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【東京】

本の楽しみを子どもに届け60年 児童読物作家・山中恒さん

テレビドラマや映画にもなり広く親しまれる作品の数々=町田市で

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 児童向けの娯楽小説で知られる作家山中恒(ひさし)さん(84)の作品を紹介する「児童読物作家 山中恒展−子どもと物語で遊ぶ」が、町田市原町田四の町田市民文学館ことばらんどで開かれている。少年少女期特有の奔放な感性や言動をありのまま描き、子どもたちに読む楽しみを届け続ける作家の創作活動を回顧する。三月二十一日まで。 (栗原淳)

 「大人が学習効果を狙う本を、子どもはちっとも読まない。私は子どもと常にコミュニケーションをとる気持ちで書いてきた」。今月十五日、内覧会に元気な姿を見せた山中さんは、自身の歩みをこう振り返った。

 神奈川県に住む山中さんは一九六四年から約二十年間、町田市内で暮らし、「ぼくがぼくであること」やテレビドラマにもなった「あばれはっちゃく」など代表作を書いた。

 五〇年代に執筆を始めてから六十年あまりにわたって発表した書籍やその原稿など約四百五十点を展示する。出身地の北海道小樽市の市立文学館や本人からの提供資料以外に、映像化された「あばれ−」や「おれがあいつであいつがおれで」を映画化した「転校生」のポスターやDVDソフトもある。

 五六年、日本児童文学者協会新人賞を受賞した初の本格長編「赤毛のポチ」を連載した児童文学運動誌のほか、人気作を収録した全集、旧作に手を加えて現代に合わせた新装版も並び、世代を超えて親しまれる作品群をたどることができる。自身が体験した戦時下の軍事教育の実相に迫るノンフィクション「ボクラ少国民」シリーズも町田時代に手掛け、取材で入手した戦時資料など貴重なコレクションが目を引く。

 期間中、山中さんの講演会や作品の朗読会、学芸員による展示説明など関連イベントもある。

 入場無料。午前十時〜午後五時。休館日は毎週月曜(三月二十一日を除く)、二月十二日、三月十日。JR横浜線町田駅ターミナル口徒歩八分。電042(739)3420。

 

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