん盛り込んでった訳。
しかもそれに慣れていくリスナーたちとの競争もあってリスナーも更に刺激的な音楽を求めてっちゃう訳。
どこまで行くんだっていうほどインパクトを追い求めていた時代。
何かそういう事なんじゃないのかな。
でもどっかで俺このハイトーン合戦はもう勝者なしになるんじゃないのだろうかっていうのは90年代考えましたね。
当時曲を作っていて…。
作ってる時点で。
TAKURO先生は考えた。
ハイトーンだとか転調だとかっていう事がこのまま今J−POPと呼ばれてるものを正しく未来に導くのかなっていうのはずっと悩みながらは…。
でも降りられなかったからね。
まあでもJ−POPがあの僅かな5〜6年の間にここまで独自な進化を遂げるというのは多分世界の中で珍しい例だと思うんですよ。
次から次もっとインパクトをくれもっとインパクトをくれっていうような時代に本当に声の情報量をもう一回見直そうっていう時代に移り変わっていったと思うんですね。
なるほど。
という事で本当にJ−POPが大躍進してこうトップ頂上を頂上を目指していったそういう時代。
だからこそ今回僕はJ−POPが大躍進したインパクト合戦の時代とこの時代を名付けました。
そしてその結果CDももうとても天文学的数字な売り上げを誇ったというそういう時代になったっていう訳です。
それでは亀田音楽専門学校本日の講義を終了致します。
GLAYの皆さん校長斎藤有太さんありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
2016/01/18(月) 01:10〜01:55
NHKEテレ1大阪
亀田音楽専門学校 シーズン3 第二回▽J−POP大躍進〜インパクト合戦の時代[字][再]

音楽プロデューサー・亀田誠治がJ−POPのヒット曲に隠された音楽の秘密を解き明かす亀田音楽専門学校。J−POP史をひも解くシーズン3第二回のゲストはGLAY!

詳細情報
番組内容
第二回は「J−POP」が大躍進した1994年〜99年のヒット曲を題材に講義する。CDが史上最も売れた時代に「ハイトーンボイス」「転調」などインパクトを求めた開発競争が過熱。この時代の激しい音楽的潮流を分析する。ゲスト講師GLAYが大ヒット曲「誘惑」「HOWEVER」を生演奏。また、数々の名曲を生みだした伝説のヒットメーカー小室哲哉が登場。日本人の心をつかんだ小室流転調の誕生の瞬間を語る。
出演者
【ゲスト】GLAY,音楽プロデュ—サ—…小室哲哉,ピアニスト…斎藤有太,【司会】亀田誠治

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
音楽 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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