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【社説】

女性の政治参加 議員の数を増やしたい

 女性議員を増やそうと、国会で男女同数を目指す超党派議連が動きだした。今年は女性が参政権を手にして七十年。夏には参院選も行われる。各党は女性議員を増やす環境づくりを競い合うべきだ。

 国際的に日本は女性の政治家が目立って少ない。女性が参政権を獲得した一九四六年の総選挙や「マドンナ旋風」と呼ばれた八九年の参院選などで、大量に誕生した時期もあったが、国会は衆院で9%、参院で15%にとどまる。

 地方議会では女性議員の割合は12%。「女性ゼロ」の市町村議会は二割ある。男女がともに社会の担い手になる「男女共同参画社会」という言葉もこれではむなしく響く。国や地域の問題を話し合う場が男性に偏り、政策決定に女性の意見が反映されないのなら不自然というほかない。

 国や地方の議場で、女性議員に対して侮蔑するやじが飛んだのは記憶に新しい。議員の男女比の偏りが問題の根底にあるのではないか。政党は女性議員を増やすため女性が政治の場に出てゆける環境づくりに本腰を入れてほしい。

 海外では北欧が七〇年代以降、議員の男女差をなくすため、議員や候補者の一定人数を女性に割り当てる「クオータ制」を導入し、この制度はいまでは百カ国以上が取り入れている。政党法や選挙法を改正し、比例代表の名簿に載せる候補者の半数を女性にしたり、奇数順位を女性にしたりするのは代表例だ。

 その結果、女性の国会議員は隣国の韓国では約15%。最も割合の高い北欧は四割、ドイツなどは三割を超える。日本ももはや、従前通りではなく、各国並みに法的な仕組みが必要な時ではないか。

 自民、公明両党も含め、超党派五十八人による議員連盟が動きだした。「国政選挙の候補者をできるだけ男女同数にする」ことを目指す公職選挙法改正案をまとめ、国会に提出したい考えだ。

 例えば、各党は衆参両院の選挙区や参院の比例代表で女性の候補者を増やしたり、衆院の比例代表名簿順位を男女交互にするなどの工夫をすればよい。有権者にとって各党の候補者名簿は、真剣に女性議員を増やそうとしているのかどうか、判断の目安になる。

 震災や原発事故後、いのちや人権を大切にする政治を求める声が大きくなった。社会保障も経済対策も、安全保障も、教育分野も、女性の視点は欠かせない。多様な代表によって議論はより深められるはずだ。

 

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